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「参入前内国民待遇+ネガティブリスト」の時代を迎えた

中国ビジネスレポート 法務
邱 奇峰

邱 奇峰

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2018年1月11日

——「外商投資企業設立及び変更届出管理暫定弁法」を簡潔に分析する

2017年7月30日、商務部は「『外商投資企業設立及び変更届出管理暫定弁法』の改正に関する決定」(商務部令2017年第2号,以下「新『届出弁法』」という))を公布し、2016年10月8日に公布された「外商投資企業設立及び変更届出管理暫定弁法」(以下「旧『届出弁法』」という)について修正を行った。同日、商務部は「外商投資企業設立及び変更届出管理の関連事項に関する公告」(商務部公告2017年第37号、以下「『公告』」という)を公布し、今回の改正についてさらに説明を行った。今回の改正は、外資参入届出制の適用範囲を拡大するものであり、中国での外商投資が「参入前内国民待遇+ネガティブリスト」の時代に踏み入るよう促すうえで重要な意味を持つ。本稿では、届出管理制度の最新の変更点を逐一読み解き、簡潔に分析する。

一、参入特別管理措置が適用されない外国投資家による国内非外商投資企業の合併買収を届出制に組み入れた

2016年10月1日、旧「届出弁法」が実施された後、国家発展改革委員会と商務部は2016年第22号公告を共同で公布し、「外資による合併買収に基づく企業の設立及び変更の場合、現行の関連規定に従い実施する」とし、それはつまり、外国投資家による国内企業の合併買収事項は、依然として商務部門の事前審査許可を経なければならないことが明確に規定されていた。新「届出弁法」ではこの点について、「合併買収、吸収合併などにより、非外商投資企業から外商投資企業に切り換わる場合で、本弁法に定める届出制の範囲に該当するときは、本条第一項に従い設立届出手続きを行い、『設立申告表」に記入する」と改め、参入特別管理措置適用外の外国投資家による国内非外商投資企業の合併買収事項を届出制の範囲に組み入れた。

注意すべき点は以下の通りである。
1.外資による合併買収が「関連関係のある合併買収」である場合には、引き続き商務部門での審査許可が必要である。また、「関連関係のある合併買収」とは、「外国投資家による国内企業の合併買収に関する商務部の規定」(商務部令2009年第6号、以下「『合併買収規定』という」)第十一条で規定される「国内会社、企業又は自然人が国外で法に依拠して設立し又は支配する会社の名義をもって、自らと関連関係のある国内の会社を合併買収する」ケースをいう。

2.新たに公布された「外商投資企業設立届出申告表」によれば、外資による合併買収のもとで設立又は変更の届出を行う際には、外商投資企業設立又は変更の届出に関する通常の要求に従って係る資料や情報を提供しなければならないほか、一部の特別事項(例えば、中国老舗ブランドの称号をもつ国内企業に係るのかどうか、国有資産の譲渡が生じるのかどうか)についても説明しなければならないことがわかる。

3.「外商投資企業設立届出申告表」に記入する際には、合併買収の対価、決済手段(現金、現物、無形資産又は持分など)、出資持分の価額について説明し、且つ合併買収される持分又は資産の価値評価状況、持分又は資産評価額、財務監査報告書番号及び国有資産に係わる場合の認可又は届出機構などに関する情報も明記する必要がある。

二、参入特別管理措置適用外の外国投資家による上場会社への戦略投資を届出制に組み入れた

新「届出弁法」では第七条が追加され、次のように規定されている。「外国投資家が非外商投資の上場会社に対して戦略投資を実施し、それが本弁法に定める届出制の範囲に該当する場合、証券登記決済機構での証券登記を行う前、又は登記後30日以内に届出手続きを行い、『設立申告表』に記入しなければならない。外商投資による上場会社が新たな外国投資家の戦略投資を誘致し、それが届出制の範囲に該当する場合、証券登記決済機構での登記を行う前、又は登記後30日以内に変更届出手続きを行い、『変更申告表』に記入しなければならない。届出完了後に、戦略投資に係る届出情報に変更があった場合、『証券法』及び関連規定にて定められた情報開示義務者が情報開示義務の履行日から5日以内に変更の届出を行わなければならない。」

外国投資家による上場会社への戦略投資とは、「外国投資家による上場会社への戦略投資管理弁法」(商務部、証監会、税務総局、工商総局、外貨局令2005年第28号)に定める、外国投資家が非流通株改革を完了させた上場会社及び非流通株改革後の新上場会社に対し、一定規模の中長期戦略的合併買収投資を通じて当該会社のA株を取得する行為をいうものである。

注意すべき点は以下の通りである。
1.「証券法」などの関係する法律法規及び上場会社の内部規則によると、それぞれの変更点ごとに、情報開示義務者が情報開示義務を履行する期限が異なる可能性があるため、実務において係る期限を調べておく必要がある。
2.初めて行う届け出の場合、届出期間は、証券登記を行う前、又は登記後30日以内とされる。届出完了後に変更が生じた場合、届出期間は、情報開示義務の履行日から5日以内である。

三、届出の際に外商投資企業での最終的な実質的支配者の株式保有構成を開示する必要がある

新「届出弁法」は、第八条第一項「届出手続きを行う際に提出が必要な書類リスト」の第(七)号に、「外商投資企業での最終的な実質的支配者の株式保有構成図(変更点が外商投資企業での最終的な実質的支配者の変更に関係しない場合は提供不要)」を追加した。業界での一般的な認識によれば、「外商投資企業での最終的な実質的支配者の株式保有構成図」とは、外商投資企業からその最終的な実質的支配者に至るまでの完全な株式保有構成図をいう。

これより前は、企業が届出手続きを行う際には、企業自らの判断により、最終的な実質的支配者の情報及び支配方式を開示するだけでよいとされていた。この変更は、政府がレッドチップスキームにおける実際の株式保有構造に対する監督管理をさらに強化していくことを表すものである。

四、外国投資家が国外会社の持分を決済手段として国内会社を合併買収する場合における特別規定

新「届出弁法」では、第八条第一項を追加し、「届出手続きを行う際に提出する必要のある書類リスト」に第(八)号:「外国投資家は、規定を満たす国外会社の持分を決済手段とする場合、国外会社の持分を取得した国内企業の『企業国外投資証書』を提供する必要がある」とした。つまり、クロスボーダー株式交換スキームにおいては、クロスボーダー株式交換を通じて国外会社の持分を取得する当事者は、まず商務部、外貨管理機関で国外投資に係る手続きを完了させ、「企業国外投資証書」を取得しなければならず、その後に、「企業国外投資証書」をもって外商投資企業設立又は変更の届出手続きを完了させることになる。

留意点として、「合併買収規定」第二十八条では「国外会社」の範囲を限定しており、「本章第三節で規定している特定目的会社を除き、国外会社は上場会社であり、その上場所在地は完全な証券取引制度を整備している場所でなければならない」としている。また「設立申告表」において、外資が合併買収する場合の「合併買収の決済手段」には、「国外上場会社の持分」と「国内会社の持分」の2つの選択肢しかなく、他の形態の国外会社持分を外資の株式交換による買収時の決済手段にはできないことがわかる。

五、参入特別管理措置の適用範囲が画定された

以上の変更点のほか、「公告」では、参入特別管理措置の実施範囲も画定されている。自由貿易試験区内において、国が参入特別管理措置の適用を規定する範囲は、2017年7月10日から、「自由貿易試験区外商投資参入特別管理措置(ネガティブリスト)(2017年版)」の規定に従い実施するとされており、また、自由貿易試験区外においては、国が参入特別管理措置の適用を規定する範囲は、2017年7月28日から、「外商投資産業指導目録(2017年改正)」の中の「外商投資参入特別管理措置(外商投資参入ネガティブリスト)」の規定に従い実施するとしている。

(里兆法律事務所が2017年10月13日付で作成)

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