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新「特殊医学用途調整食品登録管理弁法」の要点解読

中国ビジネスレポート 法務
邱靖

邱靖

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2024年1月30日

はじめに

2023年11月28日、中国国家市場監督管理総局は、新たに改正された「特殊医学用途調整食品登録管理弁法」(以下「新弁法」という)を公布した。特殊医学用途調整食品(以下「特医食品」という)を規制する主要な法規の一つとして、その改正は、特医食品業界全体の指針となることは間違いない。以下では、中国における特医食品の基本的な状況を紹介するとともに、「新弁法」の改正において、注目しなければならない重点問題について整理した。

本文

Q1: 中国の法律における特医食品とは何か?

A1: 特医食品とは、食事制限や消化吸収障碍、代謝異常、或いは特定疾患の患者が栄養素または食事に対する特殊ニーズを満たすために、特別に加工調整して作られた調整食品を指し、生後0~12ヶ月に適用される特殊医学用途乳児調整食品と生後1歳以上の対象者に適用される特殊医学用途調整食品を含む。

特医食品は患者の疾病治療、リハビリテーション、身体機能維持などに重要な栄養サポートの役割を発揮し、その品質と安全性は特殊な人々の身体の健康と生命の安全に関わっている。そのため、中国は特医食品産業に対して厳格な監督管理を実施している。関連法規によると、特医食品の登録証を取得してから、該当製品が中国市場での販売が可能となる。

Q2: 中国における特医食品の登録の現状は?

A2: 2023年11月末時点で、中国で登録に成功した中国国内外の特医食品は159品目に達している。そのうち、中国国内の特医食品企業は43社で、製品は合計128品目、外資系企業は7社で、製品は合計31品目である。製品のタイプをみると、159品目の特医食品のうち、特殊医学用途乳児調整食品は47品目、完全栄養調整食品は53品目、非完全栄養調整食品は58品目、特定完全栄養調整食品は1品目である。

Q3: 「新弁法」の主な改正点は?

A3: 「新弁法」の改正は、主に以下の3つの分野に重点を置いている。

(1)特医食品の登録管理について

●特医食品の登録申請者が備えるべき条件と能力、および負うべき法律責任と義務を強調

●登録承認しない7つの状況を明確

●特医食品の品質と安全性をさらに保障するため、特医食品登録証に「製品のその他の技術要件」を記載することを要求

●ラベルや説明書の禁止事項をさらに強調し、例えば、ラベルや説明書において、製品に含まれる栄養素の機能性を主張してはならない

●コンプライアンス違反行為に対する処罰を強化

(2)価値志向について

●優先審査認可手続きを新たに追加し、希少病、臨床緊急必要の新タイプの特医食品を優先審査対象とすることで、企業による臨床緊急必要製品の研究開発を奨励し、臨床ニーズを満たす。

(3)ビジネス環境の最適化について

●現場検査のプロセスを最適化し、現場検査の内容を細分化

●臨床試験の検査期間(40営業日を30営業日に短縮)を短縮し、審査評価の効率を向上

●電子証明書と紙タイプの証明書が同等な法的効力を有することを明確化

Q4: 「新弁法」の改正は、申請者に対する要求にどのような調整があるのか?

A4:「新弁法」は、申請者が備えるべき条件、能力、法律責任、義務をさらに強調されている。例えば、「新弁法」では、申請者は、提出した資料の真実性、完全性、合法性、追跡可能性に責任を持ち、法律責任を負うこと、市場監督管理部門が登録に関連する現場検査やサンプリング検査などの作業の展開に協力し、必要な作業条件を提供することが要求されている。

Q5: 登録承認しない7つの状況とは?

A5: 「旧弁法」では、特医食品は関連法律法規および食品安全国家基準に適合しなければならないと定めているが、登録承認しない状況については明確していない。「新弁法」では、登録承認しない7つの状況が明確化した。

●申請資料に虚偽や不実がある場合

●申請資料が製品の安全性、栄養充足性および特殊医学用途の臨床効果を支持しない場合

●申請者が登録申請製品に適合した研究開発能力、生産能力、または検査能力を持っていない場合

●申請者が規定期限内に補正資料を提出していない、または提出した補正資料が要件を満たしていない場合

●期限を過ぎても現場検査の日程を確認できない、現場検査やサンプリング検査に協力しないまたは承認しない場合

●現場検査報告の結論またはサンプリング検査報告の結論が登録要件を満たしていない場合

●法律、法規、規則、食品安全国家基準と技術要件などの登録要件に合致しない他の状況

Q6: 「新弁法」では、違法行為に対する処分の内容について、どのような調整が行われたのか。

 A6: 「中華人民共和国行政処罰法」の寛厳相済(注:寛大のときは寛大に、厳しいときは厳しくということ)と過罰相当(注:犯した過ちとその罰則が相応なものであり、軽からず重からずということ)の原則に基づき、「新弁法」では、害をもたらす行為に対する処罰を強化し、申請者が詐欺や賄賂などの不正な手段で登録許認可を取得し、それが害をもたらした場合、または登録許認可を偽造、改ざん、転売、賃貸、貸し出し、または譲渡し、それが害をもたらした場合の罰金上限を20万元に調整し、犯罪の疑いがある場合、法に基づき公安機関に移送し、刑事責任を追及することを明確した。また、「新弁法」は、軽微な違法行為に対する処罰を軽減し、申請者の変更は、製品の安全性、栄養充足性および特殊医学用途の臨床効果に影響を与えないと規定し、法に基づき変更手続きを行わなかった場合、まずは期限内の是正を命じ、期限を過ぎても是正しなかった場合には罰金を科される。

終わりに

総じて、「新弁法」の改正により、特医食品の登録条件、手続きと管理がさらに厳しくなった。 我々の推測では、「新弁法」が2024年1月1日から正式に施行した後、その円滑な実施を確保するため、中国国家市場監督管理総局は、それに対応する登録補助文書を改正すると考える。これに関連する進展については引き続き注目し、今後の記事で更新していく予定である。

(作者:北京市中倫(上海)法律事務所 邱靖弁護士)

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