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中国における化粧品の市場販売に係る主な規制の枠組みについて

中国ビジネスレポート 法務
邱靖

邱靖

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2024年9月13日

はじめに

中国の化粧品市場は、その広大な発展空間と巨大な消費ポテンシャルにより、世界中の化粧品企業の注目を集めている。このような背景から、中国の化粧品に対する規制制度は、市場の健全な発展と消費者の権益の保護を確保するために改善されつつある。本稿は、製品の市場販売前の登録や届出の段階を例に、中国における化粧品販売に関する主な規制の枠組みを紹介することを目的とする。

本文

Q1: 化粧品の法的定義とは何か?

A1: 2021年に正式発効された「化粧品監督管理条例」は、中国における化粧品規制の主な法的根拠である。当該条例により、化粧品とは、塗擦、吹き掛けるまたはその他類似の方法で、皮膚、毛髪、爪、唇などの人体の表面に塗布され、洗浄、保護、美化、修飾を目的とした日用化学工業製品である。ある製品が中国における化粧品の規制範囲に含まれるか否かを判断するには、当該定義を基準にしなければならない。

Q2: 一般化粧品と特殊化粧品の違いとは何か?

A2: 中国の規制では、化粧品を特殊化粧品と一般化粧品の2つに分類している。

特殊化粧品とは、髪染め、パーマ、シミ取り・美白、日焼け止め、抜け毛防止に使用される化粧品、および日焼け止め、美白美容液、ヘアカラークリームなどを含む新しい効能を主張する化粧品である。特殊化粧品は、その機能が特殊であるため、より厳格な登録・承認プロセスを経る必要がある。

一般化粧品とは、乳液、クリーム、洗顔クリーム、メイクアップ化粧品、シャンプー、ヘアコンディショナーなどを含むがこれらに限らない特殊化粧品以外の化粧品を指し、これらの製品には、特殊化粧品に属する上記のような特定の効能効果が含まれてはならない。一般化粧品の市場販売プロセスは比較的簡単で、届出のみ経らなければならない。

Q3: 医薬品、医療機器と化粧品の関係は?

A3: 現在、「薬用化粧品」または「抗炎」「抗アレルギー」などの効能効果を主張する一部の製品が市場に出回っているが、実際はコンプライアンス違反である。中国の法的枠組みにおいて、医薬品、医療機器と化粧品の間には本質的な違いがあり、「薬用化粧品」という概念もない。医薬品は人の疾病を予防、治療、診断することを目的とし、医療機器も疾病を診断、予防、看護、治療または緩和することを目的とする。これに対し、化粧品は洗浄、保護、美化、修飾を目的としたものであり、3種類の製品の規制方法には明確な違いがある。 従って、医薬品であり化粧品でもある、または医療機器であり化粧品でもあるの製品は存在しない。さらに、消費者がそれぞれの機能や用途を明確に区別できるように、広告や宣伝の面でも三者すべてが法的に規制されている。

Q4: 化粧品に使用できる原料は何か?

A4: 化粧品の品質安全は原料の安全性に大きく依存し、中国は化粧品の原料と生産の参入に対して厳しい規制要件を設けている。化粧品に使用できる原料は、使用済み原料と新原料の2種類に分けられる。

使用済み化粧品原料については、国家薬品監督管理局が制定し公布した「使用済み化粧品原料カタログ」を検索することができ、当該カタログの最新の2021年版には合計8,972種類の原料が収録されている。化粧品新原料とは、中国国内で初めて化粧品に使用される天然または人工の原料で、登録または届出を経てから使用できるものを指す。そのうち、防腐、日焼け止め、着色、髪染め、シミ取り・美白の機能を持つ化粧品新原料は、国務院薬品監督管理部門で登録しなければならない。その他の化粧品新原料は、国務院薬品監督管理部門で届出しなければならない。

また、国家薬品監督管理局が公布した「化粧品安全技術規範」には、化粧品の使用禁止成分、使用禁止植物(動物)成分、制限成分などが規定されていることに注意しなければならない。 例えば、ヒト細胞、ヒト組織またはヒト由来製品は化粧品で明確に使用禁止されている成分である。

Q5: 化粧品はどうやって登録または届出を行うのか?

A5: 特殊化粧品は、国務院薬品監督管理部門での登録を経てから生産、輸入することができる。輸入の一般化粧品は、輸入される前に、国務院薬品監督管理部門での届出を行い、国産の一般化粧品は、市場販売となる前に、届出者の所在地の省・自治区・直轄市人民政府の薬品監督管理部門で届出を行わなければならない。

特殊化粧品や一般化粧品を含む化粧品の効能効果は、登録または届出時に効能効果の主張を評価しなければならない。特に、シミ取り・美白、日焼け止め、抜け毛防止、にきびの除去、栄養補給と修復の効能効果を有する化粧品は、ヒトによる効能効果評価試験の方法を通じて効能効果の主張を評価しなければならない。

終わりに

化粧品業界の健全な発展は、厳格な規制制度なしには達成できない。企業は、関連法律法規を十分に理解し遵守することで、製品の安全性とコンプライアンスを確保し、消費者に高品質の化粧品を提供することが、企業の長期的な発展を確保する鍵でもある。

(作者:北京市中倫(上海)法律事務所 邱靖弁護士)

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