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組織老化の錆を落とす②10年経って錆びた姿

中国ビジネスレポート コラム
小島 庄司

小島 庄司

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2020年4月27日

組織老化の問題は、身に覚えのある経営者の方が多いようで、いろいろコメントをいただきました。気休めにならないかもしれませんが、これは中国だけでなく各地で起きている問題です。だからこそ、予防法や解決法を確立すれば、どこでも応用可能なはずです。

アジア現法の共通四課題(人と組織)
□経営の一貫性の谷:短任期で継承できず
□誤った現地化の闇:ブラックボックス化
□組織老化の錆:守旧化し挑戦や活力を喪失
□意思疎通の壁:相互理解を妨げる三要因

前回は、現地法人の立ち上げから成長が一段落するまでの変移を見てきました。草創期、量産準備期から高成長期までは、経営者が特段の工夫やケアをしなくても、社員は以下のような理由でやる気を持っています。

立ち上げ期のやる気が高い理由
①全社一丸となる挑戦目標が明確
②組織が小さくチームの輪を感じられる
③がんばった先に明るい未来がある

ただ、なりゆきで管理していると、組織規模の拡大が止まった段階で①~③は消滅します。短い会社で5年、長くて10年。この時期から組織老化の問題が一気に表出します。

経営者としては、これまで大きな問題もなくスムーズにやってきたのに、突然さまざまな問題が噴出しはじめたように感じて驚いたり、前任者の時代までは平気だったのに、自分の代になっておかしくしてしまったのではないかと考えて落ち込んだりします(本社や本部からそう見られて凹んだりもします)。

しかし、これは設立当初から積み重ねてきた経営管理の結果であり、現地法人が新たなステージに入った証に過ぎません。気に病んだり、落ち込んだりしなくて大丈夫です。

■ 設立から10年経つと起きる問題たち

ではどのような組織老化の問題が起きるか、典型的な例を挙げてみましょう。

【症状1】
幹部や管理者が、自己利益や既得権益にばかり敏感で、責任回避の言動が多い。
横連携ができず、仲はよくないのに、お互い相手の領分には決して口を出さない。

【症状2】
古参管理者が改革や新たな挑戦に消極的で、変化を起こすことのリスクばかり強調する。
経営者からの指示に面と向かって反論したり議論したりはしないが、着手もしない。

【症状3】
古参幹部や管理者の下が育たず、次世代の準備ができていない。
若手社員は古参幹部の顔色を窺い、気兼ねして発言しない。自由闊達な雰囲気がない。

【症状4】
ストライキや不正が生じても、幹部が事なかれ主義で温情措置を求めてくる。
部下の反発や不満を恐れて毅然とした管理ができず、人事や経営者に労務問題を丸投げ。


組織老化の問題の行きつく先を示す顕著な事例があります。紹介しておきましょう。

2010年、中国各地で日系企業の賃上げストライキが続発。広州に端を発し、上海、青島、天津、北京と拡大したが、特異だったのは大連。日系100社以上が集まる開発区のほぼ全企業でストライキが連鎖し、400元前後(20%超)の昇給を余儀なくされた。以下は、後から現地経営者に背景を聞いた際の話。

「根底の原因は現地幹部層の保守化。大連は業歴の長い企業が多く、日常管理を古参幹部に任せてきた。彼らは言わば『上がりポスト』で、既得権益の保持ばかり考える。意欲ある若手は早々に追い出されたか、見切りをつけて出て行ってしまい、社内にはベテランと5年未満の若手しかいない。意外だが、こういう古参幹部たちは、日本人以上に事なかれ主義となり、横並び主義に陥っていく。

こんな状態で近隣の一社にストライキが起きると、古参幹部は『自社でも起きたらどうしよう』と考えるのではなく、『社内で突き上げられる前に、ウチでも起こしておいた方がいいんじゃないか』と考える。この結果、労使関係が緊迫していないのに賃上げストライキが起き、会社側はあっさり飲んでしまう。

この問題を解決するには、総経理が帰任時に刺し違えて守旧派幹部の全員を解雇するか、法人清算以外に方法がないと思う」。

次回に続きます。

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