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組織老化の錆を落とす…錆の落とし方 続③

中国ビジネスレポート 組織・経営
小島 庄司

小島 庄司

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2020年11月17日

2000年代前半に現地進出した企業は、2020年には進出15年超。中国では自動車関連でこれに該当する企業が多いと思います。中国経済自体の低成長化や新型コロナという外部環境の変化も相まって、ここ数年、組織老化に絡む相談が急増しています。

ベテラン従業員の勤務態度の問題、病休や欠勤の常態化、生産性の顕著な低下/低迷など、厳しい経営環境下においては看過できない問題たち。組織老化による問題や課題は、設立から15年ほど経つと目立ち始めるため、もう一部の古い企業の話ではなく、大多数の進出企業にとって身に迫る問題だと言えます。

さて、「組織老化の錆」に関する話の続き。前回は、一部腐食が進行してしまった組織の解決策として、まず「一罰百戒」を挙げました。

アジア現法の共通四課題(人と組織)
□経営の一貫性の谷:短任期で継承できず
□誤った現地化の闇:ブラックボックス化
□組織老化の錆:守旧化し挑戦や活力を喪失
□意思疎通の壁:相互理解を妨げる三要因

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●組織老化の進行度合い
①まだほとんど錆がない
②錆びているが落とせば大丈夫
③一部腐食が進行している
④全面的に腐食が進行している
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身も蓋もない言い方をすれば、一罰百戒とは「強烈な見せしめによって、最小限の痛みで最大限の引き締め効果を瞬時に生むこと」です。ですから、一罰の相手に情状酌量したり、一発でビシッと終わらせなければならない粛正に時間を掛けていたりしたら意味がありません。意味がないどころかむしろ深刻な逆効果を生みます。

情状酌量して社内に留めておいたら、逆恨みされてストライキを起こされた、内部密告で政府各部門にあることないこと通報されたなど、温情を仇で返された実例はいくつもあります。また、最終的な処分を躊躇して遅らせているうちに、危機感を抱いた問題社員の側が結託して周囲の社員を煽動した、日本本社に告発メールを送ってそれが効いてしまった、というケースもあります。

やはり、組織への悪影響や行為の程度が一線を越えた一部の問題社員には、辞めてもらうのが原則です(そうならないためには、進行度②「錆びているが落とせば大丈夫」の段階までに錆対策を行う必要があります)

一罰百戒は、腐食の進行度が③まで進んでいる場合に組織ダメージを修復する作業の第一歩です。腐食した部分を切除して、腐食がこれ以上広がらないようにするイメージです。

次に必要なのは、切除した部分が本来の機能を取り戻すように、入れ替えたり補強したりすることです。

組織でいえば、これまで見逃されていた不正を可視化できるようにする、または不正ができない仕組みにする。規律や業務管理で、ルールが不明確だったり非合理的だったりしていたのを、ルール整備した上で教育し運用徹底する。一罰の対象にはならなかったものの、クロや濃いグレーだった社員たちと問題行為を見逃してきた管理者たちは、配置換えを行う。鍵となるポジションに牽制効果を発揮できる人材を置く……といったことです。これらを、一罰百戒の効果(記憶)が残っているうちに実施しなければなりません。

ここまで手当したら、後は進行度②の場合と同じです。

②錆びているが落とせば大丈夫

錆びているが落とせば大丈夫な状態とは、まだ機能に影響を及ぼすような腐食までは進行しておらず、錆の出た部分を磨いたり、腐食の拡大を防ぐ防錆措置を施したりすれば、継続使用に支障ないという状態。錆が浮いてきたけれど、研磨して錆を落としたパイプ。表面に腐食が見られたけれど、薄く削ったら機能的には問題なく使える柱といったイメージです。

組織でいうと、規律徹底やルール遵守の面で乱れが気になるけれど、進行度③で見たような、辞めさせなければ組織の健全性が保てないほどの深刻な問題は生じていない状態。言葉を換えると、故意に会社の利益を損なったり、経営者の方針に反旗を翻したり、他の社員の士気を下げたりするような行為が横行してはいないレベルです(これらに該当する場合は、②ではなく③だと疑った方がよいでしょう)

この段階が厄介なのは、組織に実際生じている悪影響と、日常業務の維持を天秤にかけた場合、まず間違いなく、とりあえず日常業務を優先したいという誘惑に駆られてしまう点です。だから対策が取られません。

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