こんにちわ、ゲストさん

ログイン

【コラム】中国現場体験記(30) 新疆ウイグル自治区をゆく~ウルムチの漢族兄弟編~

中国ビジネスレポート コラム
奥北 秀嗣

奥北 秀嗣

無料

2011年10月27日

記事概要

新疆ウイグル自治区では、1回目の旅でのトルファンのウイグル族、2回目の旅でのカシュガルのウイグル族以外、すべての地域で漢族の運転手だったのが気にかかりました。今回は、ウルムチでの漢族の運転手との交流に関する現場体験記です。

(3)旅の運転手とそれぞれの土地
2回目の新疆ウイグル自治区への旅では1回目の旅以上に多くの地域を回りました。交通の関係上、ウルムチを基点とせざるを得なかったため、2010年6月12日から9日間にわたる旅の移動は、以下のようにめまぐるしいものとなりました。

ウルムチ(飛行機)⇒カシュガル(シルクロード鉄道南疆線)⇒クチャ(飛行機)⇒ウルムチ(飛行機)⇒アルタイ(車)⇒カナス湖・カザフスタンとの国境(車)⇒アルタイ(飛行機)⇒ウルムチ

筆者にとっては、旅を共にする運転手が地元の少数民族であるかどうかは非常に重要な要素となります。なぜなら、地元をより知るためには、やはり地場の少数民族と一緒に行動するのが一番だからです。以前、雲南省を旅行したときもほぼ全ての行程で運転手は少数民族(チワン族、ナシ族)でした。湖南省張家界・武陵源を回ったときはトゥジャ族でしたし、吉林省と北朝鮮との国境地域を南下したときの運転手は朝鮮族でした。

しかし、今回の新疆ウイグル自治区では、カシュガルでのウイグル族運転手以外は、すべての地域で漢族の運転手となってしまいました。

① ウルムチの運転手(漢族兄弟)
残念ながらウルムチでの運転手は漢族でしたが、旅の1日目・5日目に案内してくれた運転手の手配の良さは大変満足のいくものでした。ところが、旅の8日目にウルムチに戻ってきたとき、空港に迎えに来てくれた運転手が変わっていることに気付きました。

非常に残念に思った筆者が、「前の運転手とは違うのだね?」と尋ねたところ、「兄さんが熱を出したから、弟の俺が代わりに迎えに来たのだよ」と言ってきたのです。見かけは穏やかな兄とは違い、ごつい弟でしたが、兄からの引継ぎはばっちりのようで、兄弟揃って手配は万全でした(新疆ウイグル自治区は葡萄の産地であり、ワインも産出しているのですが、その多くは赤ワインでした。そこで、白ワインもおいしいのでは?と思った筆者は、この漢族の弟運転手と捜索に出かけ、見事に目的の白ワインを探し出したこともありました。イスラム色の強いカシュガル、クチャ、トルファンとは異なり、首都ウルムチは、かなり漢族化・世俗化しています)。

中国各地でその土地の民族と触れ合うことが好きな筆者が、「少数民族が好きなので少数民族と交流したい」と要求したところ、この兄弟は、それぞれウイグル族やカザフ族の友人を紹介してくれました。

ある晩、彼らウイグル族、カザフ族、漢族の運転手たちと一緒にカラオケに行き、多民族入り乱れてのカラオケ大会を開催しました。ウイグル族、カザフ族の友人(程度の差はあるも、漢族はすぐに朋友=友人となる。すなわち、「朋友」「老朋友」と漢族に言われたからといって、有頂天になると単なる勘違いの恐れあり)は、彼らの民族曲を歌いました。日本の歌がカラオケにあることを発見した漢族の友人は、喜んで日本の曲を次々とリクエストしていました。このようにして、ウルムチの夜は「北国の春」とともに更けていったのでした。

トルコ系の民族であるウイグル族は、地域によって、髪の色や目鼻立ちに差異はあるものの、いずれも漢族や我々日本人とは全く異なる顔立ちです。カザフ族も、旧ソ連であったカザフスタン人と同じ民族であり、騎馬民族として、これまた中央アジアの民、といった外観です。その彼らと中国語(漢語)で会話をし、民族入り乱れてカラオケをしたのは、ウイグルやカシュガル・クチャでの騒乱の喧騒がまだ覚めやらぬ中でした(ただし、敬虔なイスラム教徒は、飲酒はしません。外国人が酒を飲む分には彼らはあまり問題視しませんが、食事については外国人であっても大いに気にする必要があります。後述参照)。

少数民族地域に入り込み、少数民族と実際に会話をし、食事をし、遊んでいると、彼ら自身をより知ることができ、表面的な報道の裏側を垣間見ることができます。新疆ウイグル自治区は、チベット・内モンゴルと並び、独立運動が盛んな土地です。新疆ウイグル自治区における独立運動の主体は、ウイグル族だと言われ、漢族との争いが先鋭化しがちです。カザフ族はウイグル族と同じくイスラム教徒ではあるものの、独立運動にはあまり参加していないようです。

そういった背景があるためかは分かりませんが、ウルムチでの1日目、漢族に似つかわしくなく温厚で物静かであった運転手(兄)が、夜になると一転、ウイグル族たちの前ではボスのように振舞っていました。その反面、カザフ族とは親しそうに会話をしていました。ウイグル族の方はどうかというと、(個々の性格によるかも知れませんが)やはり漢族とはあまり話をしたくなさそうだったのが印象的でした。


※ウルムチの現在 都市化・漢族化が進行している

ユーザー登録がお済みの方

Username or E-mail:
パスワード:
パスワードを忘れた方はコチラ

ユーザー登録がお済みでない方

有料記事閲覧および中国重要規定データベースのご利用は、ユーザー登録後にお手続きいただけます。
詳細は下の「ユーザー登録のご案内」をクリックして下さい。

ユーザー登録のご案内

最近のレポート

ページトップへ