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にぎやか好きの中国人と過去にこだわらない姿勢~観光地の変化から見る中国均一化の兆~

中国ビジネスレポート コラム
奥北 秀嗣

奥北 秀嗣

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2021年5月17日

中国人は非常ににぎやか好きであり、食事も大勢でにぎやかに飲むときもにぎやかに行うことを好みます。例えば恋人の誕生日の時には二人での食事ではなく、大勢の友人を呼んでにぎやかに食事をすることを好む傾向にあります。その他にも、中国人のにぎやか好きの気質は中国国内各地の観光地に行った時にも気づかされます。

筆者は、コロナウイルス騒動発生後の2020年2月9日に日本への一時帰国から中国に戻った後中国で生活を再開し、2021年2月18日に日本への1か月の再度の一時帰国を終え中国に戻りそれ以降も中国で生活しています。

2020年3月には居住地である浙江省から上海市に行き始め、同年4月からは可能な範囲で中国国内の旅に機会を見て出かけることを再開しました。その中で2020年末から2021年初に旅した雲南省麗江古城(2009年に続き2回目)、2021年4月に旅した山西省平遙古城(2009年に続き2回目)、2021年5月に旅した広西チワン族自治区桂林・陽朔(2014年に続き2回目)という3か所の世界遺産の過去と現在の姿から中国人(漢族)気質について感じたことを記載します。

1. 少数民族風景も歴史ある建物も尊重意識が薄い
中国人、特に漢族は何事も前しか見ない。後ろを振り返らない特徴があります。これは象徴的な意味でも実際の意味でもです。過去の歴史ある建物も壊してしまい、再度作り直してしまうことが多々あります。車を運転する際にも前しか向かず、後ろから来る車に注意を振り向けない傾向が強く見られます。

雲南省麗江古城と山西省平遙古城はいずれも世界遺産です。2009年訪問時(火事の前)には麗江古城は当地の少数民族であるナシ族(納西族)の色彩の濃い街並みでした。しかし2021年訪問時には完全に中国の多数民族である漢族好みの街並みに商業化され、以前の建物の多くが取り壊されていました。夜には大音量の音楽と歌声が流れる中国式バーや中国ディスコがあふれる街並みになっていました。
筆者達:「世界遺産をここまで作り変えても良いのだろうか?世界遺産登録をはく奪されたりはしないのだろうか?」

一方、山西省平遙古城には12年間の訪問時とあまり変化は見られませんでした。ウィキペディアによると、「平遥は明代から清代末期まで晋商とよばれる山西商人の拠点であり、特に清代末期は為替業務で栄えた中国の金融中心地であったが、清末から民国期の動乱に際して業務継続が困難となり、20世紀後半には貧困地域に転落した」との記載がありますが、それを理解させる話がありました。
筆者:「麗江古城は以前と今とは全く別物になっていたが、平遙古城には変化がそれほど見られない。古城内にも相変わらず人が住んでいるようだし、昔の趣が残っている」
平遙古城の中で雇ったガイド(天津市から山西省に嫁入りしたとのこと):「山西省はお金がないから商業化したくてもしようがない」

同じく世界遺産であり、2009年当時には同じように地域風情にあふれた古城でも、2021年時は大きな違いとなって表れていました。外地からやって来た地元民ではない漢族が開発すると、中国のどこに行っても同じような形態の商業化をし始めるのでした。

2. 桂林・陽朔も商業化の激しい波が
2014年4月の清明節時の訪問に続いて、2021年の5月の労働節に筆者は広西チワン族自治区の桂林と陽朔を再訪問しました。この旅の大目的は、筆者にとって中国世界遺産55個所のうち54箇所目の訪問地となる「左江花山の岩絵の文化的景観」見学とベトナム国境線(河の半分はベトナム、半分は中国にあり中国とベトナムの協定により今は上陸は当然できないが、中国の見学船もベトナム側の河に行ける)にある徳天瀑布見学でした。しかし折角遠く広西チワン族自治区まで来たこともあり、また同行する友人も久しぶりの訪問ということもあり、桂林の川下りと川下りの到着地の街・陽朔も再訪問することにしたのでした。

2014年時に乗船した時は、船の周りには小さな船に乗った果物等の物売りの人が多くていてそれが一種の風物詩となっていましたが、今はエアコンの効いたきれいな船での川下りになっており、周囲には物売りも漕ぎ出して来ない環境となっていました。コロナウイルス影響だけでなく、そもそも物売り自体が、この観光船の形態では成り立たなくなったのかと思いました。

到着地の陽朔も昔のバックパッカーの欧米人が多くいた街並みはなくなり、完全に漢族の商業化の街となっていました。労働節の5連休休暇ということもあり、夜の街は人の波にあふれかえっていました。
筆者:「陽朔は商業化が激しいから、陽朔西街という中心街ではなく、外地人ではなく地元民が作っている地元民の料理を食べに行きたい」
現地運転手:「陽朔は観光客向けに外地人が作ったレストランばかりになったし、建物賃貸料も高いから料金も高いからね」

観光地を訪問した楽しみである地元らしさ、少数民族チワン族文化の良さを探すためには、中国でも有数の有名観光地である桂林・陽朔では特別に探しに出かける必要性が発生してしまうのでした。中国中どこに行っても均一化の商業化の波は筆者には観光地に行く楽しみ、少数民族らしさを味わう楽しみを奪うように感じられるのでした。

以 上

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