こんにちわ、ゲストさん

ログイン

アジアマネーを取り込め

アジアビジネスレポート
森辺 一樹

森辺 一樹

無料

2014年3月6日

今年、日本の大手家電メーカーの多くが巨額の赤字を計上した。高い技術力を誇りながらも、韓国や中国勢との競争に苦戦している。しかし、いちはやくアジアマネーを取り込み、成長の糧としようとしている日本企業もある。

長期的な人口減少による内需縮小が止まらない日本。アジア市場を中心とした外需獲得は企業の最大の課題となった。日本企業が過去に経験したことの無い新たな時代への突入だ。

2000年以前の日本企業のアジア進出は、基本的には安価な労働力を求めた製造拠点としての進出が中心であった。とにかく品質の高い製品を安く製造することが最大の目的であった。アジアで安く製造した製品は、日本はもとより欧米先進国が消費してくれたからだ。
 
それが2000年代に入り、アジアは徐々に消費マーケットとしても魅力的な市場を形成していった。しかし、多くの日本企業はこれに出遅れてしまったのだ。最近になりようやく日本の内需縮小に諦めがつき、それを現実視できるようになった日本企業は、ここ数年、積極的にアジアシフトへの重い腰を上げた。アジアのマーケットを理解すること。そしてアジア人材の確保や人材のグローバル化に経営資源を投資し始めた。しかし、これからはアジアのマーケットを理解することや人材をグローバル化することだけではその市場で勝つことは難しいだろう。日本企業はアジアマネーをどう取り込むかがアジアでの競争力を維持するための最大の課題になる。

今、アジアには世界中のマネーが流れ込んでいる。アジアの株式市場の時価総額はここ10年で何倍にも膨らんでいる。香港を含む中国の株式市場の時価総額は既に日本を上回っているし、その他、アジアの主要株式市場の時価総額も金融危機後、いち早く回復、拡大を続けている。
一方で、日本は1,400兆円もの個人金融資産を持ちながら、それが株式市場に注がれることは無く、株式市場は低迷を続けている。長期的な内需縮小で益々経済が低迷するのだとすれば、今後もジャパンマネーへの過度な期待はできない。まさに、負のスパイラルである。

グローバル競争は、資本力の競争そのものである。ライバルとなるアジアの企業はこれらアジアマネーをバックに成長し、今後、これが益々ビジネスの上で力として顕在化していくだろう。自分たちに無い技術力、自分たちに無いブランド力を手に入れにくるのは時間の問題だ。且つての日本がそうであったように。
アジア市場で勝つのであれば、日本企業はアジアマネーをいかにして取り込むか、そろそろ真剣に考える時期が来ているように感じる。

(2012年4月10日記)

ユーザー登録がお済みの方

Username or E-mail:
パスワード:
パスワードを忘れた方はコチラ

ユーザー登録がお済みでない方

有料記事閲覧および中国重要規定データベースのご利用は、ユーザー登録後にお手続きいただけます。
詳細は下の「ユーザー登録のご案内」をクリックして下さい。

ユーザー登録のご案内

最近のレポート

ページトップへ