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ログイン2026年3月17日
第4回
経営一貫性の谷の越え方
日本企業・日本人が海外の現地法人をマネジメントする際に起きる共通四課題について話しています。今回は第一の課題「経営一貫性の谷」をどう越えていくかについて。
■ 谷の越え方~3つのアプローチ
前回までに、経営一貫性の谷は「短任期の」「日本人駐在員が」「現地で経営を指揮する」ことによって生じると話しました。
これを解決するには、まずは駐在任期の長期化が考えられます。しかし、そのためには日本の人事制度を見直す必要があり、日本本社を巻き込む大きな話になりそうです。果たしてそこまで動かせるのか、誰が音頭をとるのかがネックになります。
だったら本社から赴任者を送り込むのはやめて、現地勤務を前提に外から人材を採用して現地化したらどうかという発想も出てきます。その人に商売を丸ごと任せるわけですね。
現地経営の目的は本国への業績貢献と割り切って、ブランドを毀損しない限りプロセスはお任せ。本人の才覚で自由にやらせる代わりに、会社が求める指標を満たせなければ解任です。人を変えても業績が上がらなければ拠点は閉鎖となります。
これは欧米の会社に多く、非常に商人的なやり方です。「商売をするのは利益のため」という発想で、過程は重視せず、いかにして機敏に利益を上げるかを考えます。
それでよしとするならこのやり方は十分に機能しますし、実際に多くの会社が実績を上げています。ただ、多くの日本の会社・日本人は職人気質。いいもの・サービスを作り、お客様を裏切ることなく信用を積み上げていけば、分かる人には分かり、長続きするという発想で商売をしています。
利益も大事だけれど、金のために自分たちの仕事の流儀・ものづくりへのこだわり・哲学を曲げてもいいという日本企業はかなりの少数派でしょう。
日本企業が商人的なやり方を採用すると、どうしても中途半端になります。いくら任せたとはいえ、現地で勝手に会社の理念・哲学を変えてもらっては困ると考え、現地トップの手足を縛ってしまう。あるいは目をつぶって進めたものの、日本側が我慢できなくなって爆発する。
後始末をする立場から言えば、商人の生き方は職人には無理と言わざるを得ません。このやり方が難しい理由は日本企業のかなり深いところに根ざしているのではと思います。
任期長期化と現地化の折衷案として、「日本から駐在員は送るが、ラインの外に置く」という方法もあります。現地社員だけでラインを構成し、駐在員はコーディネーターとかアドバイザーといった立場で外から業務に参画する。言わばお目付役ですね。
パッと聞いた感じではよさそうですが、私の個人的な見解では、人事権を持たない立場で現地を統率するのは不可能だと思います。
すでに組織が自立して回っていて、日本本社の理念や方針が浸透しており、何も言わなくてもそのまま継続していける拠点ならともかく、油断するとすぐに私物化が始まるリスクがある国・地域で人事権を持たないことは致命的です。いくら目を光らせていても手は出せない。それではマネジメントは機能しません。
■ 一貫性の谷の解決法「海外現法の登竜門化」
どれも難しいなら、どうするか。私の結論は「海外現地法人の登竜門化」です。駐在員の任期長期化と同様に本社を巻き込まなければならない大変さはありますが、これはぜひ日本企業に実現してほしい施策です。
簡単にいえば、「本部長・役員クラスへの昇進条件に海外拠点の経営経験を必須とする」こと。それも駐在員事務所ではなく、経営機能をフルセットで持っている現地法人で、最低でも4~5年の経営経験がなければ、本部長・執行役員クラスには上がれないことにします。
ただ任期をつつがなく終えたとか、単純な指標(利益指標、売上指標、コスト削減など)を満たしただけでは不十分とし、拠点のステージごとに経営課題を設定して、どのように対処したかで評価するようにします。
#この「拠点のステージごとに設定する経営課題」について、私は具体的なイメージやアイデアを持っていますが、それだけで一篇になるので、また別の機会に。
経営適性を見極めるには、海外の修羅場で経営能力を発揮してもらうのがいちばんです。海外法人で経営課題をクリアした人は適性あり。経営層に向けて昇進していきます。そういう立場・課題で力を発揮するタイプじゃなかった人は、経営者としてではなく管理者や本人の得意な領域で活躍できる場を用意する方が、会社のためにも本人のためにもなります。
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