こんにちわ、ゲストさん
ログイン2020年3月27日
オンライン掲載用にこの冒頭を加筆しているのが2020年3月中旬。
新型コロナの影響が世界全体を覆ってしまい、世界各地で移動制限・店舗閉鎖・緊急支援対策などが相次ぎ発表されているタイミングです。
皮肉というか、人間万事塞翁が馬というか、新型コロナのダメージから一番早く抜けそうなのが中国という状況になりつつあります。
世界的に生産・物流・販売活動が縮小するなか、中国ビジネスに関わる我々は、中国での事業活動を通して企業活力の維持・回復に努めるのが当面の役割ですね。
こんな状況で、焦点になっていく課題の一つが、今回から入るテーマ「組織老化の錆」だと思います。
すでに、動きの早い会社さんからは相談をいただき、案件として進めているところです。
皆さんもこれを期に自社の現状をチェックしてみてください。
■ 日系現地法人 共通四課題の一つ、「組織老化の錆」とは何か
現地法人で継続的に事業を発展させるための要は人。
そして日系企業に共通する人と組織の課題は四つ。
この課題をどう解決していくか、今回から三つ目の課題、『組織老化の錆』をどう落とすかを考えていきます。
アジア現法の共通四課題(人と組織) □経営の一貫性の谷:短任期で継承できず □誤った現地化の闇:ブラックボックス化 □組織老化の錆:守旧化し挑戦や活力を喪失 □意思疎通の壁:相互理解を妨げる三要因 |
まず、組織老化の錆とは、どんなことか。例を挙げて見てみましょう
最初は現地法人の立ち上げ前夜、現地に設立準備室などを構えたところから始まります。
日本からやってきたメンバーは、何もかも手探り状態。
まずは一緒に動いてくれる通訳兼何でも屋スタッフの確保が必要です。
ここで一緒に苦労してくれた人が、通常は現地法人の第一号社員となります。
設立活動が本格化すると、ありとあらゆる領域の仕事が同時に動き出し、立ち上げメンバーは忙しい日々を送ります。
行政の手続きや交渉、工場やオフィスの施工、人の採用、設備の搬入設置、物品購入や各種の契約……。
この段階で、「自分の仕事範囲が不明確だ!」とか「評価や処遇が不公平だ!」などと文句を言う社員はまずいません(もしいたら、雇用継続は慎重に検討した方がいいかも)
なぜ不満が出ないかと言えば、会社が特に工夫しなくても、自然とやる気の出る条件がいくつか揃っているからです。
立ち上げ期のやる気が高い理由 ①全社一丸となる挑戦目標が明確 ②組織が小さくチームの輪を感じられる ③がんばった先に明るい未来がある |
一丸となる挑戦目標とは、工場や事業を立ち上げること。
部署や職位を超えた全社員共通の分かりやすい大目標です。
このために全員集まってきたわけだし、立ち上がらなければその先の発展もない。
また、新しい課題を次々にクリアしながら、新しいものを創りあげていく日々は刺激的で、達成感もある。
そして、組織が小さいから、お互いの顔も動きもよく分かるし、意識して交流機会を設けなくてもコミュニケーション機会は十分にある。
無理難題は、役所や業者や日本側など外から降りかかってくるため、社内は志を同じくするチームとして自然と結束する。
さらに、工場ができあがったり、機械が動き出したり、人がどんどん増えてきたりと、目標に近づいていることが体感でき、自分の努力が実を結んでいるというやり甲斐もある。
創業期メンバーとして経営者や日本側と関係が近く、組織が大きくなるにつれ、職位が上がり処遇も上がっていく。
中国をはじめ、アジアの人たちは日本人よりも経済観念が強く、がんばる動機の大部分が③(いずれ報われる)であると思われがちです。
もちろんこういう期待があって入社してくるはずですが、実際の草創期のハードワークを支えるのは、①(仕事そのものにやり甲斐がある)や②(チームワークが楽しい)だと思います。
そして、草創期から量産準備期、高成長期へと進んでいくにつれ、①や②が薄らいでいき、やる気の源泉は③中心になっていきます。
■ 規模の拡大が止まると問題が噴出しはじめる
事業成長が頭打ちとなり、組織規模が拡大しなくなった段階で、③によるやる気も消滅します。
組織の規模が拡大しなくなったということは、これまでと同じように仕事していてもポジションや処遇が上がらなくなったことを意味するためです。
言葉を換えると、社内の利害が一致しなくなったのです。
一般に、短い会社で10年未満、長くて15年でこの段階に到達します。
組織老化の問題は、この時期から一気に噴出しはじめ、深刻化していきます。
次回、老化による問題の例を見ていきましょう。
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