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中国の医薬代表管理制度および規制の現状

中国ビジネスレポート 法務
邱靖

邱靖

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2024年4月26日

はじめに

2023年8月15日、国家衛生健康委員会が発表した「全国の製薬分野における腐敗問題の集中是正作業に関する質疑応答」によると、国家衛生健康委員会など10部門は共同で、全国の製薬分野における1年間の腐敗問題の集中是正作業を開始した。医薬品の仕入れと販売における重要な一環として、医薬情報担当者(中国語:医薬代表、以下「医薬代表」という)は製薬会社と医療従事者の間の直接的な交流の第一線に位置づけられ、常に医療分野における是正行動の重点対象となっている。本稿はこれを背景に、中国の医薬代表管理制度および規制の現状をまとめのうえ、解説する。

本文

Q1: 中国において、医薬代表に対する規制規定は何かあるのか。

A1: 中国における国家レベルの医薬代表に関する主な管理規定は、2020年12月1日より発効された「医薬代表届出管理弁法(試行)」(国家薬品監督管理局2020年第105号公告)であり、当該規定により、中国は医薬代表に対して届出管理制度を実施している。

前述の規定が公布されてから、各地の関連部門も現地の実践と連動した地方の規制規定を公布した。例えば、2021年12月に江西省衛生健康委員会が公布した「医薬代表による医療機関の職員への訪問に関する管理弁法(2021年)」、2023年12月に陝西省衛生健康委員会が公布した「医療機関における医薬代表の接遇管理規定(試行)」、福建省衛生健康委員会と福建省薬品監督管理局が共同で公布した「福建省公立医療機関の職員による医薬代表の接遇管理に関する暫定規定」、および2024年2月に湖北省薬品監督管理局と湖北省衛生健康委員会が共同で公布した「医薬代表の管理のさらなる規範化と強化に関する通知」などがある。

これらの地方規定は、「医薬代表届出管理弁法(試行)」に基づき、医薬代表に対する管理と規範化について、医療機関に入る医薬代表の予約管理の強化、医薬代表のインテグリティファイルの設置、医薬代表の接遇制度の設立など、より詳細な要求を打ち出している。

Q2: 医薬代表届出管理制度の具体的な内容は?

A2: 医薬代表届出管理制度とは、学術プロモーションなどの活動を行う医薬代表は届出を行う必要があり、届出は医薬品市販許可保有者によって完成させることを指す。医薬品市販許可保有者は、国家薬品監督管理局が指定した届出プラットフォームで、医薬代表の氏名、性別、写真、身分証明書の種類と番号、専攻、学歴、プロモーション担当となる医薬品の種類と治療分野などを含むがこれらに限らない医薬代表情報の届出を行い、プラットフォームによって医薬代表の届出番号を自動的に生成され、医薬代表届出情報の適時管理を行い、要件に基づいて医薬代表の情報を入力・変更・確認・削除する。

Q3: 中国法において、医薬代表にはどのような禁止事項があるのか。

A3: 「医薬代表届出管理弁法(試行)」により、医薬代表には以下のような状況になってはならないとされ、このような禁止状況は各地の地方法規においてさらに改善・強化されている。
(1) 届出を行わずに学術プロモーションなどを行うこと
(2) 医療機関の同意を得ずに学術プロモーションなどを行うこと
(3) 医薬品の販売を行い、代金の受け取りや仕入れ・販売領収書の処理などの販売行為を行うこと
(4) 個々の医師が発行した医薬品処方数量の集計に関与すること
(5) 医療機関の内設部門や個人に対し、直接寄贈や経済的な援助、賛助を行うこと
(6) 医薬品の使用に関して医師を欺くこと、医薬品の効能を誇張または誤解を与えること、医薬品の既知の副作用に関する情報を隠蔽すること、または医師からの副作用に関する情報を隠蔽すること
(7) その他、臨床現場における医薬品の合理的な使用を妨げるまたは影響を及ぼす行為

Q4: 医薬代表届出制度は、医療機器メーカーの営業担当に適用されるのか。

A4: 医療機器メーカーの営業担当は、国家レベルの「医薬代表届出管理弁法(試行)」において明確に規定されている規制対象ではないが、一部の地域の地方規定では規制対象であると明確されている。

「医薬代表届出管理弁法(試行)」における医薬代表とは、医薬品市販許可保有者が中華人民共和国において医薬品情報の伝達、意思疎通、フィードバックに従事する専門人員であると定義されている。当該定義から、国家レベルに適用される医薬代表届出制度は、医療機器メーカーの営業担当には適用されないことがわかる。

しかし、各地の地方規定において、一部の地域では医療機器メーカーの営業担当を医薬代表届出システムに納入し、国家レベルよりも厳しい規制基準を適用することもある。例えば、「福建省公立医療機関の職員による医薬代表の接遇管理に関する暫定規定」の第2条では、「本規定でいう職員とは、主に公立医療機関において医薬品および医療機器管理使用に関わる職員のことを指す。」と規定し、安徽省の「医薬代表の行動規制に関する注意喚起および警告書」では、管轄内の医療機器メーカーを警告の範囲に含まれ、陝西省の「医療機関における医薬代表の接遇管理に関する規定(試行)」の第2条では、「本規定でいう医薬代表とは、医薬品製造販売企業、またはその代理機構を代表して、医薬品、医療用設備、医療消耗品、試薬などの情報の伝達、意思疎通、フィードバックに従事する専門人員のことを指す。」と規定するなど。

総じて、国家レベルの規定では、医療機器メーカーの営業担当による届出を要求していないが、各地の規定により、医療機器メーカーの営業担当は依然として関連規定を遵守しなければならない。

Q5: 医薬代表管理規定に違反した場合、どのような影響があるのか。

A5: 医薬代表および医薬品市販許可保有者(または医療機器市販許可保有者)は、医薬代表管理規定に違反した場合、以下のような影響を受ける可能性がある。

(1) 医療機関レベル

多くの医療機関は内部管理に関する規定を公布し、院内インテグリティファイルの設置および規定を違反した場合に処罰を科す仕組みを打ち出している。例えば、ある病院では、医薬代表が規定を違反して許可なしに医療重点エリアで活動を行った場合、初回目に発見された場合は警告、2回目に発見された場合は関わる医薬品・医療機器製造販売企業またはその代理機関と面談、3回目に発見された場合は企業とその医薬代表を病院の「ブラックリスト」に納入し、その代理される医薬品と医療機器の使用を3か月間停止し、当該医薬代表の病院への立ち入りを禁止する。一度違反行為を見つかった場合、企業と医薬代表のインテグリティファイルに記録される。また、医薬代表の違反行為により医療機関から医薬品の販売中止を通告されるケースも珍しくない。

(2) 法律法規レベル

「医薬代表届出管理弁法(試行)」において、医薬品市販許可保有者または医薬代表が、その医薬品を使用される関係者に財物またはその他の不当利益を与えた場合、「中華人民共和国薬品管理法」および「中華人民共和国不正競争防止法」などに基づいて調査・処分を行うことを明確にしている。

終わりに

「医薬代表届出管理弁法(試行)」が2020年に既に公布・施行されたが、国家が医療分野における反腐敗に対して強調と注目されている中、今年2月現在、各地の衛生健康委員会や医療機関は、医薬代表に対する高強度の規制の実施、医薬代表の学術プロモーション行為に対する制約・是正・規範を明確にするように、最新の細分化した規範を打ち出し続けている。このような背景の下で、医薬品や医療機器メーカーが医薬代表届出管理に係る規定を厳格に遵守せず、積極的に医薬代表を制約しない場合は、医薬代表による法違反のプロモーションからもたらした結果を直接負担し、自社の業務にも影響を及ぼす可能性がある。

(作者:北京市中倫(上海)法律事務所 邱靖弁護士)

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