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外貨管理局が新規に公布した「37号文」の変更点と影響に関する簡潔な分析

中国ビジネスレポート 法務
邱 奇峰

邱 奇峰

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2015年1月13日

国家外貨管理局(以下「外貨管理局」という)は、2014年7月4日に「国内居住者による特別目的会社を通じた国外投融資および迂回投資に伴う外貨管理関連事項に関する通知」(匯発[2014]37号)(以下、「37号文」という)、および付属文書「迂回投資外貨管理関連業務処理ガイドライン」(以下、「ガイドライン」という)ならびに「資本項目直接投資外貨業務申請表」を公布した。同時に、外貨管理局は「国内居住者による特別目的会社を通じた融資および迂回投資に伴う外貨管理関連事項に関する国家外貨管理局の通知」(匯発[2005]75号)(以下、「75号文」という)を廃止した。

37号文を全体経済の発展と改革開放の大前提に置き、中国政府が「市場の資源配置調節における決定的な役割」を日に日に重視する発展背景においては、我々が37号文の文頭で述べられた「国の“経済グローバル化戦略”の実施を支持し、国外国内二つの資源、二つの市場を十分に活用して、国内居住者による特別目的会社を通じた投融資活動にかかわるクロスボーダー資本取引の更なる簡素化と利便化を図る」などの目標を理解することは難しくはなく、37号文を国家外貨管理体系の整備過程における新たな一つのステップとして、同時に具備している進歩性と限定性を見定めることも困難ではない。

一、 概念と論理のより緻密な整備

75号文の対応する条項と比べ、37号文は法律用語に関する定義において一定の調整を加えることで、その管理範囲を更に拡充し、法律の内部論理をより緻密に整備した。これらの調整は主に以下の点で行われている。

1. 「特別目的会社」と「迂回投資」に関する定義の調整

投資資本の源泉 設立目的
75号文(旧) 国内企業の資産または権益 持分融資(転換社債融資を含む)
37号文(新) 国内企業の資産または権益、あるいは適法に保有している国外資産または権益 以後、国外融資に限定せず、投資を行う事もできる。

新定義は、特別目的会社の外延を大幅に拡げており、国内居住者による国外投資への従事に関する適法性について、これまでの75号文および「個人外貨管理弁法」などの規定では原則的には認めていたが、選択できる成熟した、明確な方法を与えていなかった。37号文は国内居住者による国外投資を特別目的会社の範囲に組み入れており、国内居住者、特に国内個人居住者による国外投資に一つの道筋を切り開いたことになる。

75号文は迂回投資の方法について、羅列式で規定を設けていたが、統一性に乏しかったため、実務においては一定の困難を生じていたと思われる。37号文ではそれを「新設、買収合併などの方式で」国内において外商投資企業またはプロジェクトを設立し、所有権、支配権、経営管理権を取得する行為と統一された。このような一つの規定で統一性と羅列を相互に合わせた規定方法は、迂回投資に関する制度が網羅する範囲をより緻密周到にしている。

2. 一部法律用語の変更

37号文では外貨立法の進歩性が、同時に言語論理の整備の上でも体現されており、例えばそれは75号文における「国内居住者」を「国内機構」に変更することで、概念の外延にパートナーシップ制企業などの形式で登録された「非法人機構」を加えており、これは75号文における「中国国内で法に則り設立された企業事業法人およびその他の経済組織」という定義により合致している。

二、規則と手順をより簡潔、明快、効率的にした


1. 関連手順要求の簡素化、緩和

75号文においては、「国内居住者が国外特別目的会社を設立しまたは支配する前」に外貨管理局にて投資外貨登記手続きを行わなければならなかったが、37号文は上記登記手続きの時間を「特別目的会社への出資を行う前」まで遅らせており、国内居住者は国外において特別目的会社を先行して設立することができ、初期登記を完了した上で、はじめて後続の出資活動が行えるようにした(登録費用の支払いはこの限りではない)。同時に、初期登記に関する手続き資料も簡素化が進められ、例えば今後「国外融資商業計画書」の提出が不要となったなどである。

同時に、75号文の規定と比べ、37号文では特別目的会社の減増資、長期持分または債権投資、国内資産の注入、国外融資変更登記に関する要求が廃止された。

このほか、「直接投資外貨管理政策の更なる整備と調整に関する国家外貨管理局の通知」(匯発[2012]59号)に基づき、37号文では外貨追加登記手順を明確にし、規則違反の疑いがある行為については処罰した上で追加登記を行う考えをもって処理することを明確にした。また、実務においては、追加登記を申請する場合、外貨管理局は通常、国内居住者に対し会計士事務所が発行する個別監査報告書の提出を求めるものと思われる。

2. 持分奨励計画への制度上の保障提供

75号文では、特別目的会社持分奨励計画の実務処理において、権利者の適法な権利行使に関する制度的な手段に欠けている状況は常に実務における大きな難題であった。37号文の規定によれば、非上場特別目的会社が自社の持分またはオプションなどを対象として、その直接的または間接的に支配する国内企業の董事、監査役あるいは高級管理職およびその他の会社と雇用または労働関係にある従業員に対し権益奨励を行う場合、関係国内個人居住民は権利を行使する前に特別目的会社の外貨登記手続きの申請を行うことができる。これは関係部門がはじめて非上場特別目的会社が実施する国内企業董事、監査役、高級管理職の持分奨励計画で外貨登記手続きを行えることについて明確にし、手続きの細則を制定したものであり、持分奨励計画の実施に制度上の保障を提供した。

3. 特別目的会社に対する直接出資または貸付

37号文では、国内個人居住者が特別目的会社の設立後、適法に保有する国内外の資産または権益を持ってそれに出資することを認めており、資産または権益の形式には貨幣、有価証券、株式、債権、および知的財産権と技術などが含まれるが、これらに限らない。

また、国内個人居住者は、自らが直接または間接的に支配する国内企業を通じて、存在が真実であり、合理的でなければならないとの前提の下、「国内企業による国外貸付の外貨管理関連事項についての国家外貨管理局の通知」(匯発[2009]24号)などの関連規定に従って、登記済みの特別目的会社に対し貸付を行うこともできる。このほか、国内個人居住者は、特別目的会社の持分買戻しまたは上場済みの特別目的会社の上場廃止などを目的として、特別目的会社に対し資金を提供することもできる。これらの規定は75号文と比べ大きな前進であり、国内個人居住者が国外投資に従事する際の利便にとって重要な意義を持つ。

4. 処罰根拠と措置の更なる明確化

各種外貨管理における違法行為の認定と取締りにおいて、75号文の「外貨不正持ち出し」のような漠然とした規定とは異なり、37号文では各種のよく見られる違法行為およびそれに対応する行政処罰の法律根拠について、一つ一つ明確な規定を詳細に設けた。これらの立法技術上の進歩は、37号文を実務において75号文と比べ高い操作性を具備させている。

37号文は外貨管理制度改革における重要な一歩であり、特別目的会社と迂回投資制度に重要な意義を確立したが、現在の外貨管理実務の成熟レベルでは、依然として一定のあいまいさが存在する。これは主に一部の権利義務と手順に関する規定において現れており、外貨管理局は強い改革の意思を示し、市場自体の調節機能への重視も絶えず強めてはいるが、制度の細部の規定には依然として空白がある。例えば37号文はその実施前の規定に従って国外投資外貨登記を行っていないケースについて、「外貨管理局が適法性、合理性などの原則に基づいて追加登記を行う」との規定を設けているが、基準が明確にされていない。これらの37号文において明確な回答のない問題については、今後規定が公布されるか、または外貨管理局と個別案件として協議し、更に明確にする必要があり、これは37号文において玉にきずとなってもいる。

(里兆法律事務所が2014年10月27日付で作成)

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