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【コラム】中国現場体験記(47) 満州族の聖地・長白山と朝鮮族の聖地・白頭山

中国ビジネスレポート コラム
奥北 秀嗣

奥北 秀嗣

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2012年5月16日

(6)満州族の聖地・長白山と朝鮮族の聖地・白頭山
ⅰ.雨フル長白山、天池
翌日、朝早くに延吉のホテルを出発した私は、一路、長白山に向かいました。車で4時間の道のりです。中国語で長白山と言われるこの山は満州族発祥の地とも言われる聖地であり、山の中にある湖、天池でも知られます。中国で「天池」と呼ばれる、輝くような湖は、あとは新疆ウイグル自治区ウルムチ郊外にある天池しかありません。

膨らむ期待に反し、その日は大雨でした。途中、道すがらの昼食を経て、長白山への入り口近くからは環境保護バス(中国語にいう「環保車」)に乗車し、山頂の天池(半分が中国領、半分が北朝鮮領という国境線に存在する湖)を目指しました。ところが、山頂付近はすぐ目の前の人も見えないほどの濃霧に覆われており、下に見下ろせるはずの天池も真っ白だったのです。仕方なく、近くにあった山小屋に座り、時々訪れる霧が晴れる瞬間を待ちました。近くでは韓国人グループが立ち入り禁止区域に入り込み、大声で「大韓民国」の大合唱をしていました。前方の崖下にある天池は一向に見えず、見えなくても良い後ろ側は下まで時々見通せるという有様でした。

山小屋にいた中国人従業員たちに聞くと、長白山が晴れ渡り、天池を見渡せるのは、1年のうち3分の1にも満たないとのこと。1日来ただけで見ようとするのは甘かったようでした。この思いは他日に託することになりました。

ⅱ.二道
(ⅰ)奇跡のワインショップ
山を下りる最終バスは混雑すると思い、最終便よりも前に山を下りることにしました。上りとは異なり、下りは大型のワゴン車程度の大きさのバスでした。日本であれば、客がわずかでも定時になれば出発しますが、中国ではそのようなことは無駄と考えるようです。このときも、人数が集まるまでのんびり待ちながらようやく下山となったのでした。

長白山の麓の街は、二道というところでした。ホテルにチェックインし、早速散策に出かけました。道は舗装もまともにされておらず、水溜りを避けながらの散策でした。中国の地元らしい店ばかりが連なる小さな商店街の中、なぜか場違いにきれいなワインショップがありました。そこでは長白山産のワインや蜂蜜が多数売られていました。見掛けは派手でも内装はいい加減、サービスもいい加減なのが中国流です。しかしこの店はどういうわけか、何から何まで中国らしくなく、場違いの洗練さで店の看板娘がワインや蜂蜜を売っていました。

看板娘:「蜂蜜はブルーベリー入り、朝鮮人参(吉林省では朝鮮人参とは言わず、あくまでも吉林省特産ということを強調します)入り等いろいろあります。これを食べると肌がきれいになります」
浮き足立った私:「じゃ、これを食べればあなたみたいになれますね」
看板娘:「ふふふ」

看板娘にほだされて、長白山産ワインと家族へのお土産用の蜂蜜を買い込んだのは言うまでもありません。

(ⅱ)銭湯
その後、近くの串焼き屋で夕食をとりました。日本の焼き鳥屋に似た串焼き屋は中国にもあります。中国の南方では鴨のあらゆる部位をラー油で辛く味付けしたものがありますが、その昔満州であったこの東北部では、むしろ日本の焼き鳥に近いものが多く出されていました。ただし、衛生的ではありませんので、その点が気になれば、食べるのはもちろん座るのも嫌かも知れません。

炭火で焼き鳥を焼く臭いが全身に染み付いた私は、ホテルの浴場に行くことにしました。近くに展開している人民解放軍の兵士も利用しており、着替えの場所の床はびしょびしょに濡れ、何度も言わないと、乾いたタオルを渡してくれませんでした。

浴槽を覗くと、入った方が逆に不潔ではないかと思えるほど色々な物体が浮き沈みしていました。隣では、垢擦り係りの年配男性がパンツひとつで奮闘中。客の方は、素っ裸で寝転がっていました。中国人はサンダルを履いて風呂に入る、人目では裸にならない、熱い風呂には入らずシャワーのみ使う、と聞いていましたが、少なくとも北京より北の華北地方と東北地方は、日本とさほど変わらないように思えました。

ただ、衛生的ではなかったため、逆に私がシャワーのみ浴びて退散したのでした。


※長白山の最寄駅・白河駅
この列車に乗って次なる目的地・通化に向かった

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