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ログイン2015年12月4日
子供を連れて中国各地を訪れると、中国人は子供に優しいなと思うことが度々あります。地下鉄では、座っている人が「小朋友、小朋友(小さいお友達、僕)」と筆者の子供を手招きし、座れ座れと言いながら座席を勧めてくれます。一方、優しさを通り越して、中国には、子供に対する「しつけ」というものがないのではないか、と思うことも少なくありません。
今回は、筆者が経験した子供に優しい中国人とその教育観に関する現場コラムです。
1.西安で焦る中国人
まだベビーカーが必要な年齢の子供を連れて、西安の兵馬俑を歩いていたときです。11月の西安は既に冬を迎えたところでしたが、筆者の子供はひざ下程度の半ズボン(七分長け)を履いていました。すると、多くの中国人がびっくりしながら、中国語を勉強し始めたばかりの筆者に対して、身振り手振りで一生懸命訴えかけてきました。
「寒いから、もっと子供に服を着させろ!長ズボンにしろ!」
日本では、冬になると保育園などで寒風摩擦をしたりします。また、真冬でも元気に半そで半ズボンという子供もたくさんいます。しかし、中国人には、このような薄着でいることが信じられない行為に映るようです。なぜなら、体を冷やしてはいけない、というのが中国人の基本発想にあるからです。冬ともなると中国人の赤ん坊は着膨れして“もこもこ”した格好をしています。
2.中国国内線の中で暴れる子供と笑顔の祖父母
以前、中国国内線に乗った際、筆者側から通路を挟んだ席に5歳くらいの子供とその祖父母がいました。子供は靴を履いたまま、座席の上で奇声を発して大暴れしています。食べ物もそこら中に散らかし放題。それでも、その祖父母は笑顔で子供の様子を眺めていました。客室乗務員も一切注意をせず放置状態。周りを気にせず、まるで自分たち3人だけの世界があるようでした。
3.世界自然遺産でもお構いなし
中国の世界自然遺産のひとつである広東省の丹霞山に行ったときのことです。世界ジオパークに認定された公園の中、母親2人組にそれぞれの子供というグループが筆者の前を歩いていました。子供たちは、小学校低学年のようでした。母親はおしゃべりに夢中。子供は自然の花を抜き放題。樹の枝を折り放題。最後には、手に持つペットボトルを大自然の景観の中に投げつけていました。
こういった光景は何もこのときに限りません。中国各地にある世界遺産などの景勝地でも、しばしば見かけます。
筆者が現在居住していた武漢市では、東湖や武漢大学の桜祭りが有名です。筆者が桜の花見に出かけたときにも、そこに植えてある花木を抜いたり、折ったりする子供や、大人がいましたし、武漢市の植物園では、園内になるすももをもぎり取り、食べてしまう人もいました。
ただし、こういった状況にじくじたる思いをしている中国人がいることも事実です。一緒にいた筆者の中国人の友人は、「これが残念ながら中国の実態。自然を大切にするとか、花を抜いてはいけないとか、周りに恥ずかしくない行為をするとかを考えない人が多い。自分だけ良ければすべて良し的な態度は改めなければならない。だけど、そういった考えと行動規範が浸透するまでにはまだまだ時間がかかるね」と話していました。
4.まとめ
筆者は日本が良くて、中国が悪いと言う気はありません。最初に紹介したように、中国人は子供や老人など弱者に優しいという素晴らしい面があります。
中国では夫婦共働きが基本ですので、どちらかの親が孫の面倒を見ることになります。必然的に中国人の子供は、祖父母に育てられるというケースが少なくありません。たとえば、中国の南方地域の田舎の場合、田舎の祖父母に子供を預け、夫婦二人で深センなど沿岸の発展都市に出稼ぎに出ているケースなどが典型的です。
筆者の住む武漢市の公園では、青空の下、老人が集まって麻雀を楽しんでおり、その近くでは、孫たちが楽しそうに遊んでいます。現在の日本と中国では、子供の教育環境が異なるため、このことが今後どのように影響していくのか興味深いところです。
以 上
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