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医療広告の規制要件およびコンプライアンスのポイントについて

中国ビジネスレポート 法務
邱靖

邱靖

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2024年8月14日

はじめに

医療業界の急速な発展やインターネットの台頭により、広告によって自社またはその医療サービスをアピールする医療機関が増加しているが、医療業界は高度規制の業界であるため、医療広告の内容の審査から具体的な広告の掲載に至るまで、関連するコンプライアンス要件を遵守しなければならず、医療機関やその提携機関が医療広告のコンプライアンス管理の不備により、実際に罰則を受けるケースも少なくない。このような前提のもと、本稿では、医療広告の広告主や掲載者などが、法執行上の要件をよりよく理解し、適法かつコンプライアンスに則った広告宣伝が行われるよう、医療広告の規制要件およびコンプライアンスのポイントをまとめることを目的とする。

本文

Q1: 医療広告の定義および審査範囲は?

A1: 「医療広告管理弁法」により、医療広告とは、様々な媒体または形態を用いて、直接的または間接的に医療機関または医療サービスを紹介する広告を指す。医療広告に該当するか否かの判断のポイントは2つある。一つ目に、「広告法」に定める「広告」に該当するか否か、すなわち、商品の事業者またはサービスの提供者が、一定の媒体または形態を通じて、その宣伝される商品またはサービスの商業広告活動を直接的または間接的に紹介するか否かである。二つ目は、その広告の内容が医療機関または医療サービスの紹介であるか否かである。

ただし、医療機関または医療サービスを紹介する情報のすべてが医療広告に該当するわけではなく、医療機関が法に基づいて自ら開示する情報は医療広告に該当しないが、以下の規範に基づく情報開示が含まれるがこれらに限らない。
(1) 「医療機関管理条例」により、医療機関は医療機関執務許可証、診療科目、診療時間、診療費などを見やすい場所に掲示しなければならないと定めている。
(2) 「中医薬法」により、中医診療所はその診療範囲、中医医師の氏名およびその執務範囲を所内の見やすい場所に表示しなければならないと定めている。
(3) 「医療衛生機関情報公開管理弁法」の定めにより、以下の情報は法に基づいて自ら開示しなければならない情報である。①機関の基本概要、公共サービス職能、②機関科室の分布、人員の標識、標識の案内、③機関のサービス内容、重点学科および医療技術の参入、サービスの流れおよび注意事項など、④公衆衛生と疾病緊急対応に関するサービスの流れに係る情報、⑤医療保険、価格、費用基準などのサービス情報、⑥健康知識普及の宣伝教育に関する情報、⑦入札・購買の情報、⑧業界の気風・クリーンな政治の確立の状況、⑨相談・苦情に関する方法、⑩その他法律、法規、規則などが定める自ら開示しなければならない内容。一方、「国家衛生健康委員会弁公庁による医療衛生機関の情報開示の基本目録の発表に関する通知」は、各種の医療衛生機関の法定開示情報をさらに細分化され、明確にしている。
(4) 「衛生部による外来診察カルテ上の医療機関の簡単な紹介の掲載などを医療広告の審査範囲から除外することに関する返答(衛医函[2008]127号)において、医療機関の簡単な紹介、専門科室の特徴、疾病の予防や治療に関する知識、および外来診療の取り決めなど、医療機関が診察カルテ、院内定期刊行物または当該機関が運営するウェブサイトにおける掲載内容は、ひとまず医療広告の審査範囲から除外することを明確にしている。

Q2: 医療広告の規制要件とは?

A2: 医療広告は、多くの規制要件を遵守しなければならず、以下を含むがこれらに限らない。
(1) 「広告法」、「不正競争防止法」、「広告管理条例」、「インターネット広告管理弁法」、「ラジオ・テレビ広告放送管理弁法」、「広告絶対的用語法執行指南」など、広告宣伝分野における基本的な規範またはガイドライン
(2) 「医療広告管理弁法」、「医療美容広告法施行ガイドライン」、「衛生部による医療広告管理の更なる強化に関する通知」、「医療美容業界における虚偽宣伝および価格の法律違反行為の管理に関するガイドライン」など、医療広告分野における特定の規制要件またはガイドライン
(3) 「上海市<医療広告証明書>発行管理暫定弁法」、「上海市衛生局や上海市工商行政管理局による医療広告管理の強化に関する通知」などの地方の医療広告に関する規範性文書

Q3: 医療広告を掲載できる主体とは?

A3: 医療広告の掲載主体は医療機関に限られ、医療機関以外の機関または医療機関の内部科室による医療広告の掲載が禁じられている。

Q4: 医療広告はどの審査メカニズムを採用するか?

A4: 医療広告は事前審査メカニズムを採用し、主に以下の点に留意する必要がある。
(1) 事前審査:医療広告を掲載する医療機関は、掲載前に医療広告審査申請を行い、「医療広告審査証明書」を取得しなければならない。「医療広告審査証明書」を取得しない場合、医療広告を掲載してはならない。
(2) 有効期間:「医療広告審査証明書」の有効期間は1年間である。有効期間満了後も引き続き医療広告を掲載する必要がある場合は、審査申請を再提出しなければならない。
(3) 掲載内容と承認内容の一致:医療機関は、「医療広告審査証明書」に基づいて承認された広告の完成見本品の内容および媒体区分に従って医療広告を掲載しなければならない。 医療広告の内容を変更する必要がある場合、または医療機関の執務状況が変更され、審査済みの医療広告の完成見本品の内容と適合しない場合は、医療機関は、審査申請を再提出しなければならない。

Q5: 医療広告に含むことができる内容とは?

A5: 医療広告に掲載できる内容範囲に厳しい規制があり、次の8項目に限定される。

(1) 医療機関の第一名称
(2) 医療機関の住所
(3) 所有制の形態
(4) 医療機関の類別
(5) 診療科目
(6) 病床数
(7) 診察受付時間
(8) 連絡先電話番号

同時に、前記(1)から(6)の掲載内容は、衛生行政部門や中医管理部門が発行する「医療機関執務許可証」またはそのコピーに記載されている内容と一致していなければならない。

特に注意を払う必要があるのは、前述の医療広告の内容に関する制限は、2006年に改正された「医療広告管理弁法」に由来するものであり、実際の運用に照らして比較的厳しいものである。当該制限は2015年に公布された「医療広告管理弁法(改正稿)(意見募集稿)」で削除され、当該意見募集稿はまだ正式発効されていないが、当該制限と現在の実務ニーズとの間にミスマッチがあることを十分に示している。

Q6: 医療広告の内容にはどのような禁止事項があるか。

A6: あらゆる分野の広告に一般的に適用される「広告法」の禁止事項に加え、医療広告の分野ではその独自の禁止事項があり、様々な規定と併せて以下の通り要約する。

(1) 医療技術、診療方法、疾患名、医薬品に関わること
(2) 効能・効果、安全性を表示する断言または保証を含むこと
(3) 治癒を保証すること、または治癒を保証することを暗に含むこと
(4) 治癒率、有効率などの診療効果を宣伝すること
(5) 淫猥、迷信的、でたらめであること
(6) 他人を低く評価すること
(7) その他の医薬品、医療機器の効能・効果や安全性、またはその他の医療機関と比較すること
(8) 患者、衛生技術者、医学教育・科学研究機関や関係者、およびその他社会的団体・組織の名義やイメージを使用して証明すること
(9) 人民解放軍および武装警察隊の名義を使用すること
(10) 健康や摂生知識を紹介するなどの形で、医療広告を別の形で掲載すること
(11) 未成年者を対象としたウェブサイト、ウェブページ、インターネットアプリケーション、Wechat公衆号などのインターネット媒体に医療広告を掲載すること
(12) 法律や行政法規の規定で禁止されているその他の場合

終わりに

医療機関間の競争がますます激しくなる中、インターネットを利用した広告の掲載などの宣伝手法も常に充実・更新され、実務上、注意しなければならない広告行為やコンプライアンス指導が必要な広告行為も増えていくと思われる。医療広告関連主体は、強力な規制と業界のコンプライアンスガイドラインという国の流れに従い、法に基づいて規定通りに広告を掲載し、関係リスクを積極的に予防・制御しなければならない。

(作者:北京市中倫(上海)法律事務所 邱靖弁護士)

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