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ログイン2022年6月14日
【部門・領域別】不正はここで起きる【保全部門】対策編
保全は、復旧を急ぐためにお手盛りになりやすく、相見積や並行購買も難しい領域です。それだけに足元を見られない工夫が必要です。
■ 仕組みを変えた企業の成功例
対策としては、まず、調達と同じように、トップ同士で話をして釘を刺しておくことと、「不正行為の防止に係る誓約書」をもらっておくことです。法的な効力はありませんが、一定の抑止力はあります。また、不幸にして問題が発覚した際、賠償問題などなしに取引を打ち切りやすくなります。
もう一つ参考になりそうなのは、ある製造業の成功例です。ここは製造と保全の組織を改変したことで劇的な効果をあげました。
この会社ではもともと製造と保全の仲が悪く、お互いに文句ばかり言っていました。製造が「ウチの保全は全然ダメだ、腕が悪すぎる。直してもすぐ壊れる」とかみつけば、保全は「製造のヤツらは機械の使い方がなってない。使い方が悪いからすぐ壊れる」と言い返す。こんな感じで常にいがみ合っていました。
そこで経営者は一計を案じ、保全部門をバラして各製造ラインに組み込みました。そして、ラインの稼働時間が長いほど(一定期間における停止時間が短いほど)、そのライン全体に与えるボーナスの額が上がるという仕組みに。つまり、故障などでラインを停止させた時間が短ければ短いほど、製造人員も保全人員も得する仕掛けにしました。
するとゲンキンなもので、「設備は丁寧に使え、故障は自前で早く直してラインを止めるな!」という点でみんなの利害が一致したため、劇的に生産性が上がったそうです。ここまでシンプルにはいかないかもしれませんが、利害を一致させるという観点は、有効な解決法を考えるポイントだと思います。
■ 脱「喉元過ぎれば」 事後的な対策はやりやすい
保全は設備が壊れたときに出てきて見積もりを取るので、足元を見られやすくなっています。客先が怒っている、社長が早く直せと言っている、となれば多少ふっかけても承認される可能性が高いですからね。
ですから、これも他部門と同じように、経営者が大体の相場感を押さえておくことが必要です。至急対応のときには難しくても、事後に検証して、問題があれば追及する。「ちゃんと見ているぞ」「言いなりにはならんぞ」という姿勢を見せておけば、次回に向けていい牽制になります。これを、経営者まで「喉元過ぎれば熱さを忘れる」で、修理できたからまぁいいかと放置してしまうと、正に相手の思うつぼです。
保全は事前対策が難しいものの、事後的な検証はやりやすい領域です。施工関連の業者と会う機会があれば、「先日、こんな設備でこんな故障があってさ、自分ではこのくらいの費用と思ったんだけどケタが一つ違って参ったよ。オタクだったらどう?」と聞いてみてください。また、同業他社に聞くのもいいですね。
相手の反応が「ウチでもそんなもんだったよ」なのか、「いやぁ、いくら何でもボラれてるでしょ」なのかで、万全ではないですが、ある程度の相場感はつかめます。ラインが復旧するとつい安心して忘れてしまいますが、経営者が事後にでもしっかり脇を締めていれば、次の結果が変わってきます。
■ 会社が求める姿に誘導する
保全という領域は、どうしてもタコツボになりがちです。次回からお話しする経理部門も近いところがありますが、専門職の職人集団で、外からは何をやっているか見えにくい。すると親方的な人が自分のやり方を通すようになってしまい、それに部下も従ってしまいます。そのまま時を重ね、どんどんブラックボックス化してしまい、いざメスを入れるとなると、ものすごい無法地帯になっていることが多いです。
保全も経理もなくすわけにはいかないし、無法地帯のままでもマズい。こういう部署こそ、処遇制度などで会社が求める人材像を明確に定めておく必要があります。例えば、腕はいいが一匹狼的なタイプ、部下は仕切るが上層部の指示には従わないタイプ、腕はそこそこだが会社の方針を理解して部下の管理もするタイプ。誰を優先して評価するか、またはそれぞれをどう評価し処遇するか。
こういったところから求める人材像をあらかじめ設定し、「何をやった人が得するか」から発想して採用・評価・処遇の仕組みを構築すれば、会社が持っていきたい方向に誘導することができます。逆に言うと、処遇や評価など明確な本人の利益に連動させることなく、教育やべき論であるべき方向に持っていくことは不可能だと考えましょう。
(次回は経理部門です)
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