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中国の医薬品市販承認の移譲制度について

中国ビジネスレポート 法務
邱靖

邱靖

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2024年7月16日

はじめに

「薬品管理法(2019年改正)」は、中国の医薬品市販承認取得者(以下「MAH」という)制度を法的レベルで正式に確立され、国務院薬品監督管理部門の承認を経て、MAHは医薬品市販承認を移譲することができると定めている。この変更により、医薬品市販承認の移譲取引が急速に業界の注目の的となっている。

本文

Q1: MAHとは何か?

A1: MAHとは、医薬品登録証書を取得した企業または医薬品研究開発機構などを指し、法に基づいて、医薬品の研究開発、製造、経営、使用の全過程における医薬品の安全性、有効性と品質管理に責任を負う。

Q2: MAHと医薬品メーカーの関係は?

A2: 現行の制度において、MAHは自ら医薬品を製造することができ、即ち医薬品メーカーである。MAHが自ら医薬品を製造する設備または能力を持たない場合、条件に満たしているほかの医薬品メーカーを委託して製造することもできる。このような委託製造の場合において、当事者双方が契約における義務を厳格に履行できることを確保するために、MAHは委託製造業者と委託契約および品質契約を締結しなければならない。委託の関係にあっても、MAHは医薬品のライフサイクル全体に責任を持つ第一人者の役割を担っている。

「薬品製造監督管理弁法」に基づく医薬品製造許可証の分類によると、自ら製造のMAHが所持する医薬品製造許可証はA証、製造を委託したMAHが所持する医薬品製造許可証はB証、委託を受けた医薬品メーカーが所持する医薬品製造許可証はC証である。

Q3: MAHは、どのように変更を行うのか?

A3: 国内MAHの変更手続きは、①市販承認の譲受人が対応する製造範囲の医薬品製造許可証を取得する、②譲受人が国家薬品監督管理局薬品評定センターに補充申請を提出する、③医薬品の補充申請通知書が発給される。

国外保有者間の変更については、変更後の保有者が薬品評定センターに補充申請を提出する。既に国内で市販されている国外製造医薬品を国内製造に移行する場合については、国内申請者が医薬品市販の登録申請の要件と手続きに従って申請する必要がある。

変更手続きに関わる主な法律規定には、「薬品管理法」、「薬品管理法実施条例」、「薬品製造監督管理弁法」、「薬品登録管理弁法」、「医薬品の市販後変更管理弁法(試行)」などがある。さらに、国家薬品監督管理局は、市販承認の移譲に対し多くの規範性文書を続々と公布し、申請者は移譲のコンプライアンスを確保するために、綿密な調査・研究と準備を行わなければならない。

Q4: MAHの変更にはどのような申告文書を提出しなければならないのか?

A4: 国家薬品監督管理局の要求により、MAHの変更に係る申告文書は以下の通りである:

薬品登録証書などの写し

申告となる医薬品がこれまで取得した承認文書(医薬品登録証書、医薬品補充申請の承認書類、医薬品再登録の承認書類)

証明性書類

国内製造の医薬品:変更前後のMAHの「薬品製造許可証」およびその変更記録のページ、営業許可証の写し、およびMAH変更契約の原本(商業機密に係る場合は隠匿する必要しなければならない)

国外製造の医薬品:1)国外保有者が、関連する医薬品登録事項の代理人として中国国内の企業を指定する場合、委任状および公証・認証された文書(中国語翻訳付き)を提出しなければならない。並びに中国国内の登録代理機構の営業許可証の写し。2)関係国または地域の主管部門が発行したMAHの変更を承認する証明文書、および公証・認証された書類(中国語翻訳付き)。

申請者の誓約

移譲予定の医薬品の製造場所、処方、製造工程、品質基準などが元の医薬品と一致し、変更されないことを譲受人が誓約すること。

その他

国家薬品監督管理局が定めるその他の文書。

Q5: 医薬品市販承認の移譲取引において、特に注意しなければならないポイントとは何か?

A5: 法的観点から、医薬品市販承認の移譲取引において、特に注意しなければならないポイントは以下の通りである:
(1) 譲受人の資質:譲受人が適切な資質を有しているか否かは、医薬品市販承認の移譲取引が成功できる否かの最も重要な要素の一つである。その中でも、医薬品製造許可証のB証の取得には、所在地の省級薬品監督管理局が発行する医薬品GMP適合性検査告知書と製造受託同意書の提出が必要である。しかし、現在、省によって承認規模や留意点に違いがあり、関連文書の取得難易度が異なるため、省を跨ぐ移譲取引も複雑化している。
(2) 移譲製品の資質:譲受人は、移譲予定の製品に輸入・製造・市販・販売・集中購買の停止などの資質上の欠陥または販売上の支障がないかを確認しなければならない。また、移譲対象に関して未解決のいかなる紛争がないかにも留意しなければならない。
(3) 移譲対象の範囲:移譲人および譲受人は、移譲する製品、知的財産権の取決め、市販承認の申告資料の移譲などを契約に詳しく記載しなければならない。
(4) 医薬品の製造・供給:移譲人または移譲人から委託を受けたCMOが譲受人に対して製品の製造・供給を継続する場合、製品の品質、供給価格、購入案、代金の支払いなどについて約束しなければならない。譲受人がその後、自社で製品の製造を行うか、またはCMOに委託製造を希望する場合は、製造技術の移転に関する権利と義務の取決めについても詳しく約束しなければならない。
(5) その他:移譲価格の支払いの取り決め、譲受人の排他的義務または競業避止義務など、その他の条件についても、取引両当事者の権利と利益を保障するために十分に検討しなければならない。

終わりに

MAH制度は、その柔軟性により、製造リソースの統合と最適配分を強力に支援する。当該制度は、革新的な研究開発市場の活力を刺激するだけでなく、資本市場の豊かな発展も促進する。医薬品市販承認の移譲制度の継続的な進化に伴い、新たな政策が打ち出され続けているため、業界関係者は高度な警戒を維持し、政策の動向に細心の注意を払う必要がある。

(作者:北京市中倫(上海)法律事務所 邱靖弁護士)

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