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一定の年齢を超えた外国人が中国で就業することについての簡潔な分析

中国ビジネスレポート 税務・会計
邱 奇峰

邱 奇峰

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2012年11月6日

外国人が中国で就業する場合の年齢の上限

中国の外国人就業政策は、主に「国内就業を保護し、外国人の就業を制限する」という原則に基づくため、外国人就業許可制度を設置している。「外国人の中国における就業管理規定」第7条においても、外国人が中国で就業する場合の諸基本条件を明確に規定している。但し、当該法令は、外国人が中国で就業する場合の年齢の下限(満18歳以上)のみを規定しており、上限は規定していない。

実務取扱において、外国人が中国で就業する場合の年齢の上限は、中国各地区が自ら規定しまたは判断する。外国人が中国で就業する場合の上限年齢を設ける理由として、中国公民の就業年齢には上限があり、即ち、法定定年退職年齢(「国の規定に違反して企業従業員の繰上定年退職を行うことの制止、是正に関する事項についての通知」<労社部発[1999]8号>において、中国公民の法定定年退職年齢は「男性60歳、女性幹部55歳、女性従業員50歳」と明確に定めている)が設けられていることから、同じように、外国人が中国で就業する場合にも、当然年齢の上限が設けられている。従って、中国公民の定年退職年齢を参照して、事情を斟酌して外国人が中国で就業する場合の年齢上限についても確定しなければならない。実務取扱において、それぞれの地区が設けた外国人が中国で就業する場合の年齢上限の基準は、ある程度異なってくる。例えば、以下の通りである。

地区 外国人が中国で就業する場合の年齢の上限 具体的な根拠 上海  60歳(男性)
55歳(女性) ●具体的な根拠:「『外国人の中国における就業管理規定』の貫徹についての若干意見」(滬労外発[1998]25号)第6条。
●筆者が上海市の労働部門に確認したところ、彼らの意見では、実践において、通常左記の通り取り扱っているとのことである。
北京 国内資本企業:60歳(男、女を問わず)
外商投資企業:制限なし ●具体的な根拠:北京市労働部門の内部政策。
●筆者が北京市の労働部門に確認したところ、彼らの意見では、実践において、通常左記の通り取り扱っているとのことである。
広州  60歳(男、女を問わず) ●具体的な根拠:「行政許可の自由裁量権の規範化に関する広州市人力資源および社会保障局の暫定規定」(穗人社発[2011]45号)第26条。
●筆者は広州市の労働部門に確認したところ、彼らの意見では、実践において、通常左記の通り取り扱っているとのことである。
蘇州  60歳(男、女を問わず)  ●具体的な根拠:蘇州市労働部門の内部政策。
●筆者は蘇州市労働部門に確認したところ、彼らの意見では、実践において、通常左記の通り取り扱っているとのことである。

 
 一定の年齢を超えた外国人が中国で就業する場合の例外状況

外国人が中国で就業する年齢上限を超えた場合、通常、中国の就業許可は取得できない。但し、例外状況もあり、主に以下の通りである。

1.   特別に許可を取得する。

一定の年齢を超えた外国人が引き続き中国で就業する必要がある場合、企業所在地の労働部門に書面による申請を提出し、その理由を陳述し、労働部門の審査、許可を経た後、就業許可を取得することができる。それぞれの地区の労働部門が認めることのできる例外状況は、実務取扱において、多少異なってくる。例えば、以下の通りである。

地区 例外状況 具体的な根拠 上海 ●企業の法定代表者または直接投資者である場合。
●外国企業の中国における駐在員事務所の首席代表である場合。 ●具体的な根拠:上海市労働部門の内部政策。
●筆者が上海市の労働部門に確認したところ、彼らの意見では、実践において、通常左記の通り取り扱っているとのことである。
北京 ●国内資本企業において就業する場合、例外状況はない。
●外商投資企業において就業する場合、もともと年齢上限が設けられていないため、例外状況を規定する必要はない。 ●具体的な根拠:北京市労働部門の内部政策。
●筆者は北京市の労働部門に確認したところ、彼らの意見では、実践において、通常左記の通り取り扱っているとのことである。
広州 ●広州市で全体的に不足し且つ緊急な需要のある専門技術者((具体的な範囲または基準はなく、労働部門が自ら判断する)。
●投資企業の経営管理に直接参加し且つ管理職務を担当する外国籍投資者。
●外国企業の中国における駐在員事務所の首席代表である場合。 ●具体的な根拠:「行政許可の自由裁量権の規範化に関する広州市人力資源および社会保障局の暫定規定」(穗人社発[2011]45号)第26条。
●筆者が広州市の労働部門に確認したところ、彼らの意見では、実践において、通常左記の通り取り扱っているとのことである。
蘇州 ●職務を担当する中国国内企業の登録資本金が300万米ドル以上であり、且つ総経理または法定代表者を務め、または直接投資者である場合。
●外国企業の中国における駐在員事務所の首席代表である場合。
※但し、外国人が65歳に達し、または65歳を超えた場合(男、女を問わず)、上述の例外状況に該当したとしても、通常、許可しない。 ●具体的な根拠:蘇州市労働部門の内部政策。
●筆者が蘇州市の労働部門に確認したところ、彼らの意見では、実践において、通常左記の通り取り扱っているとのことである。

ここで、以下の点にご注意しなければならない。
1)   上述の例外状況に該当する場合、一定の年齢を超えた外国人が中国で就業する場合、通常、企業所在地の労働部門の許可を取得できる可能性は高いが、絶対に取得できるという保証はなく、最終的には労働部門の個別の判断に委ねられる。
2)   なお、上述の例外状況以外、実務取扱において、個別案件の具体的な状況によっては(例えば、就任先の中国国内企業が世界トップ500企業に該当し、その役職が代替不可能であり、一定の年齢は超えているものの、それほど高齢ではない場合<例えば61、62歳>など)、所在地の労働部門は柔軟に対応してくれる可能性もあるため、その都度、所在地の労働部門と個別に確認するのがよい。

2.   外国専門家訪中就業許可を取得する。

「外国人の中国における就業管理規定」第9条の規定によると、外国専門家証を有する外国人は、就業許可手続の免除ができるとされている。従って、外国専門家証を取得した外国人は、理論上、外国人が中国で就業する場合の年齢制限は受けない。

但し、実践において、外国専門家証の申請においても、年齢制限がある。筆者が上海、北京、広州、蘇州などの地区の外国専門家管理部門に確認を行ったところ、これらの地区では、外国専門家証を発行する年齢の上限を通常65歳としている。なお、外国専門家証の申請は、「外国専門家訪中就業許可取扱規定」に定める係る申請条件の制限(就業分野、職務、学歴、業務経験などの制限を含む)も受けることになる。

まとめ

上述の分析から、一定の年齢を超えた外国人は、就業許可または外国専門家証を取得できない場合には中国で適法に就業することはできない。勿論、一定の年齢を超えた外国人は、Fビザを取得することにより、中国で関連するビジネス活動を取り扱うこともできる。

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