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外資企業の増資項目における注意事項

中国ビジネスレポート 投資環境
王 穏

王 穏

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2010年9月21日

記事概要

中国は外貨に関する規制が比較的厳しく、増資の決定後も本社からの振込み、使用がすぐにできるわけではありません。本稿は、中国での増資における注意事項について簡単にまとめています。【1,499字】

今年2010年の後半から、日系企業、特にメーカーの多くが景気の回復を感じているようです。それを受けて、設備投資や規模拡大のために、増資を検討、実施するわけですが、中国は外貨に関する規制が比較的厳しく、増資の決定後も本社からの振込み、使用がすぐにできるわけではありません。つまり、増資計画と実際の増資手続きに“ずれ”が生じてしまうケースが往々にして見られるのです。
本稿は、中国での増資における注意事項について簡単にまとめています。

1、登録資本と投資総額の比率

1)投資総額300万米ドル以下:
登録資本≧投資総額の70%。

2)投資総額300万米ドル以上、1000万米ドル以下:
登録資本≧投資総額の50%、且つ登録資本は210万米ドルを下回ってはならない。

3)投資総額1000万米ドル以上、3000万米ドル以下:
登録資本≧投資総額40%、且つ登録資本は500万米ドルを下回ってはならない。

4)投資総額3000万米ドル以上:
登録資本≧投資総額の三分の一(33.33%)、且つ登録資本は1200万米ドルを下回ってはならない。

注:増資についても、登録資本と投資総額の追加分の比率が上述の規定を満たさなければならない。
根拠:「中外合弁企業の登録資本と投資総額との比率に関する国家工商行政管理局の暫定規定」(工商企字[1987]第38号)

2、投資総額の意義

1)投資総額に基づき確定した外商投資企業の登録資本
2)投資総額に基づき確定した外商投資企業の自社設備輸入免税枠
3)投資総額に基づき確定した外商投資企業外貨借り入れ枠
4)投資総額に基づき確定した外商投資企業認可権限区分

3、投注差

「投注差」とは、外商投資企業の投資総額と登録資本の差額を指す。外商投資企業は「投注差」について外債を借り入れることができる。外債には短期外債及び中長期外債を含み、短期外債に計上した場合は「残高」となり、中長期外債に計上した場合は「累計発生額」となる。

4、登録資本の支払期限

1)会社法の規定
初回の出資額は登録資本の百分の二十を下回ってはならない。残額は二年以内に払い込む。銀行、証券会社等の投資企業は五年内に払込めばよい。

2)外経委が認めている払込み期限は通常次のとおり。
初回の出資額は登録資本の百分の二十を下回ってはならない。残額は一年以内に払い込む。

3)増資額の払込み期限は工商営業許可証の初回変更後から起算する。

5、増資に関する書類作成の要件

1)実現可能性調査報告書(FS報告)の内容は会社の前年度監査報告と連結しており、且つ増資の用途を明記し、また具体的割当を列記すること。

2)書類への署名捺印(本社、現地法人の捺印)。

6、資本金払込み後の出資金検証業務における注意点

1)出資金検証報告のコピー(銀行の振込書、確認書等)は会計士事務所の捺印が必要。

2)銀行の振込書の振込人は通常英文表記であり、一方営業許可証の株主名称は中文表記となるため、確認書に振込人を記入するときは英文、中文の両方を明記することが必要である。両言語で明記することで、翻訳会社に別途英文と中文の内容が一致することを証明してもらう必要がなくなる(注:一部日系の銀行は確認書に「振込人の中文名については承認しない」と明記されている場合もあり、その場合は翻訳会社に翻訳を依頼することになる。)。

7、工商変更登記の費用

1)経営範囲、登録住所等の工商変更の費用は通常110元。

2)登録資本の変更で、追加部分の金額と原登録資本の和が1000万人民元を下回る場合は、追加分の0.8‰を徴収する。1000万人民元を超える場合は、超過部分の0.4‰を徴収し、1億人民元を超える場合は、超過部分については徴収しない。登録資本が外貨の場合は、当日の為替レートで換算する。

(1,499字)

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