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ログイン2014年9月8日
筆者の初中国出張は、北京、上海、広州、香港の大都市を縦断するものでした。なかでも、広州の花園酒店(花園ホテル)の玄関ロビーを見た際に、最も強く「中国に来た」という思いがしたことを記憶しています。なぜなら、花園ホテルのチェックインカウンターの背景にそびえる壁が、一面金ぴかに輝いていたからです。中国中を廻り、中国人の好みに慣れた今でも、初めてこの壁を見たときの衝撃は忘れられないものとなっています。
今回は、日本人の好きな「わび・さび」と中国人の好きな「金ぴか」についての現場体験記です。
1.お土産のお菓子
2008年、北京で語学研修を始めたばかりのことです。筆者はFESCOで、マンツーマンによる中国語レッスンを受けていました。マンツーマンレッスンゆえ、同級生はいませんでしたが、多くのメーカー、商社の駐在予定者、研修生が同じFESCOの建物内で授業を受けていました。午前に3時間、午後も3時間、それぞれ違う講師のレッスンを受けるというものでした。休み時間や昼食時間は、他の講師を含め、皆で会話レッスンをしたりしていました。
午前の講師は、日本での生活経験を持つ北京人の男性講師(50代)でした。日中両文化に通じたこの講師は、多くの会社が代々引き継ごうとする、人気No.1の講師でした。日中文化の違い、日本人と中国人との考え方の違いなど、雑談が楽しい講師でした。
H講師:「日本人はわび・さびでしょ?お土産のお菓子を中国人にあげる場合、あまり品の良い和菓子などはあげないほうが良いよ」
筆者:「どうして?」
H講師:「そんな小さいもの、喜ばれないし、箱の見た目も地味だから」
筆者の心の中:「日本から持ってきた和菓子は地味だったのか・・・」
次に日本に一時国したときには、前回よりも安いにもかかわらず、箱が大きく包装が派手はお菓子を講師へのお土産として選びました。
中国人講師軍団:「これは良いね!」
筆者の心の中:「お土産には繊細な高級和菓子よりも、度派手な箱に入ったものの方が喜ばれるのか・・・。財布にはやさしいが・・・」
2.銀より金でしょ!
青海省西寧のタール寺に行ったときのことです。タール寺はジョン・カパ(ツォンカパ)ゆかりのチベット仏教寺院です。ジョン・カパ(ツォンカパ)はチベット仏教最大の学僧であり、代々のダライ・ラマの所属する宗派ゲルク派(黄帽派)の開祖です。タール寺はチベット仏教寺院ではあるものの、僧侶の大半は漢族とのことでした。バター油で燃える火、そのバター油の匂いが印象に残る寺でした。普段はガイドをつけない筆者も、チベットやチベット仏教寺院を廻るときには、当地の規定に従いガイドをお願いしました。西寧の空港に迎えに来たガイドは、中国の少数民族である土族(トゥー族)の女性でした。ラサに住むチベット人の友人によると、この女性ガイドは無宗教の日本人が「仏教信者」という意味に近い「チベット仏教信者」だとのことでした。
タール寺で、ジョン・カパ(ツォンカパ)由来の大銀塔を見ていたときのことです。土族ガイドがさらっと、「この塔が大銀塔です。1年前までは銀色でしたが、今は金を塗ってあります」と言ったのです。
筆者は、「大銀塔なのになぜ金?しかも1年前という直近になって、なぜ歴史ある建造物に張るのを金に替えた?」と疑問に思いました。たとえは変ですが、「(銀は塗られていませんが)銀閣寺を、今日から金に塗り替え、金閣寺にしました」と言っているように感じたのです。
早速理由を聞きました。青海省の政府(漢族)が決めたからということでした。それからガイドはこう言ったのです。
「金の方がきれいでしょ」
一律に分類区別することはできませんし、中国人にも日本人にも変化は見られるものの、一般に、「派手好き・見た目重視の中国人」と「わび・さび好き、中身重視の日本人」という違いを感じることを中国では多く経験しました。前述の中国語講師のコメントと、土族ガイドのコメントも、中国人と日本人の好みの違いを感じさせるものでした。
以 上
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