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ログイン2020年7月20日
楽天的な人間の多い中国人が今年2020年しばしば言う言葉があります。「今年の目標は生き抜くこと、生き抜けば来年は何とかなるだろう」
浙江省居住の筆者が行きつけにしている日本居酒屋(中国人夫婦が経営)では、政府指示により新型コロナウイルスの影響で長期間営業できなかったり、営業再開となってからも政府からしばらくはお持ち帰りしか認められず、その後店内で飲食ができるようになってからも客の人数制限が要求されたりしていました。3月の営業再開後、ようやく少しずつ回復してきたと思いきや、2020年6月になって発生した北京市でのいわゆるサーモン事件により、刺身などの生モノの提供が禁止されました。夫婦共同経営の妻の方は、あまりのショックに寝られず、ベランダで外を眺めながら夜明けを待ったこともあったという始末。中国男性は一般に女性の尻に敷かれていることから、夫も寝るに寝れず、妻に付き合って夜明けまでベランダにいたそうです。
今回は、2020年7月現在の中国における新型コロナウイルスの状況と世界で何かと話題となっているTikTok(中国語で「抖音」(douyin))を利用して見た日本人監督竹内亮さんによる「好久不見、武漢」(お久しぶりです、武漢)に関連する現場体験記です。
今年は新型コロナウイルスの発生、中国華東地区では大雨が続き洪水の危険が発生するなど、災難続きとなっています。2020年7月15日現在、中国国内における新型コロナウイルスの状況は落ち着きを見せ始めているものの、ある地域で一旦感染者が発生すると、当該地域や原因と疑われる物は大幅に管理強化がなされるなど、中国では今も日々油断できない状況が続いています。
例えば、2020年6月に北京市の市場において、サーモンを切っていたまな板から新型コロナウイルスが発見されるといういわゆるサーモン事件が発生する前までは、中国は徐々にコロナウイルス警戒規制が緩和されてきていました。しかし、当該事件の発生後、中国各地では、中国国内の日本居酒屋・スーパーマーケット等には、サーモンはもちろん刺身等の生モノの提供・販売を禁止する通知を発布することになりました。今も筆者が居住する浙江省では当該通知は取り消されていない状況にあります。
筆者:「We Chatで送ったけど、生モノ提供禁止の通知が地方政府から出たよ」
日本居酒屋経営者(中国人):「聞いていなかった。刺身を提供できなくなるし、中国人にサーモンや日本料理の印象が悪くなるしで踏んだり蹴ったりだ。刺身の在庫もいっぱいあるのに・・・」
数日後、機嫌を多少取り戻した(度重なる経営難に麻痺してきただけ?)日本居酒屋経営者夫婦が筆者に言いました。
「今度果物販売をネットで始めた。他にも野菜でも何でも取り扱いがあるし、おいしい。あなたも試してみて」
この夫婦は中国人にとっての日本料理の象徴的なイメージであるサーモンや刺身が提供できなくなるなど経営が苦しいことから、今年を生き抜くために違った商売を始め、何としても今年は食つなぐとのことでした。
日本居酒屋経営者(中国人):「生きてさえいれば来年は何とかなる。今年の目標は生き抜くこと」
あるとき北京週報を読んでいると、「好久不見、武漢」(お久しぶりです、武漢)というドキュメンタリーの記事が掲載されていました。監督は中国江蘇省南京市に居住する日本人竹内亮氏とのことでした。
筆者は2013年から2015年にかけて中国湖北省武漢市に妻子とともに駐在赴任しており、武漢での新型コロナウイルス発生の海鮮市場は当時の筆者の居住していたマンションや会社事務所にも近かったことから他人事とは思えないものがありました。そこで、「好久不見、武漢」(お久しぶりです、武漢)に興味を持ち、TikTokで見てみました。
竹内監督が武漢市在住の中国人にインタビューをするドキュメンタリーでした。始めに出演していた武漢市の日本居酒屋はまさしく2013年より開店し、筆者も何度も通った日本居酒屋でした。その後の武漢最大のデパートでの中国企業家の話の時にも、当時の筆者のマンションはこのデパートから100mほどの位置にあり、このデパートの地下にあるスーパーマーケットは筆者家族の行きつけにしていた個所でもあり、このドキュメンタリーの内容は、筆者には身に迫るものがありました。
筆者は日本で過ごしていた春節休みを終え、勤務先工場の操業再開準備のため、2020年2月9日に浙江省に戻ってきました。本日現在、既に5か月が経過しました。普段であれば、5月の日本のゴールデンウイーク(中国では労働節休み)や8月の夏休みを利用して日本に一時帰国していたのですが、今日本人が日本へ帰国すると中国での居留許可証が無効となってしまいます。中国で省レベルでの特別許可証を受領できていれば、一時帰国中に在日本の中国大使館にて中国への出張ビザが取得できるかも知れないという状況です。
日本では2週間の自宅待機、中国に戻ることができたとしてもホテルでの2週間の集中隔離(ホテルへの移動は政府が準備したバスで、運転手は防護服を着ている状況)、その後自宅待機1週間と合計5週間もの隔離・待機が必要となるため、日本への一時帰国は現実的ではない状況にあります。
筆者は浙江省でイタリア企業と日本企業との合弁会社に勤務していますが、合弁パートナーから派遣されているハンガリー人駐在員も筆者同様に自宅に一時帰国もできない状況にあります。我々が家族に会えるのも来年以降かも知れないが、「来年は何とかなるだろう」と思って今年は生き抜こうというのが現状です
以上
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