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患者支援プログラムを行う製薬会社のコンプライアンスリスクおよびアドバイス

中国ビジネスレポート 法務
邱靖

邱靖

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2024年2月28日

はじめに

患者支援プログラムは、製薬業界における社会的責任を果たすための重要な手段の一つとなり、製薬会社は、疾病によって経済的困難に直面している患者が必要な治療を受けられるように支援することができる。患者支援プログラムは中国で長年実施され、良い結果が得られている一方で、新たな問題や課題も浮上している。本稿では、製薬会社がどのように患者支援プログラムを行うかを紹介し、実施過程におけるコンプライアンスリスクについてアドバイスを提供する。

本文

Q1: 患者支援プログラムとは何か?

A1: 患者支援プログラムは一般的にPAPプログラム(Patient Assistance Program)と呼ばれ、慈善団体が管理を計画案配し、公共福祉の方法と原則を用いて、慈善目的に基づいて製薬会社が自発的かつ無償で提供される医薬品または資金を、医薬品または経済的援助を必要としている患者に寄付する活動の一種である。中国法において、患者支援プログラムは一般的に、「公益事業寄附法」に基づく公益事業として規制されている。

Q2: 患者支援プログラムにはどのような特徴があるのか? 

A2: 患者支援プログラムは一般的に、以下の特徴がある。

●公益性が明らかである――患者支援プログラムは多くの場合、慈善団体によって発起または主導され、製薬会社が医薬品または経済的支援を提供し、支援を受けた患者は通常、疾病のために貧困または経済的ストレスが大きい生活状態にある。
●非実験的である――患者支援プログラムに関わる医薬品は、中国国内で既に承認され、市場販売されているものでなければならず、臨床試験では使用されない。その根本的な目的は、特定の医薬品または治療法の適用を拡大するための条件を提供することではなく、患者が治療を受けるためにかかる経済的コストを下げることで、患者の生活の質を向上させることである。
●長期性がある――慈善団体も製薬会社も、疾病を直接治療する能力も資格もなく、医薬品を処方する権利もないため、医療従事者がボランティアとしてプログラムに参加することが求められ、主な追跡管理モードは、患者をグループ分けしてチームに入ること、医師が定期的にフォローアップすること、薬剤師が医薬品を審査して調剤することである。

Q3: 製薬会社は患者支援プログラムのパートナーを選ぶ際に、どのような点に注意を払う必要があるのか? 

A3: 「薬品経営と使用品質監督管理弁法」第42条の関連規定により、「医薬品小売企業は、医薬品の購入に伴い医薬品を贈与する方法、または商品の購入に伴い医薬品を贈与する方法などにより、処方せん医薬品または甲類非処方せん医薬品を一般者に贈与してはならない。処方せん医薬品は、棚から出して売ることはできない。」と規定されている。上記の法律法規により、受け取る側または提供する側を問わず、実際、製薬会社は独自に患者支援プログラムを発起または組織する法的根拠がなく、公益社団や医療ボランティアと協力しなければならない。現行の法律規定により、事業単位(「国や地方の予算で運営され、教育・科学技術・文化・衛生などの非営利活動を行う事業体」のことを指す)、慈善基金会(「財団、社会事業団、ファンド」のことを指す)、社会団体と社会奉仕機構は、製薬会社と協力して患者支援プログラムを発起することができる。

実務上、多くの患者支援プログラムは慈善団体によって発起されている。「慈善法」第8条2項により、「慈善団体は、基金会、社会団体、社会奉仕機構などの組織形態をとることができる。」と規定されている。様々な基金会が慈善団体として患者支援プログラムを発起することは一般的である。プログラムのデューディリジェンスの初期段階において、企業は公式のプラットフォームを通じて、関連パートナーの関係事情を検索することができる。例えば裁判文書、行政処罰およびインターネット上の公開チャンネルなどを通じて、パートナーおよびその主要人員に商業賄賂、税務違法などの不良記録がないかを確認することができる。

Q4: 患者支援プログラムにおいて、一般的な支援方法は何かあるのか? 

A4: 患者支援プログラムには、大きく分けて医薬品による支援と経済的支援の2つの形態があり、医薬品による支援が現在も主流である。医薬品による支援はまた、完全無料と一部無料の2つの形態に分けている。総じて、患者支援プログラムは、完全無料、一部無料、経済的支援の3つの形態に分けることができる。

援助形態

定義

完全無料

資格のある患者に、一定期間または一定量の支援医薬品を無料で提供する。

一部無料

患者が自費で一定量または一定周期の支援医薬品の使用後、一定量または一定周期の支援医薬品を無料で得ることができる。

経済的支援

チームに入った患者が医薬品を購入後、医薬品の使用に伴う経済的負担を軽減するために、購入時のレシートで一定割合の現金払い戻しを受けることができる。

Q5: 製薬会社が患者支援プログラムを行う際のコンプライアンス上のポイントとは何か。 

A5: 製薬会社が患者支援プログラムを行う際に、以下のコンプライアンス上のポイントに留意しなければならない。

①非営利であること

患者支援プログラムは、公益事業の趣旨に沿ったものでなければならず、「公益事業寄附法」により、非営利活動であること、無償であること、ビジネス目的としないこと、製薬企業やその関係者との製品参入や販売促進などの商業的利益の交換を条件としないことなどが求められる。

②商業賄賂

医薬品分野における商業賄賂の取締りは非常に厳しく、患者支援プログラムの各当事者は、リベート、招宴、旅行などの方法を通じて、処方せんを発行できる医師に不当な利益を提供してはならない。パートナーは、医師への正当な報酬(例えば、講演料や立ち合い診察料など)を支払うという名目で、医師または医薬品調達を担当するその他の担当者に贈賄してはならない。また、製薬会社は患者支援プログラムにおいて、処方せんの統計および医師から処方せんの情報を収集してはならない。

③診療コンプライアンス

患者支援医薬品が処方せん医薬品である場合、患者は医師の指示に従って医薬品を使用する必要があり、医師は患者の実際の状態や診療ガイドラインに従って適切な量の医薬品を処方する必要があり、さもなければ、過度の診療にかかわるリスクがある。したがって、患者支援プログラムがあるから、患者が一定量の医薬品を無料で入手できるとしても、それを理由に、医師が不当に多くの医薬品を処方するよう誘導したり、影響を与えたりしてはならない。 

Q6: その他、患者支援プログラムの管理プロセスや形態において、製薬会社が留意すべき点はあるのか? 

A6: 製薬会社は、患者支援プログラムを行う際に、各段階において、以下の点に留意しなければならない。

プログラム段階

コンプライアンス上のポイント

準備段階

1. パートナーについて、資格・証書、コア人材、ネガティブ情報および過去のプログラム経験などを含むがこれらに限らないデューデリジェンスを行うことができる。

2. 患者支援プログラムについてパートナーと書面契約を締結し、プログラム計画、コンプライアンス要件、監査条項などについて約束する。

実施段階

1. 寄付された医薬品は、資格を有する物流業者を通じて配送しなければならない。

2. 寄付された医薬品を提供する際には、患者が寄付された医薬品を受け取る条件を満たしているかどうか、あらかじめ設定された基準に従って審査しなければならない。

3. 寄付された医薬品について、処方せんの統計を行ってはならない。

4. 必要がない場合、製薬会社は、患者の個人情報の収集を控えなければならない。

5. プログラム期間が比較的に長い場合、パートナーに定期的な報告書の発行を求めることができる。

完了段階

1. パートナーはプログラム完了報告書を提出し、必要に応じて製薬会社は契約の監査条項に従って監査を行うことができる。

2. プログラム関連の報告書、請求書などの添付書類をファイリングして管理する。

終わりに

患者支援プログラムは、製薬会社にとって大きな意義があり、医薬品の市場プロモーションに役立つだけでなく、企業の社会的責任を反映し、患者に実質的な支援を提供するものである。しかし、これらのプログラムを行う中で、製薬会社は関連法律法規を厳格に遵守し、独占や不正競争などの違法行為に触れないようにしなければならない。したがって、患者支援プログラムを行う際、製薬会社はコンプライアンス管理に注意を払い、業務の各段階が法律規定と政府の規制要件を遵守していることを確保し、企業の正常な運営と持続的な発展を保障しなければならない。 

(作者:北京市中倫(上海)法律事務所 邱靖弁護士)

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