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ログイン2011年7月28日
2011年7月23日夜、中国新幹線和諧号が、淅江省温州市で追突し、多数の死傷者が出ました。筆者は、まさしくその日の昼、和諧号で広州から深圳まで乗車し、翌日も帰りの和諧号に乗車していました。そこで、今回は、和諧号についての現場体験記です。
2011年7月23日夜、中国新幹線和諧号が、淅江省温州市で追突事故を起こし、多数の死傷者が出ました。筆者は、その日の昼、和諧号で広州から深センまで乗車し、翌日も帰りの和諧号に乗車していました。今回の事故は、香港でも大々的に報道されていたことから、翌日の朝刊で状況を知ることになりました。今回は、和諧号への乗車および中国側と日本企業との間に存する特許問題に関する現場体験記です。
1.淅江省温州市での和諧号の追突事故
和諧号が追突事故を起こしたのは、淅江省の温州市です。ここは、上海などで投機用不動産を取得したり、山西省の悪名高い炭鉱等を多く所有したりする事で有名な温州商人の本拠地です。彼らは「中国のユダヤ」の異名でも知られています。
23日の昼、筆者はカナダのボンバルディア社(鉄道部門の本社はドイツ)が技術供与しているCRH1型に乗車していました。今回の温州市の事故で、追突された側の和諧号と同じ型となります。ちなみに追突した側は、川崎重工業が技術供与していたCRH2型と言われています。
2.和諧号の中では?
和諧号は、技術供与元の新幹線(日本の川崎重工業が技術供与したCRH2型は、JR東日本の「はやて」)に表面上は酷似していますが、中身は中国らしさが一杯です。
(1)乗車券の購入
2011年6月1日より、和諧号の乗車券を購入するには身分証明書(日本人の場合は、パスポート)が必要となりました。まず、行き先と等級(1等席か2等席)を伝え、パスポートを購入窓口で渡します。そうすると、モニターに行き先・等級・枚数・値段の他、身分証明書番号(旅券番号)が表示され、その画面で内容を確認する事ができます。
なお、日本であれば、たとえば友人や家族と乗車券を一緒に購入する場合、窓口で特別な要求でもしない限り、横並びの席が発券されると思います。しかし、中国では横並びではなく、前後であったり、通路を挟んでいたりする席になっている事があります。したがい、中国で乗車券を購入する際には、日本とは逆に、横並びに座りたい等、窓口で特別に要求する必要があるので注意です。
(2)和諧号の車内
① なぜ机が?
まず目に付くのは、車内のところどころに机が配置されていることです。このため、机のある席になった場合、たとえ知らない人同士でも、机を挟んで向かい合う形で座る事になります。日本のように、家族や仲間同士が必要に応じて、席を回して向かい合う形式ではなく、否が応でも向かい合って座ることが強制される座席があるのです。
② 掃除がされていない
始発駅から乗車したとしても掃除がされておらず、座席の前ポケットに痰入りの袋がそのまま残っている事などはざらにあります。
また、発車後、どういうわけか、係員が通路をモップ掛けしていたりします。
トイレは中国式の和式トイレで、いつでもどこでも足元がびしょびしょに濡れており、これは新幹線である和諧号でも夜行列車でも変わらない光景となっています。
③ 備品が壊れている
座席の前にある収納式の小テーブルは壊れていることが多く、まともに利用できなかったり、逆に収納できなかったりすることが多々あります。
④ 子供が大騒ぎ
中国人(漢族)は、子供のしつけには甘く、子供が大声で騒いで走り回ったり、他人の座席で飛び跳ねたりしていても、その家族は微笑ましげに見つめるだけで、注意することはほとんどありません(逆に周囲も子供に優しいのは良い点でもありますが・・・)。赤ん坊が泣くのは筆者にも子供がいるため、仕方がないことと分かるのですが、さすがに「小皇帝」丸出しで、時と場所をわきまえず、他人の迷惑を顧みない姿には違和感を覚えます。筆者は、このような家族(漢族)に注意したこともあるのですが、周りの目を気にせず、また迷惑うんぬんを考えない漢族には、筆者のように注意してくる人間のことは理解できないかも知れません。
上記のように中国ではいろいろとありますが、日本人を含め現地滞在者などは、中国の新幹線・列車に何度も乗車するうちに、「中国だからこんなもん」と、気にしないようになります(本当は気になっても、いちいち気にしていたら中国では生活できません)。
3.和諧号の特許問題
2008年の北京オリンピック前、筆者は、川崎重工業が技術供与していたCRH2型に関して、日本側の関係業者と話をしたことがあります。
筆者:「中国新幹線はどうみても日本の新幹線「はやて」のパクリではないですか?川崎重工業やJR東日本は、特許申請をしたり、抗議をしたりして日本の技術に基づく開発だと中国側に認めさせたほうが良いのではないですか?いくら何でも「独自開発」ではないでしょう」
関係業者:「日本の技術に基づく開発などとは認めさせないほうが良いのですよ」
筆者:「なぜですか?」
関係業者:「表面上は「はやて」に似せてありますが、開発の仕方や安全確認が無茶苦茶です。我々は何度も何度も安全確認をして万全を期すようにしますが、彼らは違います。結果を出そうと急ぎすぎです」
筆者:「でも放っておくと真似をされ放題では?」
関係業者:「放っておけば良いのですよ。中国新幹線は今後大きな事故を起こすことになると思います。そのとき日本の技術に基づく開発だということを認めさせてしまっていると、彼らは日本に責任転嫁をしてきかねませんから」
末筆となりましたが、中国に多くの友人を持ち、中国で多くのことを学んだ身としては、本文にある関係業者との会話が現実の事となってしまい、大変残念に思います。被害者の皆様やご遺族の方に衷心よりお悔やみ申し上げます。
※和諧号CRH1型(広州東駅)
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