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実例から見る関務 (税関業務)のリスクヘッジ

中国ビジネスレポート 法務
王 穏

王 穏

有料

2016年1月20日

-税関実務を知る-

「関務」とは、物流、外貨、原価、税収及び内部作業伝票、作業手続き、計算方法など一連の専門知識及び政策法規に係わるシステムを指す。もっと簡単に言えば、輸出入に関わる一連の業務と理解しても言いだろう。この関務のリスクが今、注目されている。実際に多くの日系企業は、中国進出の際、この壁にぶつかったことも多いのではないだろうか。図らずして行政処分を受けてしまうことのないように、どんなリスクが潜んでいるかを知る必要がある。
以下では、事例を用いて(秘密保持の関係で一部調整している)簡単にリスクを紹介する。

【事例】
高級アパレルの進料加工貿易を行う上海の某日系企業は2014年1月、労使紛争に起因して、元従業員から同社が保税部材を未許可で中国内販売していると税関に密告された。それを受け税関は査察を実施し、その結果、2012年1月11月、3回に分けて保税部材を浙江省の杭州、義烏などに送って加工させていた事実がわかった。同社には密輸の疑いがあるとして、査察部門から密輸科に管轄が移され、そこで引き続き捜査された。
会社から事情を聞いた結果、上述3回の加工を他地域で行ったのは、コスト削減のためであり、この行為は税関の規定で禁止されておらず、行政許可範囲内であると判断した。加工業者は加工済みの完成品を同社に戻し、保税部材が中国内に流通するような事態は発生していないためだ。

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