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ログイン2015年5月13日
クロスボーダー電子商取引とは、それぞれ異なる関税地域に属する取引主体が、電子商取引プラットフォームを通じて取引を成約させ、代金を決済し、取引対象を郵便または宅配便などの形式で通関を行う国際取引方式を指す。また、国外主体からみれば、直接クロスボーダー電子商取引プラットフォームを通じて中国の消費者向けに商品販売を行い、商品販売量および利益成長を拡大する目的を実現させることができる。本文では国外主体がクロスボーダー電子商取引に参加するビジネスモデルおよび法律面での留意点を以下のとおり簡潔に紹介する。
一、ビジネスモデル
方式 | 典型事例 | 物流 | 特徴 | |
① | 国外主体が直接国外にて自らのショッピングウェブサイト設立し、または国外の電子商取引プラットフォーム上で店舗を開設する | 米国Amazon 日本楽天市場 日本Yahoo! JAPAN |
中国の消費者が商品注文を成立させた後、国外主体は「海外郵便直送」、または「中継輸送」の方式を通じて中国へ発送する[1] | 当該国外主体は、通常、所在国の法律の管轄を受け、中国の法律の管轄を受けない |
② | 国外主体が中国電子商取引プラットフォームに参入し、関連ブランドの旗艦店を直接開設する | Tmall Global | ① に同じ | 通常では、当該国外主体は電子商取引プラットフォームが設ける規則および提示された店舗運営、アフターサービスなどの面に関する要求を遵守しなければならない |
③ | 国外主体が中国で会社を設立し、設立した会社が中国国内の電子商取引プラットフォーム上で店舗を開設し、または自らショッピングウェブサイトを設立する | Tmall商城上の各種ブランド旗艦店 | 中国の会社は、通常、一般貿易方式で商品を中国国内に輸入した後、自らが直接販売し、消費者への発送を行う | 中国の会社の設立、管理、運営およびその後実施されるオンライン販売などについては、中国法の外商投資参入規制および経営資格などの要求に合致しなければならない |
二、法律面での留意点
1. 知的財産権侵害のリスク
一般的に、同一商品(たとえ外観などにおいて細かな違いがあるとしても)について、所在国の定価が国外の国の定価より高い場合、理性的な消費者はいずれも国外商品を買い求めようとし、これは中国消費者がクロスボーダー電子商取引の方式を通じた国外主体からの食品(幼児用粉ミルク)、化粧品、電子製品などの購入を選択する原因となっている。
理論上、前述の方式①、②、③において、国外主体(それが中国において設立した会社を含む)の販売する商品が当該国外主体の所在国および中国のいずれにおいても、例えば商標権、特許あるいは著作権などの知的財産権を有しており、且つ国外主体が当該知的財産の国外権利者でないといった場合、それが商品を中国国内消費者に転売する行為が中国国内の知的財産の権利者の許可を得ていない状況においては、当該国外主体(国外主体が中国において設立した会社を含む)は知的財産権の権利侵害リスクに直面するものと思われる。
現在の実務において、中国が特許法で前述の輸入行為を明確に禁止している以外に、商標権および著作権の分野では、立法面で差し当たり明確な規定がなく、司法実務においても統一的な認識を得ていない。ただし、訴訟主体の確認、準拠法、証拠収集、訴訟コストなどの多くの要因により、前述の状況から知的財産権侵害紛争が直接生じる可能性は低い。しかし、立法および司法実務において統一的な認識が形成されていない状況では、国外主体がクロスボーダー電子商取引に参加する際、知的財産権侵害リスクについて適度に留意しなければならない。
2. 輸入税の納付
方式③において、国外主体が出荷した後、国内の中国国内会社を荷受人とする、貨物貿易方式で輸入商品の通関申告を行う場合、特定の減免税優遇および保税を享受する商品を除き、貨物貿易方式で入境申告を行う商品は、通常、法に従って商品検査を行った上、輸入関税および輸入段階における税関代理徴収税(通常では増値税、消費税およびその付加費用が含まれる)を納付しなければならない。
理論上、方式①および②において、中国消費者は国外主体が選択した郵政または宅配会社の代行を通じて入境通関手続および税金納付を行う。「中華人民共和国輸出入関税条例」などの関連規定によれば、中国国内の消費者の購入する商品数量が合理的な範囲であり、且つ個人で使用する場合、「入境物品」に分類され、規定[2]に従って輸入税の免除または一定の輸入税(入境物品の関税および輸入段階の税関代理徴収税)を納付するのみとすることができる。本部分の税金は国外主体が直接商品価格に上乗せした上で消費者が負担し、または郵政、宅配会社が税関段階で立て替えた後に消費者が荷物を受け取る際に改めて追加払いすることができる。
実務において、方式①および②で、国外主体の選択する郵政または宅配会社が採用できる規定に合致した通関方式には個人郵便物の輸入または入境宅配物の方式での通関が含まれる[3]。ただし、税関が入境物品および貨物貿易について採用する「合理的、自家用」の区分基準の掌握が困難であることから、消費者が購入した商品が税関に個人使用のためではなく、転売用途であると認定された場合、郵政または宅配会社に対し貨物貿易方式での通関を求めた上、消費者が最終的に相応の税金などを負担することになるおそれがある。よって、方式①および②において中国消費者がどのように輸入税を納付するかについては一定の不確実性が存在する。
税関総署が2014年7月29日に公布した「クロスボーダー貿易電子商取引出入境貨物、物品に伴う監督管理事項に関する公告」では、クロスボーダー電子商取引の税収監督管理事項について新たな規定を設けているが、税関総署の公式説明によれば、新政策はクロスボーダー貿易電子商取引を実施する国内企業にのみ適用される。このため、現在の状況においては、クロスボーダー電子商取引に参加する国外主体については、税関は依然として既存の方式(たとえば一般貿易、郵便物、宅配物など)に照らして通関手続きを行う。
上述の留意点以外にも、国外主体のクロスボーダー電子商取引参加は製品品質問題(例えば返品交換)、及び方式③における関係主体が相応する経営資格を具備する必要の有無などのその他の問題に直面するおそれがあると思われ、これらについても留意することが望ましい。
(里兆法律事務所が2015年3月20日付で作成)
[1]「海外郵便直送」とは、貨物が売主から直接中国消費者へ発送されることを指し、「中継輸送」とは、貨物輸送で初めは売主から中継輸送会社へ発送され、その後改めて中継輸送会社から中国消費者へ発送されることを指す(且つ、本過程における貨物は複数の中継輸送会社を経由するものと思われる)。
[2]関連規定には、「中華人民共和国税関の出入境宅配物についての管理弁法」、
「出入境個人郵便物品管理措置の調整に関する事項」、
「税関総署公告2011年第6号(入境物品税税目税率の調整について)」、
「税関総署公告2012年第15号-中華人民共和国入境物品分類表および中華人民共和国入境物品納税後価格表」が含まれる。
[3]前者は郵便輸送ルートを通じて入境する荷物、小包郵便物および印刷品などの物品を指し、後者はいわゆる商業宅配物であり、入境宅配物事業者が宅配ビジネスの方式で請負、運送請負を行う入境物品を指す。
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