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ログイン2015年11月30日
2015年6月23日、最高人民裁判所は、「民間貸借案件審理における法律適用の若干事項に関する規定」(以下、「規定」という)を公布した。「規定」の注目すべき点の一つは、従来禁止されていた企業間貸借が条件付きで認められたことであり、民間貸借に関してこれまでで最も規制緩和が進んだ司法解釈と呼ばれている。本文では「規定」について、以下の通り簡潔に解説する。
主な内容及び解説
内容 | 解説 | |
適用主体 | ・民間貸借とは、自然人、法人、その他組織間及び相互間で行う資金の融通行為を指す。 | ・旧規定(「貸付通則」、「人民裁判所による貸借案件の審理に関する若干意見」などを含む)によれば、従来は民間貸借のいずれか一方が自然人でなければならず、企業間で貸借を行うには、金融機関を間に入れて委託貸付を行う必要があったが、新司法解釈では、この制限がなくなり、企業間の貸借が認められた。 |
企業間の貸借 | ・法人間、その他組織間で生産、経営のために締結する必要のある貸借契約に「契約法」第52条及び「規定」第14条に列挙する状況がない場合、有効である。
・法人又はその他組織が本組織内部で借入により従業員から資金を調達し生産、経営に用い、且つ「契約法」第52条及び「規定」第14条に列挙する状況がない場合、有効である。 |
・司法実践を通して、企業間貸借の有効性が認められた。
・金融従業資格をもたないが、実際に融資業務を行い、融資で得た収益を企業の主要な収益発生源とする企業が締結した民間貸借契約については、無効認定を受けるリスクがある。実務では裁判所は案件に関係する企業の貸借案件の数、金額、収益に占める割合などと合わせて総合的に判断することになり、現時点では量的基準があるわけではない。 |
保証 | ・他人が借用証、領収書、金銭借用書などの債権証書又は借入契約書にサイン又は押印したものの、保証人であること又は保証責任を負う旨の明示がない場合、又は他の事実により保証人であることを推定できない場合、貸付人が保証責任を負うよう請求したときには、裁判所はこれを支持しない。 | ・保証は必ず明示しなければならない。
・保証人と債権者は書面の保証契約書を締結するか、又は保証人が書面で承諾しなければならない。 |
証拠及び証明責任の分配 | ・反対証拠がある場合を除き、債権証書に債権者を明記していない場合、保有者を債権者であると推定する。
・原告が金融機関の振込明細書だけをもって民間貸借の訴訟を起こした場合に、被告が振込は過去における双方間の借入金又は他の債務を弁済するためのものであると抗弁したとき、被告がその証明責任を負わなければならない。 |
金融機関の振込明細書は双方の貸借関係を証明する債権証書であるとの認定を受けることが可能である。 |
ソーシャルレンディング | ・ソーシャルレンディングがウェブサイト、広告又はその他媒体を通じて、貸借のための担保提供を明示している場合、又は担保提供の証拠がある場合を除き、ソーシャルレンディングは担保責任を負わない。 | ・ソーシャルレンディングの合法性が認められた。 ・ソーシャルレンディングによる担保提供が規定に違反していても、貸借契約の効力に影響することはない。 |
借入利息の認定 | ・高利貸しは無効である。借入年利率が36%を超える部分について、裁判所は返還するよう貸付人に命じる。
・正常な利率は有効である。 |
・借入利息は元金から天引きしてはならず、天引きした場合、実際の貸出金額に基づき利息を計算する。 |
企業の注意点
1. 企業間貸借を条件付きで認めている
企業間の貸借は資金難の解決又は生産で必要になったために偶発的に発生するものであり、常態化し、主要業務扱いすることはできない。「規定」では、企業間の貸借契約の効力を認定するにあたっての実質的要件(即ち、企業の生産、経営に使用すること)を掲げている。従い、金融従業資格をもたないが、融資業務を行い、その融資で得た収益を企業の主要な収益源とする企業が締結した民間貸借契約は、無効認定を受けるリスクがある。
2. 保証は明示し、書面(双方又は一方のみ)で行なわなければならない
保証は明示し書面にて行なわなければならない。実践では、主に保証人と債権者が書面の保証契約を締結するか、又は保証人が債権者に対して誓約書(又は保証書)を発行する形で行なわれる。借用書、領収書、金銭借用書などの債権証書又は借入契約にサイン若しくは捺印していても、保証人であること又は保証責任を負うことを明示していない場合、保証人としての立場と責任を確定することが難しくなる。
3. 金融機関の振込明細書 を債権証書とすることができる
企業間の取引きでは相手口座への振込みを行うことがよくあるが、貸借契約をめぐる紛争が生じた場合、相手口座への振込明細などの基礎資料は抗弁を行う上で非常に有効な証拠となるため、企業は振込みのたびに、振込明細書などの基礎資料を適切に保管し、整理しておかなければならない。
(里兆法律事務所が2015年10月9日付けで作成)
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