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増値税控除のリスク

中国ビジネスレポート 税務・会計
王 倩

王 倩

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2013年11月14日


事例:
ある会社は生産用の鋼材を購入し、鋼材工場から鋼材代金の全額で増値税専門発票を取得、ネットで発票の真偽性認定を経て、増値税控除をしたが、間もなく税務署より通知を受け、例の専門発票は控え欠き発票であり、言い換えれば、鋼材工場はかかる発票の控え情報を税務システムにアップロードしなかったのだとわかった。従い、会社は控除できなくなってしまった。その一方、鋼材工場の責任者は発票をきった後夜逃げをし、同工場も地元の管轄税務局に非常管理リストに記入された。

ご周知のように、増値税一般納税者の増値税額は売上税額と仕入れ税額の差額となっている。多くの場合、売上税額は品物の販売にあたって生じ、仕入税額は原材料の仕入れ時に発生するのであり、売り上げ税額から仕入税額を差引いた額が当期の納税額となる。

実務において、納税者は原材料を購入、原材料の業者から増値税発票を取得し、ネットで真偽性について認証手続を行い、いわば、かかる発票の控除欄の情報を入力し認証されてから、売上税額から控除することができる。

ただし、ここまでは「これが偽造の発票ではない」と確認し、控除手続の第一歩であり、確実に控除をするには、発票の発行者たる売主が発票控え欄の情報をネットでアップロードし、税務署によって控除欄の情報と照合され、すれ違いがない場合にかぎり、正式に控除できる。

本例で、会社が仕入税額の転出をやむえず、控除できないのは、取得した発票に控え欄の情報が税務署システムに入力されず、いわゆる控え欠き発票であるからだ。普通ならば、鋼材工場は発票の控え欄の情報をアップロードし、売上税額を計上(会社にとっての仕入税額は鋼材工場にとって売上税額である)すべきだが、工場が期限に沿ってアップロードしなかった以上、その税額は会社に転嫁せしめる。それだけでなく、納付遅延によって生じた滞納金も仕入れ側が負担することとなる。

本例からわかるように、取引は貨物引渡と代金支払の完成で終わるのではなく、発票と税金がしばしば関わっているため、発票の取得、真偽の認定など発票に関係する諸手続も取引に際して重要な留意事項となっている。ことに、増値税の場合、余計な税金負担が出ないように、正式な控除ができるかどうかについても注意を払うべきである。

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