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外商投資企業によるネット販売の法律面での実行可能性および注意点(連載その二/全二回)

中国ビジネスレポート 法務
郭 蔚

郭 蔚

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2015年6月24日

電子商取引および物流など関連産業の発展に伴い、ネットショッピングは既に一つの流行、便利な買い物方法となっており、より多くの人がネットショッピングを選択するようになっている。企業が市場占有率を引き上げるため、ネット販売の必要性は日に日に高まっている。ここ一、二年の間に、少なからぬ企業から外商投資企業によるネット販売の可能性などに関する問合せを受けている。また、筆者の知るところ、一部の外商投資企業はネット販売を通じて、売上の急成長を確かに実現している。筆者は本文において、外商投資企業によるネット販売の法律面での実行可能性および注意点について、ご参考までに以下のとおり紹介する。

(※連載その一は
こちら

2.  特別な商品の事前手続き

前述の分析のとおり、通常、外商投資企業はインターネットを通じてその商品およびサービスを販売することができる。ただし、外商投資企業がいずれの方式でネット販売を行うにせよ、当該販売が特別な商品およびサービスにかかわる場合、外商投資企業は禁止または制限する個別規定の有無に注意する必要がある。例えば、以下の通りである。

商品またはサービスの種類 禁止/制限
タバコ ・制限:タバコ専売生産企業許可証、タバコ専売卸売企業許可証または特種タバコ専売経営企業許可証を取得した企業が法に従ってタバコ専売品を販売する以外は、いかなる個人、法人またはその他の組織も情報ネットを通じてタバコ専売品を販売してはならない。
薬品 ・禁止:薬品製造、経営企業および医療機関は、インターネットを用いて直接大衆に処方薬を販売してはならない。
・制限:薬品製造企業、薬品経営企業が自ら設置したウェブサイト上で薬品のインターネット取引を行い、または第三者企業が薬品製造企業、薬品経営企業に薬品インターネット取引サービスを提供する場合、「インターネット薬品取引サービス資格証書」を申請取得しなければならない。
宝くじ 制限:財政部の許可なく、いかなる企業もインターネット宝くじ販売業務を行ってはならない。
容易に麻薬および向精神薬に転換され得る化学品 ・禁止:個人がインターネット上で非薬品類の容易に麻薬および向精神薬に転換され得る化学品の販売情報を発信することを禁止する。いかなる企業および個人もインターネット上で薬品類の容易に麻薬および向精神薬に転換され得る化学品の販売情報を発信することを禁止する。
・制限:いずれの企業もインターネット上で非薬品類の容易に麻薬および向精神薬に転換され得る化学品の販売情報を発信する場合、工商営業許可証、非薬品類の容易に麻薬および向精神薬に転換され得る化学品生産、経営許可証または届出証明などの資格資料を具備しなければならない。
保険 ・制限:保険代理、仲介会社がインターネット保険業務を行う場合、整備されたインターネット保険業務管理制度、合理的なインターネット保険業務操作規程を具備し、登録資本は1,000万人民元を下回ってはならず、且つ業務エリアは登録地所在省、自治区、直轄市に限定せず、中国保険監督管理委員会が定めるその他の条件を満たさなければならない。

上記以外にも、中国の現行有効な法令で取引を禁止している商品およびサービスは、いずれもネット上で取引を行ってはならないが、紙面の関係上、ここでは細かく述べない。以上のとおり、企業がネット販売に従事する前に、販売する具体的な商品およびサービスについて中国の現行有効な法令に当該商品およびサービスのネット販売を禁止または制限する規定がないかを第一に確認しなければならない。

1.その他の注意点

上述したいくつかの点以外にも、外商投資企業はネットワークプラットフォームの選択および運営、消費者権益保護および知的財産権保護などの面で特に注意が必要である。

・ネットワークプラットフォームの選択および運営:
外商投資企業が第三者ネットワークプラットフォームを通じて商品およびサービスを販売する場合、提携方式、保証金納付、開設手続き、日常管理、顧客対応、費用決済、レベニューシェア、製品品質アフターサービス方法、提携解除などの内容を当該運営会社と取り決めることに特に注意が必要である。外商投資企業が自己のネットワークプラットフォームを構築する場合、「商貿字[2010]272号」文などの法令の要求に従って、そのウェブサイトホームページまたは営業活動に従事するウェブページの目立つ位置に営業許可証を公開しなければならず、企業が石油製品、原油、図書定期刊行物、薬品などの商品を取り扱う場合には、更に経営許可証の情報および明瞭で判別可能な写真の公開またはその電子リンク先の表示が必要となることに注意が必要である。

・消費者権益保護:
消費者保護の欠陥に起因して外商投資企業のネット販売の良好な運営に影響を及ぼさないようにするため、消費者権益保護は企業ネット販売の重点中の重点である。一つには、企業は真実で、整った商品およびサービスの紹介を行い、消費者の知る権利を保護するために、虚偽の情報、不完全な情報および誇大宣伝などの状況が発生しないように注意が必要である。また、昨今公布された関連法令および実施された関連検査なども模倣品のネット販売行為に集中しており、このため、外商投資企業は注意を払うことが望ましい。もう一つには、外商投資企業は合理的な返品交換制度を構築し、販売記録を保存する必要があり、現行有効な「消費者権益保護法」第25条の規定によれば、特定の商品を除き、事業者がインターネットなどの方式で商品を販売する場合、消費者は商品を受け取った日より7日以内に返品する権利を有する。同時に、消費者個人情報の保護にも注意が必要であり、消費者個人情報を漏洩または濫用した場合、消費者から権利侵害または違約責任を追及されるおそれがある。

・知的財産権保護:
外商投資企業のネット販売は著作権、商標権などの知的財産権と密接に関連し、知的財産権保護は消費者権益保護にもかかわってくる。このため、企業は知的財産権の保護に注意する必要があり、例えば、ネット販売で使用する宣伝図面、写真などが第三者の知的財産権、肖像権を侵害することのないようにし、第三者の商標権を侵害する模倣商品を販売しないなどである。方式三において、外商投資企業は第三者が知的財産権保護に関する規定を遵守しているかを定期的に審査することに注意が必要であり、第三者に対し相応する承諾書の発行を求めなければならない。

・発票の発行、税徴収管理:
「オンライン発票管理弁法」(国家税務総局令第30号)の公布および国家税務部門のネット販売における発票の発行、税徴収管理への注力に伴い、ネット販売における発票の発行、税徴収管理は徐々に整備されてきており、外商投資企業がネット販売を行う際には、法令の要求に従って、適切に発票を発行し、法に従って税金を納付しなければならない。

以上をまとめると、外商投資企業によるネット販売は多くの法律問題にかかわるため、外商投資企業は上述の意見に照らして注意を払うことが望ましい。

(里兆法律事務所が2015年5月29日付で作成)

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