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2014年、新たな年における法律の展望

中国ビジネスレポート 法務
邱 奇峰

邱 奇峰

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2014年2月24日

2013年の中国の投資(特に外商直接投資)に関連する立法を振り返ると、会社制度の改革および政府職能の転換が推進され、税務、外貨、金融などの分野での改革を進められ、労働者、消費者など大衆の権益保護が強化された。この他、知的財産権、土地管理、区域革新などの面でも重要な改革が行われた。そこで、これまでの状況と照らし、筆者は2014年に近々実施される法律規定、および改正または公布される見通しである法律規定について、以下に要点と展望をまとめる。

(一)    会社制度の面
2013年12月28日、中国は「会社法」の改正を行い、2014年3月1日から施行する。今次改正の主な内容(外商投資企業に対しても同様に適用される)には、登録資本の払込登記制から引受登記制への変更、登録資本登記条件の緩和(法律、行政法規および国務院の決定で別途規定がある場合を除き、以後、登録資本の下限を設けず、初回出資割合を制限せず、現金出資割合を制限しない)、登記事項および登記書類の簡素化などが含まれる。「会社法」の上記改正内容以外にも、2013年には深セン、珠海、広州、東莞などの地区で商事登記制度改革が段階的に実施されており、新版営業許可証を使用している。新版営業許可証の重要な変更は経営範囲(具体的な経営項目)、登録資本が削除されたことである。確認できている情報から判断する限りでは、2014年は全国範囲で新版営業許可証が普及するものと思われる。

「会社法」の上記改正は、会社登録資本の面で、投資者の選択および会社運営の実際の要求をより多く反映している。ただし、留意点として、外商投資の分野においては、各地では依然として「企業誘致による資本の導入」を現地行政成績評価の根拠の一つとしているため、「会社法」改正の目的が完全に実現するかは、今後の実務を通じて検証し推進する必要がある。この他、「会社法」の改正後、「会社法」に付随する「会社登記管理条例」などの規定がどのタイミングでどのように改正されるか、外商投資管理の面で、2014年度に新たな付帯規定などが公布されるのか、いずれも注目し期待すべきものである。例えば、昨今、中国発展改革委員会は「外商投資プロジェクト認可届出管理弁法(意見募集案)」を発布し、パブリックコメントを募集している(具体的な内容は、今期で前述した関連する新着情報を参照のこと)。

(二)    税務改革の面
2013年8月1日から、中国は全国範囲で交通運輸業および一部現代サービス業の営業税から増値税への一本化試行(以下「増値税一本化」という)を実施した。また、2014年1月1日からは、鉄道運輸および郵政業が増値税一本化の対象となった。更に2014年2月20日には中国国家税務総局が鉄道運輸および郵政企業の増値税一本化に関する管理弁法を発布した(具体的な内容は、今期で前述した最新中国法令を参照のこと)。この他、税務改革の面で、2014年から始まる主な変化には、税務徴税管理に関する「輸出税還付(免除)申告弁法」の調整、「税務伝票管理弁法」の施行なども含まれる。

税務改革はこれまでも一貫して投資(外商投資を含む)における重点注目対象であった。2013年の税務改革に基づき、2014年を展望すると、以下の点で税務改革が一層進むことが予想される。

1.増値税一本化の範囲が更に拡大する(例えば、建設業などへの拡大)。これにより規範的な消費型増値税制度の構築を図り、二重課税の問題を解決し、産業のグレードアップ・モデルチェンジと商業モデルの革新が推進される。
2.消費税制度を調整整備する。例えば、消費税の徴収範囲、段階、税率が調整され、エネルギー消耗型、高汚染製品および一部高級消費財が徴税対象となることが考えられる。
3.不動産税などの関連制度を整備する。即ち、国民所得の分配を合理的に調整し、住宅消費を正しく導くため、上海など一部の試行地区を除き、その他の地区、更には全国範囲で、住居類分譲住宅の不動産税が立法スケジュールに組み込まれ、且つ住居類分譲住宅の保有期間における税負担が一層注目されるものと思われる。
4.税制上の優遇政策の面で、統一税制、公平な税負担、公平競争の促進の原則に基づき、税制上の優遇、特に区域の税制上の優遇政策に対する規範化管理を強化する。
5.この他、長らく噂されていた印紙税の廃止が2014年に実現するかについても、注目すべきである。

(三)    労働保障の面
2013年の労働保障における重大な立法動向は、以下の通りである。2013年初頭に「労働紛争案件に適用する法律の若干事項に関する解釈(四)」が公布された。2013年下半期に「労務派遣行政許可実施弁法」などが公布、施行された。これらの立法は労働者保護に関する注力を一層強化するものであり、関連する分野には、関連企業での勤務年数の累積計算、競業避止に関する補償基準の確定、労務派遣の適用範囲の厳格な規制などが含まれる。

中でも最も目を引くものは労務派遣である。長い論争を経て公布されたばかりの「労務派遣暫定規定」が2014年3月1日から施行される(具体的な内容は、今期で前述した最新中国法令を参照のこと)。論争はあるとは言え、労務派遣の適用範囲を規制する方針は概ね定まっており、これにより労務コストおよび労務派遣使用における遵法性などの要求が一段と強まることになる。

労働保障の面で、日に日に深刻となる高齢化の傾向および社会保険への圧力の増大に伴い、中国が避けることのできない重要な改革として、将来一定期間において、法定定年年齢を延長することがある。当該改革の論争は大きいため、2014年内に可決し立法が確定する可能性はやや低いと思われる。

(四)    環境保護の面
中国経済の発展に伴い、中国の環境悪化の問題は日増しに深刻となっており、一部の地域では重大な群衆事件を引き起こしている。2013年初頭に公布された立法計画において、「環境保護法」、「水質汚染防止法」、「再生可能エネルギー法」、「気象法」などの改正と監督実施は、重点内容の一つとされていた。

上述の計画は未だ全面的に実施されていないが、2013年の期間における、「環境汚染刑事事件の処理に適用する法律の若干事項に関する解釈」の実施、「海洋環境保護法」の改正、特に「大気汚染防止行動計画」の公布では、中国の環境保護における決意と努力が示されており、中国が大気汚染の処理(特に広く注目されているPM2.5などの問題)を突破口として、法に従った環境整備の路を切り開いたと考えられる。

情報筋によれば、2014年は、既に3度目の審議のため提出済みの「環境保護法」(改正草案)が可決される見込みである以外にも、「大気汚染防止法」が改正される可能性もある。この他、汚染排出許可、環境税などにおいても、立法計画が立ち上がるものと思われる。つまり、2014年およびそれ以降の一定期間に、中国は有史以来、環境保護に関する立法が最も集中する状況が生じるものと思われ、この点に関しては投資コストが増加し、または関連産業への投資に一定の規制がかかることが予想されるが、環境保護と関連する省エネ排出削減、環境保護処理などの分野においては、新たな投資機会が形成され、多くの政策上の支援を得られる見込みがある。

(五)    区域革新の面
2013年9月に中国国務院は上海外高橋保税区、上海外高橋保税物流園区、洋山保税港区および上海浦東空港綜合保税区の範囲で、中国(上海)自由貿易試験区(以下「自由貿易区」という)を設立することを発表した。現時点までに、自由貿易区について、区域革新に関する政策が続々と公布、施行されている。その中の重大な改革の一つが、ネガティブリスト管理方式の実施であり、リストで禁じられている部分を除き、その他の産業、分野および経済活動は全て投資が認められる。

2013年9月29日に上海市人民政府は2013年版のネガティブリストを公布したが、大きな論争を引き起こした。これに基づき、筆者が把握したところでは、既に2014年版のネガティブリストの作成作業は始まっており、2014年上半期に公布される見込みである。現在、各投資分野について全面的な整理が行われており、聞くところでは、「外商投資産業指導目録」を参考に規制を緩め、且つ2013年版と比べ、全面的に削られたものとなる。よって、自由貿易区の投資分野においては、2014年も大きな変化が生じるものと思われる。

この他、注目すべき点として、2014年1月6日に国務院は「中国(上海)自由貿易試験区における関連行政法規および国務院の文書で定める行政審査許可または参入特別管理措置の一時調整に関する決定」を公布し、外商投資管理方式の改革の他、同時にサービス業の開放拡大を定めた(船舶登記、国際海運、信用調査業、営利目的の公演、娯楽施設、合作での学校運営、電信管理、家庭用ゲーム機などの分野に対する規制の調整を求めた)。同日、中国工業情報化部は上海市人民政府と共同で「中国(上海)自由貿易試験区の付加価値電信業務の更なる対外開放に関する意見」を公布し、自由貿易区内における付加価値電信業務の更なる対外開放を決定した。その他の分野がどのように調整されるかについては、筆者も注目している。

上記に挙げた以外にも、2014年に、中国は投資分野と投資方向、外貨政策、金融制度、交通運輸、電子製品、ネットワーク管理、輸出入監督管理などの分野においても、適時に旧規定の改正または新規定の公布を行う必要がある。筆者は継続的に今後の立法動向に留意するが、その中で近い将来において注目すべきは、これまでの慣例によると、中国全国人民代表大会が2014年3月から4月の期間に公布するであろう2014年の立法と監督計画である。

全体として、投資分野について言えば、中国法は、経済発展の市場志向、政府職能の段階的分離、弱者または権益主体の保障などの方向へ進んでいる。つまり、投資は更に自主独立、法的保障を具備するようになり、同時に新たな産業機会をもたらすものと思われる。

(里兆法律事務所が2014年1月24日付で作成)

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