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民事訴訟における出国制限措置

中国ビジネスレポート 法務
王 倩

王 倩

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2012年4月10日

Q:当社は日本に設立されている会社です。最近、中国国内企業から商品を輸入しましたが、商品の品質に問題があったので、一部の支払いをストップしました。相手方は中国の裁判所に訴えると言っています。トラブル解決のため、当社の責任者は中国に渡り、相手方と交渉をする予定です。ただし、中国法には、民事訴訟中の外国人に対し、出国制限をする制度があると聞いたのですが、具体的な内容を教えてください。

A:中国の民事訴訟における出国制限措置とは、判決の執行を保障するため、執行完了まで、相手側の当事者又は当事者会社の代表者、責任者の出国を制限する措置を原告が法院(裁判所)に申立ることに関する一連の規定です。ここでいう当事者とは、被告又は訴訟における第三者のことを指します。

出国制限措置は中国人のみならず、外国人にも適用されます。法院は原告の申立に応じて出国制限の決定を下した後、公安機関にその旨通達します。一回の通達における出国制限期間は3か月以下となり、期限前に延長することができます。また、法院は、当事者のパスポートやその他有効な出入国証明書類を差し押さえる決定によって、出国制限を加えることもできます。

被申立人は、出国制限措置が取られたとしても、中国国内において人身の自由が制限されることはないと言っても、特に中国在住ではない外国人にとって、大きな制限になると言えます。したがって、外国人に対して出国制限措置を取ることに関して、法院は通常、慎重な姿勢を示します。

まず、外国人当事者の出国が案件の審理と執行に与える影響を考え、また、出国制限措置によって当事者が被る可能性のある損害を考慮し、相当する金額の担保の提出を原告に要求します。担保金は人民元5万元を下回ってはなりません。また、不動産や自動車などの担保も認められています。

但し、理由不十分のまま、出国制限措置に関する決定を下した判例もあります。例えば、原告が勝訴する可能性がほとんどない訴訟でも、原告の要求通り、相手側の当事者に対して出国制限措置を決定したり、又は、すでに財産保全が行われ、保全された財産の金額が訴訟請求金額をほぼカバーできている場合でも、被申立人に対して出国制限を課したりしています。

また、原告が十分な担保を提供していないのにもかかわらず、法院が出国制限措置の決定を下すこともあります。これは、相手側当事者が一日も早く出国したいという願いを利用して、自分に有利な条件の和解案を承認させることにつながり、原告による当該制度の濫用の可能性も出てきます。

法院が申立に応じて出国制限措置を決定した後、被申立人は再審理を要求することができますが、再審理の期間中は、出国制限は依然として有効のままです。被申立人は、訴訟請求金額に相当する担保又は保証金を提出して、出国制限を解除することができます。

以上をまとめると、相手に民事訴訟を提起される恐れがあるのであれば、被告又は被告の会社代表者、責任者は、訴訟期間中に出国する必要がある場合、なるべく早期に出国すべきです。また、海外にいる場合、中国に入国の必要性も慎重に検討してください。中国入国後に、相手が訴訟を提起し、法院による出国制限措置が行使されると、再審理手続きによる解除の可能性は低いといえます。その場合、通常は原告との和解を通じて、トラブルの早期解決を図ることになります。和解が成立しない場合は、法院が判決を下し、更に判決が執行されて初めて、出国制限が解除されます。訴訟進行中に出国したい場合は、訴訟請求額の全額に相当する担保を法院に提供することで、出国制限の解除が可能となります。

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