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外国人の中国在留就労許可制度に新たな調整が加えられた

中国ビジネスレポート 法務
邱 奇峰

邱 奇峰

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2017年9月14日

外国人の中国在留就労許可制度について先頃、調整が少し加えられた。今回の調整により、中国在留就労に対する制限がある程度緩和されることとなった。

最近の新規定:
1.「外国人の中国在留就労許可制度の全面的実施に関する国家外国専家局、人的資源社会保障部、外交部、公安部による通知」【外専発[2017]40号、2017年3月28日公布及び発効】
2.「外国人の中国在留就労許可業務手引(暫定)の公布に関する国家外国専家局による通知」【外専発[2017]36号、2017年3月29日公布、2017年4月1日発効】

新規定の主な変化:

1.分類管理方面

これまで通り、中国で就労する外国人を外国高度人材(A類)、外国専門人材(B類)、外国一般人材(C類)の3タイプに分けていることに変わりはないが、これまでの「原試行方案」と比べると、主に以下の変更があった。

A類外国人
・「有能な青年人材」について、「40歳以下の国(域)外のハイレベルな及び中国域内の大学で博士研究員として研究に従事している青年人材」と新たに定義し直した。
・「平均給与収入が本地区の前年度の社会平均給与収入の6倍を下回らない外国籍人材」を新たにA類外国人に組み入れた。
・「省級の関係部門が制定するイノベーション企業リスト又は技術革新職業リストに組み入れられている組織が招聘する高級管理若しくは技術の職務を有する者」を新たにA類外国人に組み入れた。
・A類外国人が満たす必要があるとしていた「年間給与収入と年間個人所得税納税金額が規定基準に達している外国籍人材」などの状況が削除された。
B類外国人
・「平均給与収入が本地区の前年度の社会平均給与収入の4倍を下回らない外国籍人材」を新たにB類外国人に組み入れた。
・「国際的に通用する職業技能資格証書又は差し迫って必要とされており、ひどく不足している技能型人材」を新たにB類外国人に組み入れた。
・「国際的に有名な学術機関と科学教育類の国際組織から派遣された者については、政府間交流提携協議書条項に従い、年齢制限を緩和する」との条項などが追加された。
C類外国人を以下の通り調整した
・現行の外国人中国在留就労管理規定に適合する外国人。
・臨時、短期(90日を超えない)の業務を行う外国人。
・割当管理の実施対象となる外国人、これには政府間協定により中国に来て実習する外国青年、規定条件に適合する外国留学生と海外大学の外国籍の卒業生、遠洋漁業などの特別分野で勤務する外国人などが含まれる。

2.ポイント制方面

「原試行方案」における「採点項目・配点表(試行版)」をベースに、「採点項目・配点表(暫定版)」が公布された。調整箇所は主に以下が含まれる。
●「職業技能」が強調され、「職業技能資格証書」、「高級技能師」、「技能師」、「高級技術者」などを得点要素として扱えることが明確にされた。
●「外国人の中国での就労年数」の点数が引き上げられた(元々は最高15点であったが、最高20点に調整された)。
●「中国語レベル」の点数が引き下げられた(元々は最高10点であったが、最高5点に調整された)。
●「過去に中国国籍を有していた外国人」、「特許など知的財産権を有する」、「既に中国における連続就労年数が5年以上」などの配点要素が追加された。

実践取扱における主な影響(上海を例に挙げた場合):

1.従来、見込まれていた困難を乗り切るための解決策
1)上海地区で本企業において、個人所得税納付額が年間12万元に達する外国人は、永久居留権の規定にならい、直接にA類外国人とみなされ、年齢や学歴などの制限は受けない。
2)本人が上海で投資し外商投資企業(個人が株主になる)を設立し、尚且つ実際に一定の管理職を務めるという対策。この試行政策は、外国人が就業証を取得するための特例措置として長年実施されてきたものであった。

2.現行の実践取扱における基準
1)「上海地区で本企業において、個人所得税納付額が年間12万元(年収入約60万人民元)に達する外国人は、永久居留権の規定にならい、直接A類外国人とみなされ、年齢、学歴などの制限は受けない」との政策実施が確定された。
2)「外国人が上海で投資し外商投資企業を設立する(個人が株主になる)ことで、就業証取扱の制限を克服できる」という試行政策は廃止された。
3)B類外国人は年齢が満60歳を超えてはならないとしている点はこれまで通りであり、年齢が満60歳を超えている場合には、点数が60点以上であっても、又はその他B類外国人の申請条件を満たしている場合でも、就業許可証手続きを行えないのではないかと思われる(但し駄目だと断言しているわけではないので、申請を試みてみるとよい)。
4)新政策のもとでは、会社の法定代表者又は総経理などの重要な役職に就いていたとしても、以前のような弾力的政策が適用されないという点は変わらない(従来の弾力的政策:上海では満60歳を超えていても、弾力的措置により、就業証手続きが行えた)。
5)上記の新規定で追加された内容についてだが、
a)「平均給与収入が本地区の前年度の社会平均給与収入の6倍を下回らない(「6倍」は現時点では年収入約47万元である)外国籍人材」が新たにA類外国人に組み入れられた。
b)「平均給与収入が本地区の前年度の社会平均給与収入の4倍を下回らない(「4倍」は現時点では年収入約32万元である)外国籍人材」が新たにB類外国人に組み入れられた。

上述の新たに追加された基準に適合する外国人については、点数(A類外国人85点以上、B類外国人60点以上)の要求を考慮しなくてもよいのだが、B類外国人については依然として、「年齢は一般的に満60歳以下でなければならない」との制限を受けることになる。

なお、上海市の関係部門に確認のための問い合わせたを行ったところ、上海では現在まだ上述の新規定は正式には実行されてはいないものの、もう間もなく実施されるはずであり、実施されたとしても、上述の新たに追加された基準は技能型人材のみに適用されるのではないか(マネジメント型人材には適用しない)とのことであった。
注:新たに追加された基準においては、技能型人材のみに適用し、マネジメント型人材には適用しないとの規定はなく、また、係る規定においてもこの2タイプの人材について定義が行われていないため、実践取扱上の流れから言えば、政府主管部門がこの方面で大きな裁量権を有している。

現時点では、新政策の実施、新・旧政策の移行段階にあるため、各地区によって実践における実施基準が若干異なることが考えられる。従って、具体的措置を講じる前に、現地の関係部門にしっかりと確認しておくことが望ましい。今後、関係政策の更新及び実施状況についても、引き続き注意を払いながら、遅滞なく情報を発信したい。

(里兆法律事務所が2017年4月14日付で作成)

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