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ログイン2013年2月4日
2008年9月8日、筆者はオリンピック閉幕直後の北京首都国際空港に降り立ちました。筆者が所属する企業から派遣されての中国語の語学研修が当初の目的でした。今回は、日本企業から派遣された語学研修生仲間たちとの生活の一端を紹介します。
1.中国に来た理由は様々
中国には、メーカー、商社、弁護士事務所、公認会計士事務所等から派遣され、中国語の語学研修にやって来る人たちがいます。
筆者が通っていた語学学校には、語学研修終了後、そのまま現地法人で社長として駐在する人もいれば、本社に戻る人もいました。年齢層も比較的幅広く、なかには自分から手を挙げて中国行きを希望した人もいましたが、多くは、人事異動・ローテーションの一環として、企業から「お前、中国に行け」と指名されて来た人たちでした。私たちは「語学研修仲間」として、年齢などの分け隔てない付き合いをしていました。
中国では日本では出会えないだろう人たちとの交流があります。筆者が通っていた語学学校では、1日中授業があるうえ、予習・復習に追われて時間の余裕がなかったにもかかわらず、毎週金曜日になると、他社から派遣されて来た人たちと一緒に、北京各地の店を食べ歩き、飲み歩きしていました。
中国料理と一口に言っても、北京料理(山東料理)、上海料理、四川料理、広東料理、湖南料理、東北料理等々があり、北京は行きたい店で溢れていました。この食事会には、日本人同士の交流の他にもうひとつ目的があり、それは学校で習ったことの実践トレーニングとして、中国語で中国人に話しかけてみる、というものでした。中国語の上手な人ほど、こういった授業以外の無料レッスンに熱心だったことを覚えています。
タクシー運転手や、レストランの店員など、練習相手になってくれる人には事欠きませんでした。学校の外で、日本人の話す中国語に慣れていない中国人と会話をしていると、中国語のレベルが確実に向上していくのが感じられました。我々語学研修生は、中国語の効率的な習得のため、配偶者のいる人でも単身での生活を会社から求められていました。単身赴任で、異国で独り暮らす不慣れもあり、多くの人が下痢や湿疹、また乾燥した北京の空気に喉の調子を悪くしたり、また、ひどい風邪をひいたりすることもしばしばありました。しかし、この研修生としての生活で、皆が好い年をして、青春の真っただ中にいるような感覚を味わっていた、ということに間違いありません。
2.旅行に、学生生活に
語学研修仲間とは、中国各地を旅して歩きました。日本で家族がいる環境では、社会人をしていると、なかなか自分の時間は取れません。それが中国では、比較的自由な時間が取れますし、「中国語の習得、中国文化に触れる」という名目のもとに堂々と中国全土を回ることもできます。地方に行けば行くほど物価も安いですし、中国56もの民族に出会うこともできます。
筆者の先輩にも、中国各地の大学で語学研修をした方が大勢います。筆者は、語学研修を1年経た後、中国の大学院で中国法を学びました。中国の大学は、中国人の友人(特に海外留学経験のある友達)からも同情されるほど、不親切な場所です。当時は、外国人留学生に慣れている大学の留学コースにいかずに、中国人に交じって普通に学生をしていたことを後悔することもしばしばありました。しかし、そのように揉まれたからこそ、逆に良かったと今では思うことがあります。表面からは分からない中国の神髄に触れることが多くあったからです。このことは、中国留学経験がある諸先輩方からもしばしば指摘されたことです。
「お前、俺が大学に留学していた頃は皆、留学生も中国人との相部屋の寮だったぞ。お前も寮に入れよ。その方がいい勉強になるよ」
3.印象に残る言葉
筆者の記憶に残る言葉に次のようなものがあります。ある大手企業の中国総代表を務められた方で、社会人になった後に、会社からの指示で中国の大学に留学し、その後、中国駐在を繰り返された方の言葉です。
「俺は会社員になる前、大学生のときにはイギリスに留学していた。そのときの彼女はフランス人だった。全く中国とは関係ない世界で生きてきた。だから、社会人になったら、格好良く欧米関係の仕事をするものだと思っていた。それが会社から命令されたのは、中国行き。なぜ俺が中国だ?と思ったよ。今とそのときとは、中国も全く違うしね。でも、今では中国で生活してきて、中国語を話して、留学のときに知り合った中国人の友達たちがそれぞれに中国で偉くなっていて。俺の人生も、学生のときの想定とは変わったけど、本当に良かったと思っている。でも、会社を退職したら、南仏に妻と移住しようかな。ハハハ」
こう言いながら、この方は、第二の人生も中国にかかわる仕事をされています。子女もこの父親に影響されたのか、中国に長らく留学していて、そのときにアルバイトで、中国にある博物館の説明文を日本語に翻訳する仕事をやったこともあったようです。
「うちの娘がやる程度の翻訳が堂々と日本語の説明として博物館で載せられているのだから、中国もいい加減なものだよ」
「いい加減な中国」を心から楽しんでいる、という顔をしていました。
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