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「外商投資産業指導目録(2015年改正版)」を簡潔に分析する

中国ビジネスレポート 法務
邱 奇峰

邱 奇峰

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2015年5月28日

2015年3月10日、国家発展改革委員会と商務部は「外商投資産業指導目録(2015年改正版)」(以下「2015年版「投資目録」という)を正式に公布し、「外商投資産業指導目録(2011年改正版)」(以下「2011年版「投資目録」という)と入れ替えた。「投資目録」は中国政府が外資の直接投資を管理する主要文書であり、外商投資産業を奨励類、制限類、禁止類(「投資目録」に記載された以外は許可類となる)に明確に区分し、且つ特別な業種については外資の持分比率規制および中国企業との共同経営に関する要求を定めている。2015年版「投資目録」は六度目の改正であり、過去の改正の中でも規模の大きなものでもある。

一、2015年版「投資目録」の改正原則

今次改正では主に以下の四つの方面の原則を遵守している。

1.開放を積極的、能動的に拡大する。第一、第二、第三次産業の開放の更なる推進、サービス業および一般製造業の開放の重点拡大、中国(上海)自由貿易試験区における試行経験の模倣普及を進める。例えば、上海自由貿易区では外資が合弁、合作形式(中国側持分支配)で中国伝統工芸の緑茶加工に従事することを認めている。2015年版「投資目録」では「中国伝統工芸の緑茶および特別茶の加工(名茶、黒茶など)」を禁止類から許可類に調整している。

2.外資管理方式を転換する。市場の資源配置における決定的な役割を十分に発揮し、省エネ、環境保護、技術、安全などの措置を通じて内外資同一の監督管理を実現できる条目については、今後、制限類外商投資産業に組み入れない。

3.経済構造の調整・最適化を行う。外資の現代農業、ハイテク、先進製造業、省エネ環境保護、新エネルギー、現代サービス業などの分野への投資を奨励し、ハイエンド産業の移転を受け入れる。外資による研究開発段階への投資を奨励する。

4.透明度を更に増す。許可類プロジェクトについては外資に対する持分比率規制を行わず、その他の分類の外商投資産業プロジェクトの持分比率規制については、いずれも「投資目録」に明記する。

二、2015年版「投資目録」の変更の概要

2011年版「投資目録」と比べ、2015年版「投資目録」の変更は主に以下の方面である。

1.条目の変化:第一に、制限類条目が大幅に減少した。制限類条目は2011年版「投資目録」の79条から38条に減少した。第二に、外資持分比率規制が緩和され、「合弁、合作」条目は2011年版「投資目録」の43条から15条に減少し、「中国側持分支配」に係わる条目は2011年版「投資目録」の44条から35条に減少した。第三に、奨励類条目の数量は基本的に変わらず、政策全体の安定性と連続性を保っている。

2.業種の変化:基本的に一般製造業を自由化した。電子商取引、フランチャイズ経営、支線鉄道、地下鉄、軽量軌道交通、海上輸送、公演場所経営などの業種に関する持分比率要求の廃止および緩和を行った。直接販売、通信販売、輸出入商品の検査認証、鉄道貨物輸送、保険ブローカー、ファイナンス会社、信託会社、為替ブローカーなどを、今後制限類に組み入れない。建築設計、老人介護機構を奨励類に組み入れる。

3.雑則の廃止:2015年版「投資目録」は「国務院の個別規定または産業政策に別途規定がある場合、その規定に従う」との雑則を削除した。本修正は外資の監督管理に対し重大な影響を及ぼすものであり、一つには2015年版「投資目録」がこれまで中国の個々の業種主管部門が定めていた外資規制を統一することを示し、もう一つには「法令」形式で外資参入に対する制限および禁止を設けている場合を除き、今後、中国各業種主管部門は外資に対し制限条件を別途設けることができないことを意味する。
三、2015年版「投資目録」で自由化および調整された具体的な産業(一部)

1.自由化された産業

関連産業 2011年版「投資目録」 2015年版「投資目録」
・公演場所経営 奨励類(中国側持分支配) 奨励類
・会計、監査 励類(合作、パートナーシップ制に限る) 奨励類(首席パートナーは中国国籍でなければならない)
・モノのインターネット技術開発と応用 許可類 奨励類
・老人介護施設
・工業設計、建築設計、アパレルデザインなどのクリエイティブ産業
・直接販売、通信販売、オンライン販売 制限類 許可類
・不動産業(大規模土地開発、高級ホテル、高級オフィスビルおよび国際展示場の建設、経営、不動産二次市場取引および不動産仲介会社、ブローカーなどを含む)
・ファイナンス会社、信託会社、為替ブローカー、保険ブローカー
・送電網の建設、経営 制限類(中国側持分支配) 奨励類(中国側持分支配)
・アミューズメント施設の経営 制限類(合弁、合作に限る) 許可類
・音響映像製品(映画は除く)の販売 制限類(合作に限る) ・許可類
・証券会社 制限類(外資の割合が1/3を超えない) 制限類(外資比率が49%を超えない)
・ゴルフ場、別荘の経営 禁止類 許可類

2.調整された産業

関連産業 2011年版「投資目録」 2015年版「投資目録」
・高等教育機関 制限類(合弁、合作に限る) 制限類(合作に限り、中国側主導)
・中国側主導とは、校長または主な経営責任者が中国国籍であり、中外合作教育機関の理事会、董事会または共同管理委員会の中国側構成員が1/2を下回らないことを指す(以下同じ)。
・普通高等学校教育機関 制限類(合作に限る) 制限類(合作に限り、中国側主導)
・就学前教育機関 許可類 制限類(合作に限り、中国側主導)
・医療機関 許可類 制限類(合弁、合作に限る)
・自動車完成車、専用車両およびオートバイの製造 許可類 制限類【中国側持分比率は50%を下回っ
てはならない。同じ外国投資家が国内において2社以下(2社を含む)の同類(乗用車類、商用車類、オートバイ類)
の完成車製品を製造する合弁企業を設立することができ、中国側合弁パートナーと共同で国内のその他の自動車製造企業を買収する場合には2社の制限を受けない】
・電子商取引 許可類 制限類(外資持分比率の規制はない)
・法律コンサルティング 制限類・・法律コンサルティング 禁止類・・中国法律事務コンサルティング(中国法律環境影響に関する情報の提供は除く)

・タバコの卸売、小売 制限類(30社を超える支店、複数の供給業者からの様々な種類およびブランドの商品を販売するチェーン店の設立については中国側持分支配とする) 禁止類・・葉タバコ、巻きタバコ、再乾燥葉タバコおよびその他のタバコ製品の卸売、小売
・オンライン出版サービス 許可類 禁止類
・文化財の競売に従事する競売企業、骨董店

全体として、2015年版「投資目録」は中国政府の外資による投資の更なる奨励、透明度の向上、市場参入条件の引下げに関する決意と努力を表している。2015年版「投資目録」の発効に従い、今後、外商投資分野の関連法律制度に巨大な変革が現れ、中国での新たな外商投資の波を呼び起こすものと思われる。

(里兆法律事務所が2015年5月7日付で作成)

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