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ログイン2010年5月31日
携帯電話のショートメッセージ、電子メールは適格な証拠として裁判所に認められるのか?電子データは証拠として証明力を有するのか?実際に事例をあげて分析する。【2,246字】
一.データ電子文書証拠(携帯電話メッセージ、電子メール)
【事例1】
2006年1月4日、被告陳(仮名)は原告李(仮名)から50,000元を借り、返済日を2006年3月31日とした。被告は借り入れた後、その不動産の権利証を担保として原告李に渡した。しかし、抵当登記手続きは行っていなかった。返済日が訪れ、原告は携帯電話のショートメッセージやメール等で何度も被告に返済を迫り、被告は自身の携帯電話で原告に返信をしていた。それらのうち、返信内容の一部は次のとおり。2007年11月27日2時32分、「証書を返してくれないか。借金して何か商売でもすれば、返す金ができやすい」。2007年11月27日2時38分、「借用書はそっちにあるし、いつ告訴してもかまわないが、やり直すチャンスをくれないか。」。2008年6月16日10時06分、「すまない。借用書を書かなくてもいいかな?刑務所に入りたくないし、裁判は時間がかかるし、返せる現金も手に入れようがない。」。その後も被告陳は返済せず、原告は起訴を申し立てた。案件の審理過程では、原告が提出した携帯電話のショートメッセージに対し、被告は異議を申し立てた。ショートメッセージや電子メールは被告本人が送信したものではないという。双方は日頃親しくしており、原告が被告の携帯電話を借りることも多く、その電子メールのユーザー名やパスワードも知っているという。
【尋問の焦点】
本件では、携帯電話のショートメッセージが焦点となる。
1.携帯電話のショートメッセージ、電子メール(以下「電子データ」という。)は適格な証拠として裁判所に認められるか?
2.当事者は電子データの内容には異議がないが、その送信者に異議を申し立てている。異議は裁判所に認められるか?
3.電子データの証拠としての証明力は?
【分析】
中国の「契約法」第11条には、書面形式とは契約書、書簡、電子データ(電報、テレックス、ファックス、電子データ交換、電子メールを含む)等有形にその記載内容を表現できる形式を指すと定められている。「電子署名法」第7条にも、電子データについて、電子、光学、磁気若しくは類似する手段で生成、発送、受信又は保存してあることを理由に証拠として使用することを拒否してはならないとされている。このことから、携帯電話のショートメッセージ、電子メール(有形にその記載内容を表現でき、またいつでも収集可能な電子データ[1])は、法律の規定を満たす電子データ形式として、適格な証拠として裁判所に認めらている。
電子データの真実性については、証拠の証明力により判断され、本件被告のように、当事者は往々にして電子データの送信者に異議を出すものである。例えば、電子データの送信者は自分ではない、携帯電話の番号は自分が所有するものではない等である。司法においては、この種の異議について、裁判官は通常本人が確かに送信していないことを証明する証拠の提出を求め、異議申し立て人が証明できない場合は、裁判官は証拠の真実性を推定する権利を持つ。
なお、電子データの証明力は以下点で決定する。
証拠収集が完全であるか、証拠の形式に瑕疵はないか(修正されていないか、改ざんした形跡はないか)、その他証拠との間に矛盾はないか。実務では、当事者は電子データを直接プリントアウトすることが多いが、このため法廷において多くの疑問が生じて、証拠の証明力に影響する。電子データの最もよい収集法は、法廷では、裁判官と相手当事者の目の前で電子データを見せ、且つ裁判官の立会いの下、電子データに含まれる情報について書面の摘録を残し、審理記録の一部とする。
二.視聴覚資料の証拠(録音)
視聴覚資料は伝統的な証拠の一種であるが、その証明力は多くの要素の影響を受ける。まず、視聴覚資料の真実性については、関連する事例では、次のように示している。
「科学技術の発展に伴い、捏造、視聴覚資料の編集は技術上完全に可能となり(米国人がオバマ大統領の声を偽造して詐欺をはたらくなど)、視聴覚資料の真実性は、その証明力[2]を決定することが多い。」
司法の実践においては、視聴覚資料の以下点について審議される
1.どのような録音(映像)設備で録音、撮影、保存されたのか。
2.連続しているか、編集、削除されているか、コピーされているか。
3.その他証拠とに矛盾がないか。
やや大きな争点は、視聴覚資料の合法性についてである。これについて、最高人民法院が1995年に出した「相手当事者の同意を得ずに録音した資料を証拠として使用できるかどうかに関する回答」では次のように規定されている。
証拠収集についてはまず合法であること。合法的手段で得た証拠のみ判決の根拠とできる。相手当事者の同意を得ずに無断でその談話を録音したものは違法行為であり、この種の手段で得た録音資料は証拠として使用することはできない。同規定に基づく理解では、全ての「盗聴」して得た視聴覚資料は違法である。しかし、多くの裁判所、仲裁機関では、「詐欺、脅し、利益で誘うことにより得た視聴覚資料」のみを違法な証拠としており、盗聴で得た証拠は多くの場合採用されている。盗聴で得た証拠は採用するべきでなく、また証拠収集の規定にも背くものである。公民の証拠収集行為に制限を加えず、他人の同意を得ることなく密かに録音撮影する行為が放任されてしまえば、公民のプライバシーと合法的権益への重大な侵害となる。裁判所及び仲裁機関には、視聴覚資料の採用について慎重を帰し社会の安定を維持して欲しい。
(2010年5月2,246字)
[1]「電子署名法」第4条:有形にその記載内容を表現でき、またいつでも収集可能な電子データは法律、法規の要求を満たす書面形式である。
[2]「最高人民法院の民事訴訟証拠に冠する若干の規定」第69条:以下証拠は単独では案件事実を認定する根拠とはできない:…… (三)疑問点のある視聴覚資料
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