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「外商投資産業指導目録(2017年版)」を簡潔に分析する

中国ビジネスレポート 法務
邱 奇峰

邱 奇峰

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2017年10月5日

7回目の改正後の外商投資産業指導目録として、「外商投資産業指導目録(2017年版)」(以下「『目録(2017年版)』」という)は、「外商投資産業指導目録(2015年版)」(以下「『目録(2015年版)』」という)と比べると、構成や内容に多くの変更点があり、本稿では、「目録(2017年版)」の背景、変更点を主に紹介する。

一、背景:中国全域で展開するネガティブリスト制及び届出制

2016年9月3日、中国全国人民代表大会常務委員会は、「『中華人民共和国外資企業法』など4部の法律改正に関する決定」を審議可決し、参入において国が特別管理措置を実施すると定めてはいない外商投資企業の設立及び変更手続に関する従来の審査許可制度が届出管理制へと切り換えられた。

2016年10月8日、中国国家発展改革委員会、商務部は、公告(2016年第22号)を通じて、外商投資の参入において特別管理措置を実施する対象範囲は、「外商投資産業指導目録(2015年改正)」での制限類と禁止類、及び奨励類における持分・高級管理職方面での要求に関する規定に従うこと、また、外資の合併買収による企業の設立及びその変更手続きは現行規定に従い取り扱うことを明確にした。つまり、中国全域でネガティブリスト制が展開されることになった。一方、これまでは、中国においてネガティブリスト制は自由貿易試験区(以下「自由貿易区」という)のみで実施されていた(現状では、中国の外商投資管理制度では、まずは自由貿易区内で他の一般地域に先駆けて試行し、条件が整い、制度が整備された後、全域で制度を複製し、普及させるという手法がよく採用される)。

同じく2016年10月8日、中国商務部は「外商投資企業の設立及び変更届出管理暫定弁法」を公布し、参入特別管理措置の適用対象外となる外商投資企業の設立及び変更手続きを、これまで長く実施されていた審査許可制(行政許可であり、実質的審査を実施)から届出制(行政許可ではなく、形式的審査を実施)に切り換えた。つまり、中国全域で届出制が展開されることになったのだが、それまでは、中国では届出制は自由貿易区などの試行地域だけに限定し実施されていた。

「参入前内国民待遇+ネガティブリスト」というパターンが徐々に国際慣行になりつつある。前述した中国外商投資管理制度の変更・調整は、まさに係る国際慣行に歩調を合わせるためのものである。

二、変更点:「目録(2017年版)」と「目録(2015年版)」との相違

1.内容構成の調整。「目録(2015年版)」では奨励類目録、制限類目録及び禁止類目録という3つの部分から構成されていたが、「目録(2017年版)」では奨励類目録と「外商投資参入特別管理措置(外商投資参入ネガティブリスト)」という2つの部分へと調整された。このうち、ネガティブリストでは従来の制限類目録、禁止類目録が網羅されているだけではなく、奨励類目録における一部持分比率などの要件が記載された項目も組み込まれている。

2.制限措置の全体数が減り、一部の分野が追加された。
● 数量を見ると、「目録(2017年版)」の制限措置は計63ヶ条(制限類項目35ヶ条、禁止類項目28ヶ条)であり、「目録(2015年版)」の93ヶ条の制限措置(奨励類の持分比率要件が記載されている項目19ヶ条、制限類項目38ヶ条、禁止類項目36ヶ条)と比べ、30ヶ条少なくなっている。
● 業種を見ると、サービス業では、道路旅客輸送、外国船荷捌き、信用調査と格付けサービス、会計監査、農産物卸売市場などの分野への参入規制を重点的に廃止し、制造業では、軌道交通設備、カーエレクトロニクス、新エネルギー車のバッテリー、オートバイ、食用油脂、燃料用アルコールなどの分野への参入規制を重点的に廃止し、100%電気自動車などの分野への参入規制を緩和した。
● 制限措置の対象分野(主にマスメディア分野に集中している)を一部追加した。例えば、書籍、新聞、定期刊行物の編集業務(「目録(2015年版)」では出版業務のみが禁止)、音響製品及び電子出版物の編集業務(「目録(2015年版)」では出版、製作業務のみが禁止)、インターネットによる大衆向けの情報発信サービス、人文社会科学研究機構の設立・経営、ラジオ・テレビ・動画のオンデマンド業務及び衛星テレビ・ラジオの地上受信施設の設置サービスが禁止された。

3.奨励類にも変更があった。奨励類のうち、特定保健用食品、バーチャルリアリティ(VR)/拡張現実(AR)設備、3Dプリンターの重要部品、都市の駐車施設など、産業構造を調整し、最適化ガイドラインに則した項目が追加された。

4.内資・外資とも同等に扱われる制限措置はネガティブリストから削除された。
● 参入前内国民待遇のもと、「目録(2015年版)」と比べると、「目録(2017年版)」では内資・外資とも同等に扱われる制限措置(例えば、大型テーマパークの建設・経営、ゴルフ場・別荘の建設、賭博業、風俗業など)がネガティブリストから削除された。
● なお、上述の制限措置がネガティブリストから削除されたことは、制限を受けなくなるのではなく、内資・外資とも同等に扱われる制限措置を通じて、別途制限が設けられるのである。

5.関連関係のない合併買収であり、しかもネガティブリスト対象外の外資による合併買収がネガティブリストから削除された。
● 「目録(2017年版)」では、「国内会社、企業又は自然人が国外で法に依拠して設立した、又は支配する会社が、当該会社と関連関係のある国内の会社を合併買収する際に、外商投資プロジェクト及び企業の設立及び変更事項に該当する場合、現行規定に従い手続きを行う」ことを明確にしている。つまり、「外国投資者による国内企業の合併買収に関する規定」にいう関連関係のある合併買収については、依然として商務部門の審査許可が必要とされる。
● また、2017年7月30日、中国商務部は「外商投資企業の設立及び変更届出管理暫定弁法」を改正し、合併買収、吸収合併などの方式により、外資が国内の非外商投資企業を合併買収し、外商投資企業へと形態変更することに関し、ネガティブリスト対象外の状況であれば、届出制の適用範囲に組み入れることを明らかにした。
● 従って、関連関係のある合併買収、及びネガティブリスト対象の外資による合併買収を除き、その他外資による合併買収は、いずれも届出制が実施される。

おわりに:

「目録(2017年版)」及び関連規定の公布施行に伴い、外国投資者の中国国内における投資について、筆者からは、企業が以下の点に注意を払われるようおすすめしたい。
● ネガティブリストを考察しておくこと。現在、中国の自由貿易区内では「自由貿易試験区外商投資参入特別管理措置(ネガティブリスト)2017年版」が適用されるが、自由貿易区外では一律「目録(2017年版)」における「外商投資参入特別管理措置(外商投資参入ネガティブリスト)」が適用される(この2つのネガティブリストの実質的な内容は徐々に一本化される見通しだが、相対的に見た場合、自由貿易区のネガティブリストの方がやや緩めである)。
● 「目録(2017年版)」などのネガティブリストを考察するほか、投資対象分野に対するその他法律、法規上の制限又は禁止事項があるかどうかについても、具体的に研究する必要がある(例えば、内資・外資とも同等に扱われる制限措置があるかどうかなど)。
● もし、投資対象分野がネガティブリストに記載されておらず、内資・外資とも同等に扱われる制限措置などの制限又は禁止要求もなく、関連関係のある合併買収などのような審査許可制対象にも該当しない場合、通常、当該投資には届出制が実施され、届出制によりもたらされる政府手続き方面での簡素化及び便益を享受することができる。

(里兆法律事務所が2017年9月1日付で作成)

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