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【中国深読みコラム】第17回~中国の家電・IT産業~

中国ビジネスレポート コラム
松本 健三

松本 健三

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2015年4月9日

 前回は自動車で、今月は中国の家電・IT産業動向と日本の関係を最近の話題を含めて解説します。3月31日に
華為技術(深セン市、ファーウェイ)が発表した2014年度決算は、売上高が20.6%増の2,881億9,700万元(約5兆5,700億円)、純利益は前期比32.7%増の278億6,600万元(約5,400億円)で、いずれも過去最高を更新。華為技術の売上高は米ドル換算465億米ドルとなり、通信機器業界最大手のエリクソン(スウェーデン)の276億米ドルを上回り2年連続で世界1位となりました。この数字は日本最大の家電メーカーであるパナソニックの7兆7,365億円(2014年連結決算)に迫る数字です。

典型的な素材組立産業である家電やパソコン・携帯電話は、2000年ごろまでは日本が圧倒的世界シェアを誇っていた分野ですが、ここ10年前後で状況は一変、コスト競争力低下により、生産は韓国、台湾、東南アジア、中国に移転して行きました。現在ではこれらの国・地域で世界生産をほぼ独占しており、又所得の向上により、日本を凌駕する大きな市場に変貌しております。

 まず主な家電、PC、携帯電話における生産と販売台数を日本と中国で比較してみます。

(数字は2013年度)左:日本VS右:中国
薄型液晶TV販売:630万台 VS 4,370万
テレビ生産台数:1,122万台 VS 1億268万台
洗濯機生産台数:430万台 VS 7,145万台
冷蔵庫生産台数:450万台 VS 9,436万台
エアコン生産台数:830万台VS 1億4,233万台
パソコン販売台数:1,521万台 VS 8,520万台
ノートPC生産台数:450万台 VS 2億台
携帯電話生産台数:1,570万台 VS 16億台
携帯電話保有台数:1億3,679万台VS 12億5,200万台

 以上の他にも参考指標はありますが、注目すべきは、ノートPC世界生産の96%が中国で、そのうち半分の1億台が重慶市一ヶ所で生産されており、また携帯電話は米国のアップルやモトローラ、韓国のサムソンとLGなどが中国でOEM生産しており、世界生産の85%が中国から出荷されていることです。ここまで圧倒的シェアと強固なサプライチェーンが構築されていると、単に人件費が高騰しているという理由だけでは、これらの生産を簡単に他の国・地域に移すことは難しくなります。

 最後に日系企業の状況を簡単に報告します。2月2日、パナソニックは超薄型テレビを生産していた山東省済南市の合弁会社、山東松下電子信息が1月30日で稼働を終了したと正式発表しました。2013年には上海市のプラズマテレビ工場も閉鎖しており、これでパナソニックの中国テレビ生産拠点はなくなりました。日立、東芝も2013年に中国でのテレビ生産事業を打ち切っており、日系で残るはサンヨー、ソニー、シャープの3社のみとなります。  
同じく2月2日付け中国新聞網によりますと、ソニーは中国家電量販店大手の国美電器店舗内にソニー製品専用コーナーを300店設置して、売上倍増を目指すとあります。日系家電メーカーにとっては、残るも地獄、去るも地獄の厳しい局面が続きそうです。

以上

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