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【コラム】中国現場体験記(70) チベット鉄道内で始まった高山病と高山病対策

中国ビジネスレポート コラム
奥北 秀嗣

奥北 秀嗣

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2013年10月30日

チベット鉄道の中で最も海抜の高い場所にある駅、唐古拉南駅(タングラ南駅、海抜4,951m)では記念写真を撮るつもりでした。ところが、駅に到着しても列車は止まる気配をみせないまま、先頭車両は通過してしまいました。唐古拉南駅の写真を撮り損ねたと思っていると、筆者の車両が駅に差し掛かった時点でようやく徐行し始めました。慌てて、車両を後ろへ歩いて行くと、何車両も行ったところの横に唐古拉南駅がありました。中国人の乗客とともに写真撮影をし終わった筆者は満足して、はるか前方の自席へと戻りました。

1.高山病(高原反応)始まる
 旅行ガイドを見ると、「チベット鉄道車内は気圧調整もされており、また酸素調整もされるため、高山病の心配はない」と素晴らしいことが書かれていました。同行していた友人とは異なり、大いに高山病が心配だった筆者はその言葉に安心していました。しかし、海抜5,000mに近づいてきた辺りから、体の異変に気付き始めました。トイレが近い程度の反応のときはまだ良かったのですが、頭が痛く、首が重くなり始めたので、ラサ到着前に昼寝をすることにしました。

昼寝をして、体調を整えたいという筆者の思いをよそに、体調はますます悪化していきました。他の友人(雲南省シャングリラでも高山病にならなかったことから自信を深めていた友人)も、顔だけでなく体までが真っ青になっていました。ベッドから起き上がれず、筆者以上にひどい高山病のようでした。

 その時ふと車内が静かなことに気付きました。普段はいつでも大騒ぎをしている漢族が、大人しくなっていたのです。一人元気な友人が様子を見に行きました。
友人:「トイレに行くついでに他の部屋も見たけど、やっぱりみんな寝ているよ」
 昼食で白酒を飲んで気炎を上げている人たちもいましたが、どうやら多くの人々が筆者同様に、高山病の影響を受け始めたようでした。

 一人を除き、高山病の我々を乗せたチベット鉄道が、24時間の旅を終え、ようやくラサ駅の構内に滑り込んだのは、到着予定時間よりも30分遅れの夜10時10分でした。ラサ駅は、漢族が建設したということがすぐに分かる、漢族好みの派手な建物でした。もちろん、ポタラ宮の形です。

 チケット確認の後、身分証明書の確認とチベットへ到着の登録を行い、さらに派出所でのチベット入境登録を終えて、ようやくホテルへと到着しました。


2.せっかくのチベットなのに、到着早々、高山病でフラフラに
 雲南省シャングリラのホテルでは高山病でほとんど眠ることができませんでしたが、ここラサでは、高山病にはなったものの眠ることができたのは幸いでした。翌日は、ダライ・ラマの離宮/ノルブリンカ(世界遺産) ⇒ 河口慧海も修業したセラ寺 ⇒ ジョカン(大昭寺/世界遺産)+パルコ(八角街) ⇒ ポタラ宮という予定です。

 翌朝、頭痛と首の重みと腹部の不調をこらえ、簡単にシャワーだけ浴び、全く食欲はなかったものの、軽い朝食を済ませて集合時間にロビーへと行きました。現れたのは、高山病になっていない友人一人だけで、別の友人は起き上がる事ができず、「ポタラ宮以外の観光は諦める。でも、ポタラ宮だけは這ってでも行きたいから、その前にホテルに迎えに来て欲しい」とメッセージを残していました。

 チベットは、やはり遥かなる天空に位置する場所でした。

続く
ジョカンの屋上から眺めるポタラ宮
※ジョカンの屋上から眺めるポタラ宮

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