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【コラム】中国現場体験記(88) 長距離タクシーに相乗りして分かった中国人の日本人観と教育

中国ビジネスレポート コラム
奥北 秀嗣

奥北 秀嗣

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2015年8月27日

(前稿はこちら

呉さんは、奥さんとの会話を終えた後、
「母ちゃんにも電話を入れないといけないけど、“小日本”と一緒にタクシー乗っていると言ったら凄く心配するな・・・。どうしよう?」
と真剣に悩んでいます。

中国のテレビでは、日常的に日本人を悪役にした日本と中国との戦争ドラマ・映画を放送していることから、日本人と交流したことがない中国人には、「日本人は怖い」という印象があるようです。中国の反日教育の影響を友人も感じたものの、呉さんのノーテンキな会話にいちいち反応はしませんでした。すると、呉さんが言いました。
「悩んでも仕方がないから、母ちゃんには正直に話をするわ!」

呉さんはお母さんに電話を入れます。
「母ちゃん!聞いてくれ!今、石家庄からタクシーに乗って北京へと向かっているところ。“小日本”と一緒にタクシー乗っている。えっ?大丈夫だよ!この“小日本”は中国語を話せるし、俺たちは完全に意思疎通できているから。身なりもきちんとしていて、危険なことは全くないから心配しないで!」

3. 日本人と初めて接してみると

呉さんは電話を切りました。
「さっきから俺は、“小日本”と言っているけど、これは仕方がないんだ。俺が小さい時から、日本人とはそういう風はものだと教え込まれてきたから。日本人に対しては、正直悪い印象しか持っていなかった。ただ、今の会社に入ってみると、ソフトのパッケージをしてくれている工場の管理者が日本人だった。俺にとっては、その日本人が生まれて初めて接触した日本人だった。そして日本人の印象が少し変わった。彼は非常に真面目だし、管理ノウハウも中国人と全然違うし、態度も控え目だった。テレビドラマに出てくる中国人に対して威張り散らしている“小日本鬼子”とは全く違った。そして今日、あんたと知り合った。あんたも全くテレビの中の日本人とは違う。やはり、もっと自分の目で見て判断しないと駄目だと思ったよ!ハ、ハ、ハ!」
と巨体から繰り出される大きな手で友人は肩を叩かれたのでした。

そして深夜1時に六里橋に到着し、呉さんと友人とは500元ずつを運転手に払い、3人共笑顔で別れたのでした。

続く

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