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敵が見えない時代の中国拠点マネジメント④それでも誰かに任せたい

中国ビジネスレポート 組織・経営
小島 庄司

小島 庄司

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2023年12月20日

前回、現地の感覚を経営に活かすという意味での「現地化」には、権限を個人でなく組織に持たせる仕組みを考えることが必要だという話をしました。

それでも、「いやいや、多少の私物化があったとしても、優秀な人に丸投げした方が絶対ラクだし、日本側としては利益だけ取れれば問題ない」。そう腹を括れるのであれば、そういう現地化の方法もナシではないです。

その場合、欧米系の会社のように、目的の達成度をシビアに見る必要があります。一般的な中国拠点の役割は、グループ全体あるいは本国・本社に利益をもたらすことですから、年限を切って目的に即した業績目標を設定し、大きな結果が出せれば処遇もドンと上げる。到達できないときは責任者を解雇したり、拠点ごと閉鎖したりする決断をしなければなりません。欧米系はこの辺り非常にドライです。

日系企業でも、そういう厳しさを持つ経営が自社の価値観に合うならいいと思います。が、私が見てきた中では、いまのところ日本の会社でそういうマインドを持っているところは滅多にありません。シビアな業績目標を設定するのも、影響力を持つ現地トップを短期間で交代させるのも、日本の会社の多くはやらないし、やりたくないし、できないですよね。

■ 歴史的に日本企業は現地化が苦手

ヨーロッパやアメリカは、自国内でも文化的背景の異なる人々同士が古くから共存していますし、道徳的な善悪はさておき、自国の外に出て行って現地を統治した歴史もあります。長きにわたって成功と失敗を重ねてきている。彼らは時代の価値観に合わせた形で「現地に任せて果実だけ取る」ノウハウを持っています。

でも、多くの日本人は、日本から出ず、見た目も一緒、主食も一緒、宗教感も似たりよったりの人たちに囲まれて過ごしてきています。今でこそインバウンドなどで異文化に触れる機会は増えてきたものの、日本にどっぷり浸かってきた人たちにとって、異国での経営の現地化は相当難度が高いミッションです。

また、日本の会社や経営者が目指す方向を見ても、「社員一人ひとりを大切にする」「持続可能な経営」といった理念を中心に置いている会社が多いように思います。こうした考え方は、個人に任せる現地化によってもたらされる未来、つまり結果責任を短期的に厳しく問われる経営とは相入れないものです。

慣れないことは疲れるし、なかなか板につきません。やっぱり自分たちが目指す方向に自然と向かっていくような経営をした方がいい、というのが私の考えです。

そのために何が必要なのかを客観視した上で、いま求められていることを実現していく。現在の社会情勢は、属人化が進んでしまった拠点にとっても、仕組みの一新、制度や規定の全面見直しの好機だと思います。

■ いま求められているものを見極めるために

自社が進むべき道を見極めるには、外部環境に適応すると同時に、自分たちは一体何者なんだということもよく考えておかないと、判断基準がブレてしまって、糸の切れたタコみたいになります。いまの日本企業を見ていると特にそう思います。

経営の流行りに飛びつく傾向も強いです。中期経営計画、目標管理制度、バランススコアカード、ISO、いまならESG、SDGs、ジョブ型、パーパス経営……。並べて見るとわかりますが、結局、どれも借り物です。自社に合うかどうか検討さえせず、流行っているから右に倣えということが多い。

日本人は根が真面目なので、例えば中期経営計画って言われると、中国拠点の経営にどんなプラスがあるのかはさておいて、言われたことに真剣に取り組んじゃいます。でも、ここは本当は「さておいて」はいけない。この姿勢では、事業の本質を追求しているアジア勢に勝てないと思います。自分たちの強みや立ち位置について、ヨーロッパやアメリカに対してだけでなく、最先端のアジアに対しても確立しないといけません。

なのに、アジアに対する認識がとてつもなく古い会社も未だにあります。筆頭は中国。中国製EVが売れていると聞いても、「どうせ国策でしょう」「無理な安売りだから」と流してしまう。

きちんと見てみれば、中国EVが値段だけで売れているわけじゃないことはすぐわかります。外観も洗練されていますし、大きなディスプレイやスマホ連携など消費者にマッチしたもの、みんなが欲しがるものを作れている。そういう現実を直視せず、過去の思い込みだけで「中国製はダメだよね」「グローバル基準になるようなものはつくれない」みたいな見方にとどまっている日本人はまだまだいます。

(つづく)

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