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ログイン2021年1月13日
この稿は「錆の落とし方」という観点から書いていますが、錆落としで避けて通れないのが「一罰百戒」と「解雇」。ただ、解雇となると色々なリスクが頭をよぎり、慎重に構えてしまう経営者は多いです。
そこで、解雇の心得・解雇の方法について解説した動画を公開しました。中国では微信、中国外ではYouTubeでご覧いただけますので、関心のある方はいくつか見てみてください。
私たちはこれまで100件を超える解雇案件を手がけ、ゴールまで到達しなかったのは3件程度だと思います(それぞれ特殊要因はありましたが)。コロナ後にも解雇案件が急増し、それぞれ所期のゴールに到達しました。動かすまでの心理的ハードルは非常に高いと思いますが、終わった経営者は一様に「やってよかった」とすっきりした表情になります。
必要であれば解雇はできる、一罰百戒はできるという前提で、組織老化の錆の話も読んでみてください。
さて、「組織老化の錆」の続き。「進行度合い② 錆びているが落とせば大丈夫」の段階で対策を打つ場合のポイントでした。
アジア現法の共通四課題(人と組織) □経営の一貫性の谷:短任期で継承できず □誤った現地化の闇:ブラックボックス化 □組織老化の錆:守旧化し挑戦や活力を喪失 □意思疎通の壁:相互理解を妨げる三要因 |
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●組織老化の進行度合い
①まだほとんど錆がない
②錆びているが落とせば大丈夫
③一部腐食が進行している
④全面的に腐食が進行している
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一つ目は「やっても、やらなくても一緒、からの脱却」で、ルールを守った方が得だと思うような施策を徹底するだけだと書きました。これは「ルールを守らない方が高くつく」や「ルールを守った方が楽(ルールを守らない方が面倒)」と思わせる施策でも同じ。前回も書きましたが、これを「常識」や中国でよく言う「素質(スゥヂィ):素養やマナー」の問題としてしまうと解決策が見えなくなります。あくまで合理性の問題と考え、撲滅できるまで(相手が根負けして、ルールを遵守することが習慣化するまで)徹底し続けることが重要です。
■担当者は50元、人事責任者は5万元
そして、二つ目のポイントが「人ではなく行為に焦点を当てる」こと。進行度合い③や④になると、故意、悪質で看過できない問題行為が存在するため、「一罰百戒」で処罰者を出す必要があります。一罰の対象者には、行為と同等か、場合によっては行為以上の責任を取ってもらうことになるため、行為にも人にも焦点を当てることになります。一方、②の段階までは、一罰の対象者を出す必要がありませんので、「誰であっても駄目なものは駄目」と、立場に関わらず看過しないことを示す方が、公平であり遵守を徹底しやすいと思います。むしろ、駐在員や出張者や管理者からルール破りや例外をつくることが多いので、上の者が勘違いした特権を振り回さないよう注意しなければなりません。
ある会社では、定められた時間と場所以外での喫煙を撲滅するため、ある罰金制度を導入しました(社内で罰金制度を導入することには法的な問題がありますが、この会社はあえて導入しました)。「今後、喫煙ルールを破ったら、一般社員は一回50元、管理監督者は500元、経営者は5,000元、人事責任者である私(管理部長)は50,000元の罰金処分に処する。私であれ管理者であれ、違反しているのを見かけたら遠慮なく会社に報告してほしい。それぐらい厳格に管理するから」。従来も一律の罰金制度があったものの徹底できず、猛者になると「はい、先に100元払うから二回吸ってもいいでしょ」とやっていたのが、これで撲滅できたそうです。
それから、③や④とは異なり、②の段階までは、これからルール遵守が徹底できればいいわけですから、「これまでのことは管理面の反省もあるので不問にする。ただ、今後は本来の管理を厳格に行う。社内ルールを再確認して遵守徹底してほしい」と、改めて一線引くことを宣言してから管理を厳格化するのが、現実的な対応だと思います。
確か曹操だったと記憶しますが、ある地を征定した際、部下が居並ぶ目の前で、書庫から何から竹簡・木簡を運び出して積み上げ、焼いてしまった。戦時中は誰もが一族を守るのに必死で、あちこちの軍勢に二股三股掛けていたはず。これを一々処罰していたら動揺や反乱ばかり招き、いつまで経っても次の一歩に集中できない。皆の目の前で証拠を燃やすことで不安や動揺を抑え、自分への忠誠を高めた、という故事があります。
②では錆をしっかり落とさなければなりません。放置するといずれ腐食が始まります。
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