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競合視すべきは日系ではなく現地企業

中国ビジネスレポート マーケティング
森辺 一樹

森辺 一樹

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2014年2月27日

 私の仕事の大半は、アジア市場におけるお客様の販売戦略の構築とその実行支援である。一通りの市場調査を終えた後、販売戦略の構築フェーズに移るのだが、その際に、重要視するのが、その市場における競争環境である。競争環境を確実に可視化することは、販売戦略を立てる上で最も重要といっても過言ではない。
 
 しかし、アジアへは進出を果したものの、なかなか成果を出せない企業の多くは、この競争環境の可視化のステージで大きな過ちをおかしている。一つは、競争環境の重要性を軽視したパターンだ。売上1兆円を超えるような超大企業ではさすがに少ないが、数百億円、数千億円の大企業であっても競争環境の可視化を軽視しているケースは決して少なくない。
 もう一つのケースは、競争環境の重要性は理解しているものの、そのフォーカスすべきポイントがズレているパターンだ。大企業であってもこのパターンは非常に多い。どの様にズレているのかと言うと、多くの企業がアジア進出を行う際に最も競合視すべき先に日系の競合を上げる。次いで、欧米や韓国、台湾といった外資系企業であり、現地企業は国営や財閥系の大手でなければ後回しとなっている。
 要は、日本で競合している企業と、自分たちと同じ先進国出身の外資にばかりに目がいくのだ。現地企業などは、製品やサービスの質がまだまだ低いので、然程脅威とはならないと判断するわけだ。しかし、本来、最も重要視しなければならない競合は現地企業なのである。アジア市場で商品やサービスを販売する上で、製品やサービスの質以上にサプライチェーンがモノを言うケースは多々ある。製品やサービスの質では劣っていても、サプライチェーンではさすが地元企業だけあり圧倒的に勝っている現地企業など山ほどあるのだ。寧ろ、日系企業など然程競合視する必要は無い。

 その理由は、日本企業の販売戦略は多くの場合、予想の範囲内だからだ。同じ日系だけあり、考えることは近しい。しかし、現地企業には学ぶものが多い。現地企業を可視化すると、想像もしなかった彼らの販売戦略を学ぶ事ができる。そして、その販売戦略を紐解いていくと、現地市場の実態が明らかになる。日本とは全く異なった市場が、日本企業が想像もしなかった現地企業の販売戦略の理由になるのだ。そこにこそ日本企業が参考にすべきがあり、それをどれだけ拾い、販売戦略に変えるかがキーとなるのだ。

 日本企業はアジア進出をする上で、もっと現地競合から学ぶ姿勢を持つ必要がある。販売戦略構築の第一歩は現地競合の可視化であり、それが進出後の誤算をなくす為の唯一の方法である。

(2011年1月31日記)

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