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ログイン2016年1月6日
組織機構コードを基礎とする法人およびその他組織の統一社会信用コード制度(以下、「統一コード制度」という)の構築を目的として、2015年6月17日、国務院は、「発展改革委員会などの部門による法人およびその他組織の統一社会信用コード制度構築全体方案に指示を添えて転送することに関する国務院による通知」(以下、「方案」という)を公布した。国務院の関係文書を踏まえた上で、筆者は統一コード制度の構築背景、主な内容および企業に対する影響を整理し、分析する。
統一コード制度の構築の背景
既存の機構コードは以下の2つに分類される。
1.「原始コード」:登記管理部門が法人およびその他の社会組織の登録登記時に発行するコードであり、工商部門の工商登録番号などである。
2.「派生コード」:法人およびその他の組織が登録後、関係部門から発行される管理コードであり、組織機構コード管理部門の組織機構コードなどである。
「複数部門がコードを付与し」、「複数のコードが共存する」ことで、係るコードに記録されている企業の情報データが互いに繋がりあっておらず、情報共有も行われていない状態になり、情報がそれぞれ孤立化していた。また、法人およびその他組織が設立または関連業務を行うときの手続きが煩雑であった。
統一コード制度の主な内容
「方案」によれば、統一コード制度は登記管理部門が組織機構コード管理部門と共同し、分野別に段階的に実施することになっている。工商部門は、2015年10月1日から実施し、その他の登記管理部門は2015年年末までに実施するとしている。以下、「方案」内容と国務院発展改革委員会責任者の解答を踏まえ、統一コード制度の主な内容を整理する。
項目 | 内容 | 備考 |
1.統一コードの構成 | 1)統一コードは18桁で構成され、登記管理部門コード、機構類別コード、登記管理機関行政区画コード、主体識別コード(組織機構コード)、検証コードの5つの部分から構成される。 | 見本は別紙を参照 |
2.統一コードの特徴 | 1)唯一性:一つの主体に一つのコードとし、全国範囲で唯一性を有する。 2)互換性:既存コードと良好な互換性を有する。 3)安定性:一度割り当てると、以後変更しない。 |
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3.統一コードの取得 | 1)新設される主体に対して:登記・登録時に統一コードを発行する。 2)設立済みの主体に対して:統一コードの交換発行を行う。 |
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4.既存コードから統一コードへの移行 | 1)「方案」実施後、関係部門は迅速に移行を完成させなければならない。 2)短期間内に完成させることが難しい部門は、移行期間を設けることが可能であるが、2017年末までに完成する。 3)特別な状況により困難である一部の分野については、遅くとも2020年末までに完成する必要がある。 4)移行期間中は、統一コードと既存コードは併存し、「1対1の関係」となる。 5)移行期間後、全て統一コードを使用する。 |
「三証合一、一証書に一コード番号」制度に歩調を合わせるべく、法人およびその他組織は登記証書の交換発行を受ける必要がある。 |
5.統一コードの用途 | 1)統一コードは法人およびその他組織の「本人証明書の番号」に相当し、登記証書を媒体とする。 2)法的効力を有する本人証明資料として、裁判所、政府部門、金融機関などの機関にて関係手続きを行うことができる。 |
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統一コード制度の企業に対する影響
1.コスト節約、手続きの利便化につながる
これまで企業を設立するにあたっては、工商、税務などの機関に複数のコードを申請する必要があり、手続きが煩雑で、中には費用を徴収される場合もあった。
統一コード制度の実施後は、企業の設立手続きが迅速化し、コスト削減にもつながると思われる。
このほか、提訴またはその他関係業務の取扱い時に、統一コードが記載されている証書を主体資格証明として提供するだけでよくなり、従来よりも手続きのスピードアップが図られることになると思われる。
2.信用情報の整理・統合に有利となる
これまで各部門の情報は互いに連携されていない状態にあったが、統一コード制度の実施により、このような状況が解消される可能性がある。統一社会信用コードにより、各地区、各部門、各領域に分散している情報を関係する法人またはその他の社会組織ごとに整理し統合することで、完全且つ統一された市場主体の信用記録が形成される。
今後、企業にひとたび虚偽行為、信用喪失などの違法違反状況が生じた場合、これらの情報は容易に集約され、社会信用システムに組み込まれることになるため、企業が後に金融機関から融資を受けたり、入札などを行う過程で比較的大きな影響を受ける可能性がある。
このほか、統一コード制度は、司法実践において現在普遍的に存在する「執行難」問題の解決に有益となる可能性がある。なぜならば、統一コード制度に基づき、訴えられた企業の財務、債権などの情報開示が更に迅速に行われることで、提訴した企業による賠償の獲得に有益となるためである。
別紙:
(里兆法律事務所が2015年8月17日付で作成)
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