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江蘇省労働人事紛争典型事例

中国ビジネスレポート 法務
邱 奇峰

邱 奇峰

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2015年6月12日

労働者の派遣先における業務配置及び作業内容に変更のない状況において、労務派遣会社に変更があった場合、労働者の勤務年数は合算されなければならない

基本背景:

申立人李某は2007年12月1日に甲労務派遣会社と2年間の労働契約を締結し、乙社へ派遣され勤務していた。2009年12月1日労働契約期間満了後、申立人の派遣先業務配置と作業内容に変更のない状況で、乙社の要求により、申立人は丙労務派遣会社と労働契約を締結した。

2013年9月5日、乙社は申立人の規則制度に対する重大な違反を理由に申立人を丙社に戻し、その後丙社はこれを理由に申立人との労働契約を解除した。申立人は労働仲裁を申し立て、丙社と乙社に対し労働契約の違法解除に伴う賠償金の支払いを求め、賠償金の支払い期間を2007年12月1日から起算するように要求した。

仲裁判断:申立人の規則制度に対する重大な違反は成立せず、丙社は申立人に対し賠償金を支払わなければならず、賠償金の支払い期間は2007年12月1日から起算し、乙社は連帯責任を負うものとする。

裁定の要旨:

労働者の派遣先における業務配置と作業内容に変更のない状況において、本人の原因に起因せずに派遣元の変更が行われ、元の派遣元が経済補償金を支払っていない場合、経済補償金または賠償金の支払いに関する勤務年数を計算する際は、労働者の元の派遣元における勤務年数を合算して新たな派遣元における勤務年数としなければならない。

弁護士の意見:

1.   「江蘇省労働契約条例」第二十五条および最高人民法院「労働紛争案件の審理に適用する法律の若干問題に関する解釈(四)」第五条の規定によれば、労働者が本人の原因に起因せずに元の雇用主から新たな雇用主へと勤務先を変更される場合、労働者の元の雇用主における勤務年数を合算したものが新たな雇用主における勤務年数となる。雇用主が以下の状況のいずれかに該当する場合、「労働者が本人の原因に起因せずに元の雇用主から新たな雇用主へと勤務先を変更される」と認定される。(一)労働者が依然として元の勤務場所、職場にて勤務しているが、労働契約の主体が元の雇用主から新たな雇用主に変更された場合、(二)雇用主が委任派遣または任命の形式で労働者に対し配置転換を行った場合、(三)雇用主の合併、分割などに起因して、労働者の配置転換が生じた場合、(四)雇用主およびその関連会社が労働者と順番に労働契約を締結した場合、(五)その他の合理的な状況。

2.   上述の規定および裁判における判例に基づき、弁護士は、派遣先が労務派遣会社と提携する際に以下の注意点を挙げる。
1)   派遣先に起因して労働者の派遣元(労務派遣会社)に変更が生じた場合、転籍時の経済補償金の負担を回避するため、可能な限り勤務年数を合算する方式で処理することが望ましい。
2)   労働者の派遣元(労務派遣会社)の変更が派遣先に起因せずに生じた場合、新たな労務派遣会社が労働者の勤務年数を合算して経済補償金を支払わなければならない状況が発生し、これについて派遣先が連帯賠償責任を負わされることを避けるため、労働者に対する労働契約終了に伴う経済補償金の支払いを元の労務派遣会社に求めることが考えられる。
3)   また、実務において、元の労務派遣会社の一部は、勤務年数合算リスクを回避するため、労働者に対し自由意思で新たな労務派遣会社へ移籍する旨の証明を提出するように求めている。

法令リンク先:
江蘇省労働契約条例」第二十五条、最高人民法院
労働紛争案件の審理に適用する法律の若干問題に関する解釈(四)」第五条の規定。

(里兆法律事務所が2015年4月10日付で作成)

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