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支援者の有効活用:現地化は目的ではなく手段である

中国ビジネスレポート 組織・経営
小島 庄司

小島 庄司

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2019年2月13日

今回のテーマは、本社からの支援者の有効活用です。

ここで取り上げる支援者とは、緊急対応の応援者ではなく、現地の人材育成、レベルアップを目的とした方々を指しています。

製造現場、品質、生産管理、営業、技術など、本社から支援者を招いて管理や業務のレベルアップを図っている会社は少なくないと思います。

現地の赴任者だけだと、日常の他業務に手を取られて、なかなか、営業担当者や技術サービス員と顧客現場を回ったり、じっくり製造現場の様子を観察したりすることができませんので、支援者が来てくれるというのは、心強く、普段できない活動を展開するのに有効です。

一方で、「せっかくの機会をもっと有効活用できるのではないか」、「一過性の変化に終わらせず持続的なレベルアップに持って行くにはどうすればいいか」、と感じている経営者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そこで、支援者の活用のポイントを整理してみました。

●もっと!支援者活用のポイント
①最初の一週間は指導しない
②夕会・朝会を行う
③課題分析・提案に条件をつける

貴重な機会と支援者の熱意ですから、十分に活かせるよう、ちょっとした工夫をしてみましょう。

①最初の一週間は指導しない

情熱ある支援者ほど、来た早々から精力的です。
「限られた期間できているんだから、できるだけのことを伝えたい!」この気持ちは現地経営者にとって、頼もしく、ありがたいことです。

ですが、経営者と支援者の取り決めで、「最初の一週間は指導せず観察してほしい。できればえびす顔で(笑)」とすることをお薦めします。

なぜ最初から指導しない方がいいのか。理由はいくつかあります。

□本来の日常の様子が掴めない
□なぜそうなのか背景が見えない
□指導の重点・狙いが絞れない
□通訳が原因で正しく伝わらない

支援者と接したばかりの社員たちは緊張しています。また、どんな人なのか様子を見ています。

ここでいきなり指導を始めてしまうと(しかも表情が厳格・厳粛系だとなおさら)、社員たちはいつも通りの仕事ぶりを引っ込めてしまいます。
また、そばの社員も指導に合わせようとするでしょうから、日常の現場の様子が十分に把握できなくなってしまいます。

そこで一週間のえびす顔です。最初は緊張してエエカッコしたり首をすくめたりしていた社員たちも、穏やかに見られているだけとなれば、だんだん地が出てきます。
一週間も経たなくても、ふだんがどんな様子なのか、課題がどのあたりにあるのか、経験豊富な支援者には分かります。

それでも手を出しません。問題が見えてきたら、どうしてそうしているのか、そうなっているのか、原因・背景を見ていきます。
作業要領書や指示書ではどうなっているのか。標準作業は明確になっているのか。資料の確認、日本人赴任者への確認、現場上長への質問、現場担当者への質問……(ここも詰問せずえびす顔で♪)。

こうして実態を把握していくと、
□そもそもルール・標準が不備
□教育・指導ができていない
□理解しているけど、やってない
問題の原因がどこにあるのか見えてきます。原因のありかによって解決方法も変わってきます。

ここまで来たら、現地経営者・部門責任者と討議を行い、今回の活動期間における指導の重点、目標を絞ります。

そして、担当する通訳者とも事前打ち合わせを行います。日中両カ国語が可能な幹部や管理者にも参加してもらいましょう。
この場で指導重点や現状課題を通訳者と共有し、質問を受け、来週からどんな活動が始まるのか理解してもらいます。

支援者の方は通訳を介したコミュニケーションに慣れていませんので、いきなり指導だと通訳が指導のネックになる恐れがあります。
通訳者は一週間の観察期間も支援者について、支援者が何を見ているのか学ぶといいでしょう。
次の週から、いよいよ指導です。

支援者の有効活用、次回に続きます。

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