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ログイン2011年10月31日
Q:当社(中国現地法人)の親会社は日本の商社であり、当社は主に日本の得意先と国際貿易を行っています。通常、親会社が日本の得意先から送られてきた引合書を当社に転送し、当社は中国のメーカーに問い合わせて見積もりを提出しています。
最近、当社の従業員Aが、親会社から転送されてきた日本のお客様の引合書を上司に無断で中国のメーカーY社にメール送信しました。
実は、これまで、従業員Aが、Y社と何か特別な関係があるか、あるいは、Y社から利益の提供を受けているのではないかと疑っていましたが、確実な証拠はつかんでいませんでした。
当社の就業規則には守秘義務に関する内容が含まれており、商業秘密の漏洩に対しては解雇できる旨の規定もあります。今回のことで、その従業員を解雇したいと考えていますが、守秘義務違反という理由で合法的に解雇できるでしょうか。
A:確かに、商業秘密は企業の競争力の重要な源の一つであり、その漏洩は、企業の生死に関わることもある重大な問題です。
まず、この引合書が商業秘密に該当するどうかを検討する必要があります。
この引合書が御社の商業秘密であると主張する場合、主に以下の三点を証明する必要があります。
まず、これが一般公開されたものではないということ、特に御社宛に送付されてきたもの、しかも漏洩するまで一般に知られていない情報であること。
次に、商業秘密として保護される顧客情報が、一般的な顧客リストにあるものではなく、「長期的安定的取引関係を維持する」特定の顧客情報、あるいは、顧客の具体的な需要(商品名、品質、価格要求など)が含まれた情報であること。すなわち、潜在的なクライアントからの一般的な問い合わせであるなら、商業的な価値が認められない可能性があります。今回のように、貴社との長い取引関係に基づき発送されたもので、しかも、会社名、商品情報(品名、番号、仕様など)、担当者などの情報が非常に詳しく記入されているものなら、他社に漏れたことは会社にとって非常に大きなダメージになるので、この顧客情報の経済上の価値が立証できます。
また、この情報に関し、秘密表示のあるファイルを作成、パスワードをつけている、あるいは守秘契約を結ぶなどの秘密保持措置が採用されていたかどうかも重要なポイントです。御社の就業規則は守秘義務の範疇に顧客情報を含んでいます。従って、今回漏れた情報が会社の守秘義務に規定された顧客情報に当たると判断できれば、当該情報に対し、秘密保持措置を取れることが立証できます。ただし、今回漏れた情報は、御社自身の顧客の情報ではなく、親会社の顧客の情報であり、守秘義務の対象になるかはさらに分析が必要です。今回の場合は、親会社から依頼を受けて、中国で適切な供給元を探しているので、この取引においては、親会社と子会社の関係ではなく、日本の親会社は御社の顧客に当たるといえます。そうすると、親会社からもらった情報は、顧客からもらった情報ということになります。この日本の得意先は、御社の直接の顧客ではないけれど、顧客(今回は親会社)から提供された重要な情報であり、間接的に、御社の顧客情報に当たると解釈ができます。
もし、御社の顧客情報(引合書)が以上の三点に適合するなら、商業秘密に認定できると思われます。
また、御社の就業規則の懲戒規定に、会社の商業秘密を漏洩した場合、利益を得たかどうかにかかわらず、解雇できると定めてありますので、A氏の行為はこれに当たるとして、会社が労働契約を解除することができると考えられます。
労働関係の管理における商業秘密の保護は、非常に難しい課題です。まずは、自社の内部規則の守秘義務に関する部分について、顧客の情報を取引の実態に合わせた類型ごとに商業秘密項目に詳しく分類するようお勧めします。また、各秘密取り扱い書面に印をつけたり、パスワードを使用したりするとよいでしょう。
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