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特集 行政処分にどう対応するかNo.5

中国ビジネスレポート 金融・貿易
王 穏

王 穏

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2011年8月1日

税関の査定への対応

現在、税関は大部分の貨物に対して従価税を採用し関税を徴収しているため、輸入貨物の価格は極めて重要となる。『中華人民共和国税関の輸入貨物納税価格査定弁法』では、輸入貨物の納税価格は税関が当該貨物の取引価格に基づき確定し、且つ貨物の中国到着までの運送費、関連費用、保険料を含まなければならないことが規定されている。つまり企業の税関への貨物申告価格が税関の徴税の根拠とされるとは限らないことを意味している。税関は具体的状況に基づいて価格を調整し、新たに査定し直すため、この査定により企業が最終的に納税する金額が決まる。

数年来、企業が申告した輸入貨物について税関が査定を行う件数は大幅に増加しているものの、そのうち、企業が税関の査定を不服として行政に再審査を申請、行政訴訟を申し立てる件数は総査定件数のわずか3%ほどにすぎない。不服申し立ての割合がこれほど低いのは、企業が税関の査定は正確であると考えているわけではなく、その主な原因は、まず、大部分の企業は税関の査定についてよく理解しておらず、査定に問題があると感じているものの、どう反論したらよいかわからない、また自身の権益をどのように保護したらよいかもわからないためである。次に、税関に反論したことで税関との関係に影響しないかを懸念するためである。しかし、実際には、査定準備段階の質疑、交渉、そして後半の行政再審査等税関の査定について、法律では多くの手続きを規定しており、これら手続きはトラブルの解決に有利となるため、企業としては利用すべきである。当所の経験では、重大な査定に伴うトラブルについて、企業は粘り強く税関と交渉すべきである。不合理にもかかわらず税関の査定を一度受け入れてしまうと、税関側に企業の輸入貨物の価格認定について事例ができてしまい、今後、企業が再度類似貨物を輸入したときも、同じように価格を確定、処理され、企業に長期的な損失が出る。

当所の経験によると、企業が税関の査定について交渉を行うときは,以下点が重要である。

1.税関は「税関価格データベース」の価格情報に基づき、企業が申告した貨物の価格を事務的に比較し、一致しない場合は当該輸入貨物を査定する可能性がある

「税関価格データベース」とは、実際には税関総署関税司が指導し、専門の機関(広州、上海、天津、寧波、深セン、ハルビン等にある)が各種、商品の最新価格情報を収集したものであり、その情報源は各地の税関が通常通りに申告された関税申告書、インターネット上の各種商品の最新オファー価格、国際商品の最新取引価格である。
企業としては、税関価格データベースについて注意し、理解すべきである。

1)同価格データベースは、あらゆる時期、あらゆる商品に適用できるわけではない。貨物が実際に輸入されたときの具体的状況はそれぞれ異なり、具体的状況により特定の取引価格が決まるため、当該特定取引価格が真実であれば、価格データベースと異なっていたとしても、税関は認めるべきである。企業としても、税関が異議を出して査定を行ったとしても、積極的に対応すべきである。

2)税関の査定担当者は、価格データベースを利用して比較するとき、電子データのみを参考とすることが多く(価格データベースは、電子データとして税関のコンピュータシステムに保管されている)、企業が税関の査定に面したとき、輸入契約、インボイス、外貨支払い証書、運送保険証書、商検証書、取引に関する書簡等を税関に提示して、申告価格の合理性について充分に説明すべきである。

3)税関と交渉する過程で税関は把握している価格データベースの価格情報を口頭で企業に告知するのみであり、多くても提示してみせるだけである。「その他企業の商業秘密に及ぶ」ことを理由としているが、同価格情報は、税関の査定の重要な根拠であり、厳密には、企業との質疑を得なければ、法的意味の証拠として認定すべきではなく、企業が税関の査定を不服として行政再審査を申し出る場合は、価格情報に関する質疑の要求を堅持しなければならない。

2.税関の価格への質疑に積極的に対応すべき

2.1 税関が企業の申告価格に異議を出したときは、まず企業に『価格質疑通知書』を発行し、企業は同通知を受け取ってから早急に回答すべきである。5営業日内に回答しない場合、権利を放棄したと見なされる。もちろん、企業側も税関に延期を申請して、時間を稼ぐことも可能である。

1)税関の価格質疑の理由を確認すること

2)質疑の段階では、企業の回答の重点は取引の全過程、取引双方の関係、貨物の価格相場を税関に説明することである。

3)上述の段階では、税関は企業が回答する態度を見て、後続の措置を決定することが多い。実際、質疑は税関の査定手続きの始まりにすぎず、多くの企業は同段階で税関の査定基準を受け入れてしまうが、これは事実上今後の交渉の機会を失ったことを意味する。従って、企業が税関の査定を受け入れられない場合は、税関との交渉を粘り強く続けるべきであり、そうすることで、税関は質疑の段階で同件を終了することができず、協議の段階に入ることになる。

2.2 査定案件においては、協議は税関との駆け引きを行う重要な段階である。企業は以下に重点を置いて対応するべきである。

1)申告した価格の合理性を税関に証明する。同類の貨物で、時間的にも近い時期に輸入されたときの価格と企業が申告した価格が似ていることを説明する。なお、税関内部の基準に基づくと、「近い時期」とは企業が対象貨物について輸入手続きを行った前後6ヶ月を指す。

2)輸入貨物の新旧程度の判断は協議段階での重点となる。企業が輸入した設備が中古であっても、税関は価格データベースの新品設備の価格×リスク系数を査定基準とすることが多い。この場合、以下要素があれば査定価格を引き下げる根拠とすることができる。

■中古設備の輸入前に、設備の性能を改善するために支出した修理費、部品交換費用
■中古設備の初回出荷価格(中古設備の初回販売価格)。出荷価格と減価償却額では大きなが差が出る。

3)輸入貨物の売手との取引は完全に独立した取引関係であること税関に説明することで、双方の輸入貨物の価格は公平で合理的であることを証明し、税関から双方が関連企業関係にあると見なされることを回避する。

以上、当所はこれまで税関の査定について大量に処理してきたが、その経験に基づくと、税関の査定に一部の隙もないわけではない。
企業にとっては、積極的に交渉することで査定額を引き下げられる可能性は残っており、慎重に対応することがよい。なお、疑問を感じた時は迅速に行動すべきで時機を失うと手遅れとなることを理解すべきである。

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