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社内規則がなくても従業員を解雇できるか

中国ビジネスレポート 法務
王 穏

王 穏

有料

2016年2月3日

会社として社内規則が重要であることはわかっていても、設立したばかりで対応が間に合わない、各種社内規則はあるものの従業員の署名を取り付けていないなどのケースが多く見られる(日系企業に限らず多くの企業に存在する)。このような場合において、会社が労働紛争により従業員を解雇しようとするとき、一方的な契約解除は可能だろうか。
日系企業の多くが、中国の『労働契約法』は明らかに労働者側に偏っており、労働関係解除に伴う労働仲裁において、証拠不足により不当解雇となったと訴える。主な原因として、社内規則が従業員に公開されていないなど関連手続きを経ていないために仲裁人から無効と認定され、せっかくの社内規則が企業管理、従業員処分のための根拠とできなかったことが挙げられる。
しかし、規律違反した従業員に対して、社内規則が完備していなければ、本当に解雇できないのだろうか。

【事例】
日系企業上海現法であるA社(社内規則はあるが従業員に公開していない)は、同社の従業員李氏(実習期間は満了)の勤務態度が好ましくなく、指示した業務も期限通りに完了できないので、その担当業務を変更した。その後、李氏の行動はエスカレートし、体調が悪いことを理由に(病院の証明は未提供。体調が悪いといいながら他の工場で働いている。しかし証拠がない)、会社の承認を得ないまま連続7日欠勤した。A社がやむを得ず李氏を解雇処分にすると、後日、李氏は不当解雇を理由に現地の労働仲裁機関に仲裁を申し立て、賠償請求した。

仲裁判断:李氏は休暇申請を一切行わないまま、連続で数日間無断欠勤したので、使用者が労働規律への著しい違反として労働契約を解除する行為は法律の定めに違反しない。従って、李氏からの不当解雇に伴う賠償金請求を棄却する。

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