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シャープから学ぶ、技術力では勝てない時代

中国ビジネスレポート マーケティング
森辺 一樹

森辺 一樹

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2014年9月10日

液晶テレビで一世を風靡したシャープ。ブランド名「AQUOS」は、日本人なら誰もが知っている最高品質の液晶テレビの象徴だ。そのシャープが今、台湾・鴻海(ホンハイ)との提携に翻弄され、かつてない危機に瀕している。

ディスプレイバンクによると、2011年の薄型テレビ(液晶・プラズマ)の世界シェアは、1位がサムスンで20%。2位はLGで13%。韓国勢2社で市場の33%を占めている。

対して、日本勢はというと、3位のソニーが9%、4位のパナソニックと5位の東芝がそれぞれ7%。6位に6%のシャープがいる。
日本勢6社でもサムスン、LG2社のシェアには届かない。そして、下にはTCL、ハイセンス(HISENSE)、スカイワース(SKYWORTH)、チャンホン(CHANGHONG)、コンカ(KONKA)、ハイアール(HAIER)といった中国勢が迫っている。

最近ではシャープばかりに目がいってしまうが、これは決してこれはシャープだけの話ではない。液晶テレビなど、いわゆる「黒物家電」では、日本勢は韓国に突き放され、中国に追い上げられるといった板挟みの状態だ。
洗濯機や冷蔵庫といった「白物家電」でも、世界シェア1位のハイアールを中心とした中国勢にシェアを奪われている。

この様子は、日本がかつて米国メーカーからブラウン管テレビの市場を奪い取った80年代に似ている。世界で初めてブラウン管テレビを商品化した米RCAやGEのテレビは今や市場から姿を消した。

高い技術を持ちながらも、その地位を奪われつつある日本勢。その敗因は、内需縮小と円高とウォン安が韓国勢を有利にしたとされている。しかし、本当にそうなのだろうか?
 
黒物白物いずれにしても家電は既にコモディティ化しており、極端な話、製造設備さえ整えれば誰でも作れる時代になっているのだ。にも関わらず、かつて米国からその座を奪った際の最大の武器であった「技術力」や「高品質」を未だに最大で唯一の武器としていることにあるのではないだろうか。発明から半世紀を過ぎ、既にコモディティ化してしまった製品は、技術や品質では勝てないことを直視すべきだ。

米国は、日本企業にテレビ市場を譲り渡した代わりに、ソフトウェアやインターネットを生んだ。マイクロソフトを生み、グーグルやヤフーを生み、アップルというオンリーワンを生んだ。

新しいものが生めないから「技術」や「品質」に縋っても、それを理解してくれるのは日本市場だけだろう。しかし、その日本市場も少子高齢化と人口減少で益々縮小していく。世界はコモディティ化した製品に技術や品質は求めていない。新しいものが生めないのであれば、技術神話から目を覚まし、徹底して市場ニーズを追求するほかない。

(2012 年9月11日分原稿)

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