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ログイン2012年10月31日
昨今、少なからぬ企業より「統括会社」に関する問合せを受けている。実のところ、「統括会社」は中国法上の概念ではなく、中国法において「統括会社」と対応する概念としては、一般的に、外国投資者がある地域の複数の関連会社をまとめて管理する目的のため、投資性会社または管理性会社という方式で設立した会社を指す。中国で統括会社を設立することは、各社関連部門間の業務処理に対する支援、企業管理の強化、新業務市場開拓のほか、経営管理の更なる集約、企業グループの持続的発展の実現を可能にする。
投資性会社または管理性会社の形式で統括会社を設立すれば、ある地域における複数の関連会社を統一管理することが可能となるだけでなく、現在、中国では投資性会社または管理性会社の地域本部申請を奨励しており、それらに対し多方面にわたる支援を行っている。例えば、地域本部と認定された投資性会社または管理性会社はより多くの営業活動に従事することが可能となる。このため、現在、地域本部機能を備えた投資性会社及び管理性会社は既に少なくない。投資性会社と管理性会社の概念、機能、設立条件、経営範囲、融資能力、資本金運用及び優遇政策等における違いを企業の皆様の理解しやすいよう、地域本部機能を具備する投資性会社及び管理性会社を例に、以下のとおり表にまとめて紹介する。
1.親会社の信用が良好であり、申請前年度の親会社の資産総額が4億ドルを下回らず、且つ親会社は中国国内に外商投資企業を設立済みであり、払込登録資本金の出資額が1,000万米ドルを超えている。又は、親会社は中内に外商投資企業を10社以上設立済みであり、払込登録資本金の出資額が3,000万米ドルを超えている。
2.合弁方式で投資性会社を設立する場合、中国投資者の信用が良好であり、申請前年度の当該投資者の資産総額が1億人民元を下回らない。
3.投資性会社の登録資本金は3,000万米ドルを下回らない。
前述の投資性会社設立に関する一般条件のほか、地域本部となるには下記の条件に合致しなければならない。
1.払込登録資本金が1億米ドルを下回らない。又は、払込登録資本金が5,000万米ドルを下回らず、申請前年度に自身が投資した企業の資産総額が30億人民元を下回らず、且つ利潤総額が1億人民元(連結財務諸表の関連規定に基づき計算する)を下回らない。
2.登録資本金のうち少なくとも3,000万米ドルを、自身が投資設立する外商投資企業への出資、又は親会社または関連会社が投資設立済みである外商投資企業の出資金払込未了分若しくは増資への出資等に充当する。
3.研究開発機関を設立済みである。
1.親会社の資産総額が4億ドルを下回らない。
2.親会社が中国国内において投資した累計払込登録資本金総額が1,000万 米ドルを下回らず、且つ親会社より授権され管理する中国国内外の企業が 3社を下回らない。又は、親会社より授権され管理する中国国内外の企業 が6社を下回らない。
3.管理性会社の登録資本は200万米ドルを下回らない。
・登録資本金1億米ドル以上の場合、融資金額は通常、払込登録資本金額の6倍まで。
2.関連手続の流れ(上海地区を例)
http://wz.investment.gov.cn/SFI/guide/touzixinggongsi.html?name=投
3関連する法的根拠
1)「外資による投資性会社設立に関する規定」及びその「補充規定」
2)「上海市の多国籍企業の地域本部設立奨励に関する規定」
3)「多国籍企業の北京での地域本部設立奨励に関する若干規定」及びその「実施弁法」
4)「広州市の本部経済発展の加速に関する実施意見」及びその「付帯文書」
5)その他の関連法律規定
2.関連手続の流れ(上海地区を例)
http://wz.investment.gov.cn/SFI/guide/guanlixinggongsi.html?name=管理性公司
3.関連する法的根拠
現時点では、地方規定のみである。以下はその例。
1)「上海市の多国籍企業の地域本部設立奨励に関する規定」
2)「多国籍企業の北京での地域本部設立奨励に関する若干規定」及びその「実施弁法」
3)「広州市の本部経済発展の加速に関する実施意見」及びその「付帯文書」
4)その他の関連法律規定
投資性会社、管理性会社それぞれで統括会社を設立した場合を比較し、利点と弊害及びその他注意事項を以下にまとめた。
1.経営範囲において、通常では投資性会社(投資、管理、販売)>管理性会社(管理、販売)となる。
2.設立コストにおいて、投資性会社の設立はコストが高く、手続も複雑である。管理性会社の設立は比較的コストが低く、手続も容易であり(地方の許認可機関による認定のため)、機能としての管理業務の実施においても柔軟性がある。よって、実際に、少なからぬ多国籍企業が管理性会社(地域本部)を設立している。なお、一般的に、中国における既存の会社を投資性会社(地域本部)または管理性会社(地域本部)に変更する方法は、会社新設に比べ、コストは相対的に低いが、実務処理はやや困難であると思われる。
3.機能において、投資性会社の登録資本金は直接再投資に使用できる。また、投資性会社が国家級の地域本部に認定されれば、通常では、財務会社、ファイナンスリース会社等の設立も可能となる。
4. 融資能力において、投資性会社の融資可能額は一般的に管理性会社の融資可能額を上回る。
5.助成金において、実際、中国各級政府部門には多国籍企業が投資性会社または管理性会社の形式で中国に地域本部を設立することを奨励する意図があり、地域本部として享受できる優遇措置を定めている。通常では、それらには設立資金援助、建物賃借補助、財政補助、高級管理職への奨励金等が含まれる。
以下は、現在、上海地区において投資性会社または管理性会社として地域本部を設立した場合の主な優遇政策について、簡潔にまとめたものである。実務においては、事業の規模、状況及び関連部門との協議状況に応じて具体的に判断する必要がある。
・長寧区:経営期間において、年収500,000人民元以上の高級管理職(総理、副総経理、財務責任者またはその他高級管理職)に対し、申請後確認の上、毎年3万~6万人民元の奨励金を与える。(享受できる人員、享受する具体基準については2年毎に確認を行う。)
以上のとおり、企業は係る関連企業に対する統一管理を実現するため、実際の必要に応じて、投資性会社(地域本部)及び管理性会社(地域本部)の機能等各方面の違いを総合的に考慮し、新規設立または会社変更を選択の上、中国において投資性会社(地域本部)、管理性会社(地域本部)を設立することができる。
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