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上海規定の有効期間が8月15日をもって満了した後、上海で就労する外国人は中国社会保険への加入が必須になるのか?

中国ビジネスレポート 法務
邱 奇峰

邱 奇峰

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2021年11月5日

中国国内で就労する外国人は、法に依拠し中国の社会保険に加入しなければならない主な根拠:「中国国内で就労する外国人による社会保険加入の暫定弁法」、中華人民共和国人的資源・社会保障部令第16号、20111015日から施行)ことになっている。従って、中国全土のレベルでは、原則的には、外国人は中国社会保険強制加入の対象になっていることがわかる。

しかし、これまで上海においては実務上、上海で就労する外国人は、中国社会保険への強制加入が義務付けられていない状況が続いていた(即ち、非強制的原則、又は任意的原則)。また、上海の地方規定(「上海で就労する外国籍人員、海外の永住(長期)居留権を取得した人員及び台湾・香港・マカオ住民の都市部労働者社会保険加入に係る若干事項に関する上海市人的資源・社会保障局による通知」、人社養発[2009]38号、20091010日から発効)は通常、上述の実運用に係る主な理論的根拠であると解されている(理論的に言えば、上海市人的資源・社会保障局の規定の効力等級は、国家人的資源・社会保障部の規定よりも低い)。「人社養発[2009]38」規定によると、上海で就労する外国人は、「係る規定に従い、上海市都市部労働者基本養老保険、基本医療保険及び労災保険に同時に加入することができ、その場合、労働(雇用)契約でこれを定める」としている。

しかし、上海市人的資源・社会保障局による「『上海市民営職業研修機構の審査と管理弁法』の公布に関する通知」等182件の行政規範性文書の有効期間を延長することに関する通知(人社法〔2016301号、2016812日より発効)によると、上述の「人社養発[2009]38」規定の有効期間が2021年8月15日をもって満了することになっている。期限が間もなく到来するため、多くの企業及び上海で就労する外国人がこの問題に非常に高い関心を寄せている。

このため、先頃、上海市人的資源・社会保障局に複数回にわたって問い合わせを行ったところ、「人社養発[2009]38」規定の有効期間が満了した後、どのように取り扱うのか(期間を延長する又は廃止する)については、上海において、この点について明確にした政策は今のところまだ公布されていない。現在、上海で就労する外国人の社会保険に係る事項は、依然として「人社養発[2009]38」規定に従い、取り扱うことができる。」との回答を得た。

以上を総合し、ご参考までに現段階における理解、助言を以下の通り、整理している。

  1. 上海で就労する外国人の社会保険に係る事項については、現時点では現状維持でよく、政策が明確になってから対応するようにするとよい。「人社養発[2009]38」規定がその後どのように取り扱われるか否か(期間を延長する又は廃止する)に関わらず、政策の継続性、運用上の整合性、関係する方面及び影響度等の観点から、当局は合理性や経過期間等を視野に入れた対応をするであろうことが予想される。従って、それほど焦ったり不安になったりする必要はない。なお、国レベルの規定によれば、上海で就労する外国人は法に依拠して中国の社会保険に加入するのが、もっとも法にかなった状態である。
  2. また、2021年8月15日に「人社養発[2009]38」規定の有効期間が満了し、しかも国レベルの規定においては、「強制加入を原則としている」ことから、今後、上海においてどのように取り扱われるかについては定かではないめ、引き続きこの話題に細心の注意を払っておくことが望ましい。なお、筆者は、上海で新たな規定又は新たな政策が短期間内に公布されることについては、楽観的な見通しを持っていない。その理由の一つは、2020年11月1日から、上海における企業で働く従業員(外国人を含む)の各社会保険料は税務部門が統一的に徴収することになったこと[1]によって、この話題は法理論及び実運用上論争があったが、その後、上海のどの政府部門(人的資源・社会保障部門または税務部門)が取りまとめ役となり推し進めていくのかという点においても論争のある話題になっていることである。
  3. また、中国と社会保険相互免除協定を締結した国である場合、同国の被用者は係る協定に基づき、係る条件を満たしている前提において、中国社会保険取扱機構に対し、ある項目又は複数の種類の社会保険料の納付免除を申請することができることになっている。現在、中国は日本、韓国、スイス等の国を含む、複数の国と社会保険相互免除協定を締結している。日本を例にとると、中国と日本が2018年5月9日に「社会保障に関する日本国政府と中華人民共和国政府との間の協定」(2019年9月1日から正式発効)を締結し、中国で就労する日本籍被用者が条件に適合していれば、当該協定及び係る取扱手順[2]に基づき、中国における基本養老保険料の納付免除を申請することができることになっている。

筆者は引き続きこの話題に注目していく。

(作者:里兆法律事務所 邱奇峰 秦聖強)

[1] 「企業の社会保険料を税務部門が徴収することに関する公告」について、以下のリンク先をご参考のこと。http://shanghai.chinatax.gov.cn/xxgk/tzgg/202010/t455859.html

[2] 「社会保障に関する日本国政府と中華人民共和国政府との間の協定」の主な内容及び業務取扱手順について、以下のリンク先をご参考のこと。http://www.mohrss.gov.cn/SYrlzyhshbzb/zhuanti/waiguorencanbao/sbsbhmxd/201908/t20190828_331980.html

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